解決まで約半年!度重なるトラブルを抱えた入居者と向き合い再起を促す管理の現場
2020/03/26
引っ越しシーズンも佳境となってきました。
春からの新生活に向けて、胸を躍らせている方も多いのではないでしょうか。
ただ一方で、当社では22,647戸のワンルームをお預かりしていると、滞納などの問題で、やむを得ず引っ越しを頂く入居者もいらっしゃいます。
滞納には毅然とした対応を取る必要がありますが、それだけではなく、入居者が新しい場所で生活を再建できるよう配慮しています。
今回のコラムは、滞納トラブルに端を発したある入居者との半年間のやり取りを事例に、当社の取り組みをご紹介します。
昨年の8月頃、横浜のマンションに住む入居者のAさんに滞納が発生しました。
仕事が忙しいのか、なかなか連絡が取れず、連絡が取れたとしても、その月の家賃の一部しか支払われないことが続いたのです。
なお、オーナー様には、滞納保証制度があるため、滞納の発生月から満額の家賃が保証されています。
Aさんとは、ある日を境に、ぷっつりと連絡が取れなくなり、自宅に訪問しても不在の様子。
引き続き連絡を取ろうと試みていると、突然Aさんから連絡が入りました。
『家賃払えないんだけど、どうしよう。。』
電話先からは消え入りそうな声が聞こえてきました。
まずは一度お話を伺うため、自宅近くのカフェでお会いする事となりました。
ただ、お会いしてみると態度は一転、「退去はしない。でも、家賃を払う見通しはない」の一点張り。
Aさんは30代半ばの男性ですが、その時点では休職していたため、家賃の支払いが滞ってしまった様子でした。
とはいえ、当社としてもいつまでも待つことはできません。
次回の家賃入金日に滞納分も含めて返済いただくことを約束して、その日の話し合いは終わりました。
約束の日、残念ながら家賃の入金はありませんでした。
しかも、当社からの連絡にも、一切応答がなくなってしまいました。
このような状況になってしまったら、当社としても毅然とした対応が求められます。
まずは、Aさんにお会いしなければなりません。
時間を見つけては、Aさんの自宅に張り込みをすることにしました。
張り込みを始めて数日後。
15時を過ぎたころに、自宅マンションの玄関から姿を現しました!
「Aさん!」
こちらの声に驚いた様子で、Aさんはくるっと反転すると、駐輪場に止めてあった自転車にまたがり、この場から急いで立ち去ろうとします!
自転車の進路を阻むようにAさんと対面して、再度、声をかけて説得します。
そこから、会社から応援要員を呼び、3人で打ち合わせがはじまりました。
ひざを突き合わせて話し合うこと約5時間。
「3ヵ月後に退去していただくこと」
「滞納家賃は分割で支払っていただくこと」
この2点の約束を取り付けることができました。
これで一安心と思っていましたが、残念なことに、再び約束は反故にされてしまったのです。
滞納家賃は支払われず、また連絡もつかない状況。
そこで保証人となっていたご両親にお会いし、状況をご説明しました。
しかし、ご両親ともすでに定年退職しており、年金生活です。
金銭的にも余裕はありませんでした。
そこで、滞納家賃については分割でお支払いをいただくこととなり、Aさんの退去については当社のスタッフで行い、費用負担を最小限にとどめることでご納得いただきました。
そして、いよいよ退去前日。
Aさんの自宅へ伺いましたが、引っ越しの準備はほとんど進んでいません。
しかし、退去日は明日と決まっています。
可能なところまで、ご自身で準備を進めるように念をおして、その日は帰りました。
そして、退去日の当日。
私ともうひとりのスタッフで、ベッド、冷蔵庫、テレビなどの大型荷物から、食器や衣服まで、社用のハイエースに積み込んでいきます。
冬だというのに、シャツは汗でびっしょりです。
6時間ほどの作業で荷物を詰め込むと、実家にすべての荷物を運ばせてもらいました。
全ての作業が済んだ頃に、Aさんの母親からは「ありがとうございました」という言葉をいただきました。
親子関係もうまくいっておらず、途方に暮れていたところで、息子さんと最後まで向き合ってくれた当社に感謝をしてくれたのです。
また、滞納をしてしまった息子さんもいまは新しい仕事に就き、新しい住まいで再スタートを切ったそうです。
当社は賃貸管理会社として、オーナー様の大切な資産を守ることを第一に考えています。
それと同時に、入居者様の快適な住環境を整えることも使命のひとつです。
ただし、トラブルのあった際には必要とあれば、毅然とした対応を取ることもあります。
とはいえ、すぐに退去していただくのではなく、入居者様の未来を考え、新生活での再起を促せるよう今回のように入居者様の負担が少なくなるような取り組みも実施しています。
オーナー様にとっても、入居者様にとっても、良い結果につながるよう、これからもしっかりと対応してきたいと思います。
日本財託管理サービス 債権管理部 吉末 篤司(よしすえあつし)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都足立区出身の48歳。
債権管理部に所属し、入居者が抱える問題に向き合い、滞納家賃の回収や、高齢の入居者様への定期訪問を行っています。
休日は20kmのマラソンで体を鍛えています。