言語を超えるスポーツと気持ち
2019/07/18
『欧州へようこそ』
2007年1月1日。
ブルガリアの首都ソフィアにある広場では、EU加盟を祝福する国民でごった返し、年越しと共に大騒ぎが始まりました。
私が生活していたドゥプニツァという街でも、花火が上がり、ひと晩中、爆竹がかき鳴らされていました。
2006年からおよそ2年間、青年海外協力隊の一員として、野球の普及のためブルガリアに赴任しました。
現地では子供や仕事終わりの大人向けに開催されている野球チームの練習へ日に3回参加し、指導を行いました。
プレーを楽しむことはもちろんですが、野球を通じて礼儀やマナーなど『心の教育』という点も意識して取り組んでいました。
「ゴミは捨てちゃダメ。自分が出したゴミは持って帰ろう」
ブルガリア語と身振り手振りを交えながら、マナーを現地の人々に訴えます。
「オーケー、カズ!」
「カズが言うならやるよ!」
すると、野球を教えて芽生えた信頼関係から、少しずつ礼儀やマナーも学び、実践してくれる人が増えていきました。
そんななか、2007年に年が変わるとともに、現地ブルガリアでは、『EU加盟』という大きな変革がありました。
その影響で物価が一気に上昇したのです。
ブルガリアと言えばヨーグルトが有名ですが、当時の日本円で400g70円ほどだったものが、約1カ月で350円まで上昇。
さらに、交通費も約7倍まで跳ね上がったのです。
とはいえ、私たちが使えるお金が増えるわけではなく、3日間断食をせざるを得ない状況となってしまいました。
それでも野球チームの練習は休みなく開催されます。
ただ、空腹のあまりいつもより声が出ず、身体にも力が入りません。
「カズ、大丈夫か?よかったらウチでご飯食べて帰りなよ」
元気のない様子を気にかけてくれたのか、野球教室に通っていた生徒のひとりが声をかけてくれたのです。
すると、次の日もそのまた次の日も食事に誘ってくれたり、野菜やスイカなど食べ物を持ってきて渡してくれる生徒が続出したのです。
彼らは決して裕福な家庭ではありません。
それでも、困っている私に対して、無償で手を差し伸べてくれました。
もし、日本で逆の立場になったとき、自分は助けてあげることができるだろうか。
ふと考えてみると正直自信がなく、帰国時には彼らの優しさを思い返し、涙がこぼれてきました。
彼らの支援のため派遣された私たちでしたが、EU加盟や物価の高騰など、現地では多くの貴重な体験をしました。
そのなかで、野球を通してスポーツの楽しさや礼儀、感謝などを伝え、逆に彼らから無償の愛情や親切を教えてもらいました。
たとえ言葉がままならなかったとしても、分かり合えることは可能なんだと、強く感じました。
そして、この経験を経てからお金の仕組みについて興味を持ち、帰国後にファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。
現在はオーナーフォローチームとして、自らの経験も踏まえながらオーナー様の資産形成のお手伝いをしています。
一人でも多くの人の経済的自由が実現できるよう、これからもオーナー様の声に耳を傾け、お応えしていきたいと思います。
日本財託 オーナー事務局
カスタマーサクセス課 長谷 和寿(ながたにかずひさ)
◆ スタッフプロフィール ◆
神奈川県大和市出身の37歳。
オーナー事務局カスタマーサクセス課に所属し、不動産だけではなく、保険と相続などのトータル的な資産形成のお手伝いをしています。
現在はFP1級取得のため勉強中。
先日1次試験を突破できたので、取得に向け、空き時間を有効活用し勉強に励んでいます。