オリンピックを前に考える とっさの対応力
2019/12/19
およそ5年前の冬のことです。
いつものように仕事を終え、家路についていました。
最寄駅から歩いて数分のところで、すれ違うのにも窮屈な細い路地があります。
その日も何気なくその道を歩いていると、路地をふさぐ黒っぽい塊が見えました。
電灯も薄暗く、最初は何なのかわからなかったのですが、よくよく見ると、人が倒れてうずくまっていたのです。
「大丈夫ですか!?」
すぐに駆け寄ってみると、60代くらいの男性で、意識ははっきりしていない様子です。
声をかけながら金網に背を預けるようにして、男性の身体を起こしました。
「このあたりにお住まいですか?ご家族はいらっしゃいますか?」
『家族は、いない。』
途切れ途切れですが、なんとか言葉をつなぎます。
すぐには回復しそうにもなく、近くに知人もいないとのことでしたので、救急車を呼ぶこととしました。
ただ、その方はひとりで座っていることもままならないような状況です。
電話をかけるため、体を支える手を放そうとすると、地面に倒れこんでしまいそうになります。
『もうひとりいれば』
真冬ということもあり、吐く息は真っ白、コートを着込んでいても寒さが身に堪えます。
男性の体調のことを考えれば、このまま時間が過ぎていくことはリスクが伴います。
「すみません。人が倒れていて、救急車を呼びたいのでお手伝いいただけませんか?」
意を決して、通りかかった男性に声を掛けました。
その男性は足を止め、体を支えるのを手伝ってくれました。
しかし、男性は怪訝そうな顔をのぞかせたまま、「この方、出血はない?」と伺ってきました。
出血はありませんでしたが、なかなかお手伝いいただいた男性には信じてもらえない様子です。
当時はちょうど、感染症などが話題になっている時期と重なっていたからでしょうか。
倒れていた男性に警戒心を持つことにも納得がいきました。
その後、すぐに救急車を呼び、駆け付けた救急隊の方へ状況を説明したうえで、その方は搬送されていきました。
搬送される頃には、だいぶ意識も戻ってきていた様子でしたので、ほっと胸をなでおろすことはできました。
念のため連絡先と氏名はお伝えしましたが、特段救急隊の方からもその男性からもご連絡はありませんでした。
とっさの行動ではありましたが、便りの無いのは良い便り、とおそらくは無事に回復されたのだと思います。
来年は東京オリンピックが開催され、日本だけでなく、海外からもたくさんの人が東京に集まります。
なかにはきっと、道に迷ってしまったり、思いもよらぬケガや病気にかかってしまうこともあると思います。
そんな場面に出くわしたときには、同じく自分から積極的に声をかけられるように簡単な英語やAEDの使い方を学ぶなど、最低限、自分ができる準備をしていきたいと思っています。
日本財託 オーナー事務局カスタマーサポート課
猪熊 元気(いのくまげんき)
◆ スタッフプロフィール ◆
山口県周南市出身の39歳。
マンション投資に関する税務相談や管理組合運営など、オーナー様からの相談事に提携事務所と連携をとりながら対応。
オーナー様向け情報誌「まめール」の作成も担当する。
今年の年末年始は久しぶりに地元山口へ帰省を考えています。
甥っ子や姪っ子と遊べるのをたのしみにしています。