部屋に残された猫
2020/03/12
(左)姪と一緒に写る飯島さん /(右)ボランティアの方々が制作されたチラシ
『毎日、新聞を届けているんだけど、もう3日分もポストにたまってる。こんなことは今までなかった。』
昨年11月のことです。
夕刊を配達し終えた配達員から、当社に連絡が入りました。
当社でも、入居者様と連絡が取れなくなるケースは年に数回あり、ご家族の確認を得て、現場に急行します。
連絡があってから、親族に確認を取り、部屋に着いたのが19時頃。
万が一のことも考え、警察にも立ち会いをいただきながらお部屋に入ると、残念なことに、すでに入居者様はお亡くなりになられていました。
3時間にも及ぶ警察の現場検証を終え、ようやく入室することができました。
入室してしばらくすると、「にゃーにゃー」と、どこか遠くの方からで猫の鳴き声が聞こえます。
最初は部屋の外から聞こえているものだと思い、気に留めませんでした。
しかし、換気していた窓を閉めてもまだ鳴き声は聞こえてきます。
どうやら室内に隠れているようです。
確かにお部屋には猫じゃらしやご飯の器などがあり、猫を飼っていた様子がうかがえます。
ただ、部屋中を見渡してみても、警戒しているのか見つかりません。
室内には荷物も多く、勝手に触れることもできないことから、その日はコンビニでキャットフードを購入し、お水とともに、多めに器に入れてその場を離れました。
後日、ご家族とお会いし、その後のお部屋の修繕についても、当社にお任せいただくことになりました。
猫の処遇についても任されたので、まずは、ペットを引き取ってもらえるボランティアへ連絡をしてみました。
しかし、何件かかけたものの、施設がいっぱいで引き取れないとのこと。
「飼えなくなっちゃった猫の里親を探してるんですけど」
物件の近くのお店も回りながら、引き取ってくれそうな方を探してみますが、首を縦に振ってくれる方は見つかりませんでした。
猫の方も心配で、休日にお部屋を伺ってみました。
お部屋に入ってみると、あのとき残してあげた餌と水が確かに減っていたのです。
相変わらず荷物の陰に姿を隠しているようで、姿は見えませんでしたが、どうやら生き延びている様子です。
(早く里親が見つかるよう、できるところまではやり切ろう)
同僚にも相談したところ、幸い猫好きなオーナー様がいらっしゃるとのこと。
ダメもとでご連絡してみると、『いいよ!里親探し手伝ってあげるよ!』と快諾いただいたのです。
オーナー様からは里親探しのボランティアを紹介いただき、そのボランティアさんによって、無事に猫は保護されました。
そして、すぐに里親探しのチラシを制作していただき、あたらしい飼い主を探していただいたところ、ほどなくある家族からご連絡をいただけたのです!
飼われていた猫の鳴き声を聞いたときには、どうなるか想像もつきませんでした。
それでも、オーナー様やボランティアの方々の力を借りて、なんとか1匹の猫の命を守ることができました。
1カ月ほどかかりましたが、新しい家族が見つかり、猫も現在は幸せに暮らしているそうです。
ご高齢の入居者様の場合、今回のように孤独死され、ペットだけが残されるケースも増えてくるかもしれません。
室内の修繕などをこなすだけではなく、入居者様が愛情を注いだペットにまで、きちんと責任をもって、これからもできる限りの力を注いでいきたいと思います。
日本財託管理サービス 管理部一棟建物管理課 飯島 智也(いいじまともや)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都足立区出身の32歳。
管理部一棟建物管理課に所属し、一棟物件の管理やお困り対応、大規模改修などの工事提案、火災保険のご提案などを行っています。
休日の過ごし方は2人姪っ子の子守りと一人猫カフェにはまっています。
今年の目標は日本三名泉と言われる、有馬温泉(兵庫)、草津温泉(群馬)、下呂温泉(岐阜)を制覇する事です。