不動産投資
掲載日2026.10.01
不動産管理会社とは?賃貸管理・建物管理の違いと選び方を解説
不動産管理会社とは何をする会社なのかを解説します。賃貸管理会社と建物管理会社の違い、集金代行とサブリースの契約形態の違い、そして長く付き合える管理会社を見極めるための具体的な視点を、実際のオーナー事例とあわせて紹介します。
「不動産管理会社」という言葉を、どんな場面で目にしましたか。
これから区分マンションへの投資を考えていて、購入後の運用がどう回るのか知りたいのかもしれません。あるいは今すでに物件を持っていて、日々の入居者対応や家賃回収に手が回らず、誰かに任せられないかと考えているのかもしれません。親から譲り受けた物件があって、何をどう管理すればいいのか、そもそも分からないという状況もあるでしょう。
どの状況であっても、共通しているのは「管理会社が何をしてくれるのか」がはっきりしないまま、次の一歩を踏み出せずにいるということだと思います。
この記事では、不動産管理会社が実際に何をする会社なのか、そして長く付き合っていくうえでどこを見て選べばいいのかを、順を追ってお伝えします。
1. 不動産管理会社とは何か ― 賃貸管理会社と建物管理会社の2種類がある
「不動産管理会社」という言葉は、実は一つの決まった仕事を指しているわけではありません。マンションを一室でも所有すると、性質の異なる2つの管理と関わることになります。「賃貸管理会社」と「建物管理会社」です。
この2つは、見ている場所がまったく違います。
賃貸管理会社が見ているのは、あなたが所有する部屋の中、つまり「専有部」と、そこに住む入居者です。入居者を探し、家賃を集め、トラブルが起きれば対応する。いわば「人」を管理する仕事です。
一方、建物管理会社が見ているのは、エントランスや廊下、駐車場、ゴミ置き場といった「共用部」です。日常の清掃から、将来の大規模修繕計画まで、建物という「モノ」を維持していく仕事を担います。
分譲マンションの場合、区分所有者全員で構成される管理組合が建物管理会社に管理を委託する形が一般的です。そのため、賃貸管理会社は自分で選べても、建物管理会社は物件によってすでに決まっている、というケースがほとんどです。あなたが「管理会社を選ぶ」と言うとき、実質的に選択の対象になっているのは賃貸管理会社であることが多い、と考えておくと分かりやすいと思います。
この後の章では、それぞれが具体的に何をしているのかを見ていきます。
2. 賃貸管理会社の具体的な仕事
賃貸管理会社が担っているのは、大家業に必要な実務のほぼすべてです。一つずつ見ていきます。
まず、入居者の募集です。部屋が空いていては家賃は生まれませんから、賃貸ポータルサイトへの情報掲載や、仲介会社への働きかけを通じて、入居希望者を集めます。申し込みが入れば、その人がきちんと家賃を払い続けられるか審査を行い、問題がなければ契約書の作成や鍵の受け渡しといった入居手続きを進めます。
入居が始まってからの中心業務は、毎月の家賃集金です。集めた家賃から管理手数料を差し引いた分を、あなたに送金します。どれだけ審査を尽くしても、家賃を滞納してしまう入居者は一定数出てくるものです。そうなれば、速やかに督促を行うのも賃貸管理会社の仕事です。
入居中には、他にも細かな対応が発生します。エアコンや給湯器の故障、鍵の紛失、漏水や火災といったトラブルへの対応、隣人間の生活音などをめぐるクレームの仲裁。契約更新の時期が来れば、入居者の意思を確認し、更新か退去かの手続きを進めます。
退去が決まれば、部屋の内装工事を手配し、退去に先行して次の入居者募集を始めます。空室の期間をどれだけ短くできるかは、この一連の対応力にかかっています。
つまり賃貸管理とは、あなたが本来一人で担うはずの大家業を代行し、家賃収入を最大化するための仕事です。そして、この総合力に管理会社ごとの差がはっきり表れます。
3. 建物管理会社の具体的な仕事
建物管理会社が担っているのは、マンション全体の「ハード面」を長期的に維持していく仕事です。あなたの部屋がどんなに快適でも、建物そのものが傷んでいけば、資産としての価値は損なわれてしまいます。
日常的な業務としては、エントランスや廊下、階段といった共用部の清掃、エレベーターや貯水槽・浄化槽などの設備の保守点検があります。不具合が見つかれば、修繕工事の手配も行います。
もう一つの大きな役割が、大規模修繕工事の計画立案です。外壁の塗り替えや屋上防水、給排水管の更新など、数十年単位で見たときに必ず発生する大がかりな工事について、いつ・いくらかけて行うかの計画を立て、そのための修繕積立金を適切に積み上げていきます。この計画と資金繰りがずさんだと、いざ工事が必要になったときに積立金が足りず、修繕すべき箇所が放置されてしまう、ということも起こり得ます。
こうした意思決定を行う主体は、区分所有者全員で構成される「管理組合」です。建物管理会社は、その管理組合から委託を受けて実務を代行する立場にあります。年に一度、管理組合総会の議案書があなたの自宅に届くはずですが、そこには収支報告や修繕計画の進捗が記載されています。この議案書に目を通し、管理組合の活動に関心を持っておくことは、あなたの資産価値を守るうえで無関係ではありません。
賃貸管理会社が「入居者との関係」を管理するのに対し、建物管理会社は「建物という資産そのもの」を管理する。この違いを押さえておくと、次の一覧表もすっきり整理できると思います。
4. 早見表:賃貸管理 vs 建物管理の仕事一覧
| 項目 | 賃貸管理会社 | 建物管理会社 |
|---|---|---|
| 管理対象 | 専有部(あなたの部屋)・入居者 | 共用部(エントランス・廊下・駐車場など) |
| 管理の性質 | ソフト面(人・お金の管理) | ハード面(建物・設備の管理) |
| 主な仕事 | 入居者募集、審査、契約手続き、家賃集金、滞納督促、トラブル・クレーム対応、更新手続き、退去立会い、内装工事手配 | 日常清掃、設備の保守点検、修繕工事の手配、大規模修繕計画の立案、管理組合の運営サポート |
| 依頼主 | オーナー個人 | 管理組合(区分所有者全員) |
| オーナーが選べるか | 選べることが多い | 物件購入時点で決まっていることが多い |
| 支払う費用 | 管理代行手数料(家賃の数%が目安) | 管理費・修繕積立金(毎月) |
| 委託先が変わるタイミング | オーナーの意思で変更可能 | 管理組合の総会決議が必要 |
5. 管理契約の2つの形態 ― 集金代行契約とサブリース契約の違い
賃貸管理会社にどこまでを任せるかを考えるとき、契約の形態は大きく2つに分かれます。集金代行契約と、サブリース契約です。
集金代行契約は、あなたが入居者と直接賃貸借契約を結び、家賃の集金や入居者対応といった実務だけを管理会社に代行してもらう形です。この形では、空室が出ればその間の家賃収入はそのままゼロになります。
一方サブリース契約は、管理会社がいったんあなたの部屋を借り上げ、それを入居者に転貸する形を取ります。空室であっても管理会社からの家賃は保証されるため、収入は安定しやすくなります。ただし、満額の家賃を受け取れるわけではありません。相場としては、家賃の1〜2割程度が管理会社の取り分として差し引かれた金額が、あなたに支払われることになります。
どちらが優れているというより、物件の立地によって考え方が変わってくる部分です。賃貸需要が旺盛で、そもそも空室が長引きにくいエリアであれば、あえて手数料を払ってサブリースを選ぶ必要性は薄いという見方もできます。逆に、空室リスクが読みにくい立地であれば、収入の安定を優先してサブリースを選ぶという判断も一つの選択です。
なお、サブリース契約をめぐるオーナーとのトラブルが社会的に相次いだことを受けて、2020年に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が公布され、2021年6月までに全面施行されています。この法律により、サブリース業者には契約締結前の重要事項説明や、実態より優良に見せる誇大広告の禁止などが義務付けられました。契約を検討する際、こうした説明を丁寧に行っているかどうかも、その管理会社を見極める一つの材料になります。
6. 実例:A・K様(43歳・東京都在住)― 管理会社倒産から学んだこと
ここまで管理契約の仕組みを見てきましたが、実際に管理会社選びで壁にぶつかったオーナーの話を紹介します。
A・K様(43歳・東京都在住)は、平成22年8月に目黒区内(学芸大学駅徒歩9分)の中古ワンルームを購入しました。この物件は、前のオーナーから引き継ぐ形のオーナーチェンジ物件で、サブリース契約が既についていました。ところが購入から半年ほど経ったころ、想定していなかった事態が起こります。管理を担っていたサブリース会社が倒産してしまったのです。
家賃が振り込まれなくなって初めて、契約していた管理会社が経営破綻していたことに気づいた、という状況でした。もっとも、A・K様はこの物件のサブリース契約そのものに以前から違和感を持っており、管理会社を変えたいと考えていた時期でもあったそうです。倒産という出来事を、契約を見直す一つのきっかけとして受け止め、日本財託への切り替えに踏み切りました。
ここから読み取れるのは、管理会社が倒産するリスクは、契約時点では見えにくいという事実です。サブリース契約は空室時の収入を保証してくれる仕組みですが、その保証はあくまで管理会社自身の経営体力に支えられています。管理戸数や創業からの年数、財務の安定性といった情報は、契約前には地味に見えても、長く付き合う相手を選ぶうえで軽視できないポイントだと言えます。
(出典:日本財託「事例紹介・オーナー様の声」A・K様 ※実名は非公開のためイニシャル表記)
7. 良い管理会社を見極める視点 ―「一生の投資パートナー」として選ぶという発想
管理会社を選ぶというと、多くの人は手数料の安さや管理戸数の多さといった、比較しやすい数字に目が行きがちです。もちろんそれも判断材料の一つですが、もっと根本的に考えておきたい問いがあります。それは、「この会社との関係は、この先何十年も続けていけるものか」ということです。
不動産投資は、物件を買った瞬間に終わるものではありません。むしろそこがスタートで、その後何年、何十年と付き合っていく相手が賃貸管理会社です。だとすれば、選ぶ基準は「今得をするかどうか」ではなく、「この関係が長く続く構造になっているかどうか」に置くべきだと考えています。
一つの見方として、オーナーと管理会社の利害関係を整理してみます。あなたが得をして管理会社も得をする関係、あなたが得をして管理会社が損をする関係、あなたが損をして管理会社が得をする関係、そして両方とも損をする関係。この4つのうち、長く健全に続くのは「両方が得をする関係」だけです。オーナーだけが得をして管理会社が損をし続けるような関係は、一見あなたに有利に見えても長続きしません。管理会社側が採算の合わない業務を切り詰めたり、極端な場合は経営そのものが立ち行かなくなったりするからです。先ほどのA・K様の事例のように、管理会社の経営体力そのものがオーナーの安心につながっているのは、まさにこの構造があるためです。
この視点に立つと、具体的に確認すべきポイントも見えてきます。
一つは、管理戸数とオーナー数の推移です。賃貸管理はストック型のビジネスで、管理戸数が増えるほど収益基盤が安定し、健全に事業を続けていれば戸数とオーナー数は比例して伸びていきます。逆に言えば、この数字が停滞している会社は、既存オーナーの解約が相次いでいる可能性も考えられます。
もう一つは、営業担当と管理担当の人員比率です。不動産会社の多くは販売を主軸にしているため、営業担当に人員が偏りがちです。しかし物件を買って終わりではない以上、購入後の運用を支える管理スタッフの層の厚さこそが重要になります。入居者募集、トラブル対応、修繕手配は、それぞれ専門知識が求められる別々の業務です。一人の営業担当が「なんでもやります」と請け負う体制では、専門性を要する対応が手薄になりがちだと考えられます。
手数料の数字だけを比べるのではなく、この会社と何十年も歩んでいけるか。そういう物差しで見てみると、選ぶべき相手が変わってくるかもしれません。
8. FAQ
- 賃貸管理会社と建物管理会社、両方に費用を払う必要がありますか?
- はい、性質が異なる管理のため、それぞれに費用が発生します。賃貸管理会社には家賃集金などの代行業務に対する管理手数料を、建物管理会社には毎月の管理費・修繕積立金を支払う形になります。
- 賃貸管理会社は途中で変更できますか?
- 集金代行契約であれば、多くの場合、事前告知期間を設けたうえで変更が可能です。ただし会社によっては解約の事前告知期間や違約金の有無が契約書に定められているため、現在の契約内容を確認したうえで進める必要があります。サブリース契約の場合は、契約期間や解約条件がより複雑になることがあるため、慎重な確認が欠かせません。
- 自主管理から管理会社への切り替えは、途中からでもできますか?
- できます。入居者との賃貸借契約はそのまま引き継ぎ、管理業務の窓口だけを管理会社に移す形が一般的です。切り替えのタイミングに制約はありませんが、現在の入居者への周知や、家賃振込口座の変更手続きなどが発生します。
- 相続で物件を引き継いだ場合、今の管理会社をそのまま使い続けるべきですか?
- 必ずしもそのまま継続する必要はありません。まずは現在の管理契約の内容(集金代行かサブリースか、手数料や解約条件)を確認したうえで、この記事で挙げたような視点(管理戸数の推移、営業と管理の人員比率など)から、この先も任せ続けられる相手かどうかを判断することをおすすめします。
9. まとめ
ここまで、不動産管理会社が何をする会社なのかを見てきました。
「不動産管理会社」とひとくくりに呼ばれるものの中には、あなたの部屋と入居者を見る賃貸管理会社と、建物全体を見る建物管理会社という、役割の異なる2つの存在があります。そして賃貸管理には、集金代行とサブリースという契約の違いがあり、どちらを選ぶかによって収入の安定度も、任せられる範囲も変わってきます。
A・K様の事例が示していたのは、管理会社選びが「今の手数料の安さ」だけでは測れないということでした。何十年も付き合っていく相手だからこそ、経営の安定性や、管理に人員を割く姿勢まで含めて見ておく必要があります。
目先の条件のよさではなく、この会社となら一生付き合っていけるか。その視点を持てたなら、あなたにとっての管理会社選びは、次の段階に進めるはずです。


