不動産投資
掲載日2026.10.30
マンション経営は儲からない? 不安の理由を紐解き、確かめ方と備え方を解説
マンション経営は儲からないのでは、という不安を5つに分けて紐解きます。毎月の持ち出し、空室、金利や修繕積立金の上昇、売却時の残債割れ、営業トラブルについて、公的データをもとに確かめ方と備え方を解説します。
マンション経営は、儲からないのではないか。
数千万円の物件をローンで買い、家賃が入らない月も返済は続く。そう考えれば、不安になるのは当然です。
ただ、「儲からない」という一言には、いくつもの不安が含まれています。毎月の持ち出し、空室、金利や管理費の値上がり、売るときの値下がり、営業担当者の説明。どれが気になるかで、確かめることも備え方も変わります。
この記事では、儲からないと言われる理由を不安ごとに分け、なぜ起きるのか、どの程度起きるのか、どう確かめ、どう備えるのかを、公的なデータをもとに整理します。
1. マンション経営が「儲からない」「やめとけ」と言われる理由
国民生活センターは2019年、投資用マンションの強引な勧誘について注意を呼びかけた発表の中で、マンションへの投資にはリスクがあり、必ず儲かるわけではないと明記しています。紹介された相談事例には、家賃保証があると勧められて買ったものの赤字になっているケースや、収入に見合わない高額なローンを組み、返済が難しくなっているケースが含まれています(参照*1)。
儲からないと言われる理由は、大きく2つに分けられます。
- 買う時点で決まってしまうもの:相場より高い価格での購入、自己資金をほとんど入れずに大きく借りること、賃貸需要の弱い立地、節税など家賃収入以外を目的にした購入
- 持っている間に起きるもの:空室、金利や管理費・修繕積立金の上昇、売却時の値下がり
「やめとけ」と言われるのは、これに勧誘をめぐるトラブルが加わるうえ、一度ローンを組んで買うと簡単にはやめられないからです。
本当の失敗は「売って損が確定したとき」
毎月の収支がマイナスなのは、つらい状態です。ただ、それだけではまだ失敗ではありません。持ち続けている間は家賃が入り、ローンの元本も減っていきます。
損が確定するのは、物件を売ったときに、それまでに受け取った家賃と払ったお金、売却で手元に残ったお金をすべて合わせて、マイナスで終わったときです。裏を返せば、そこに至る前に打てる手があります。毎月の収支と資産の積み上がりをどう見るかは、マンション経営の収益の仕組みと「儲かる・儲からない」の分かれ目で解説しています。
不安の早見表
| 不安 | 主な原因 | 避けられるか | 詳しくは |
|---|---|---|---|
| 毎月の持ち出しが続く | 借入が大きい、高値での購入 | 買い方で小さくできる。買った後も繰上げ返済で改善できる | 不安1 |
| 空室が続く | 需要の弱いエリア、管理会社の客付け力 | 需要が旺盛なエリアを選べば長引きにくい。複数持つならエリアを分散する | 不安2 |
| 金利・管理費・修繕積立金が上がる | 金利の動向、建物の老朽化、修繕計画 | 自分では止められない。備えることはできる | 不安3 |
| ローンの残りより安くしか売れない | 新築プレミアム、借入が大きい | 買い方と持ち方で小さくできる | 不安4 |
| 営業担当者にだまされる | 強引な勧誘、説明不足 | 確認すべき点を知っていれば避けやすい | 不安5 |
2. 不安1:毎月の持ち出しがずっと続くのでは
持ち出しの大きさは、買う時点でほぼ決まっている
毎月の持ち出しは、ローン返済と経費の合計が家賃収入を上回るときに生まれます。管理費や修繕積立金、賃貸管理手数料は物件ごとにおおむね決まっていて、差がつきやすいのはローン返済です。返済額は借入額で決まるので、高い価格で買ったり、自己資金をほとんど入れずに借りたりすると、持ち出しは大きくなります。
例として、価格2,000万円の中古ワンルームを、頭金10万円・借入1,990万円・金利2.3%・35年返済で買い、家賃8万円で満室が続いた場合を試算します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 家賃収入 | 80,000円 |
| ローン返済 | ▲69,026円 |
| 管理費 | ▲6,000円 |
| 修繕積立金 | ▲6,700円 |
| 賃貸管理手数料(家賃の5%) | ▲4,000円 |
| 毎月の収支 | ▲5,726円 |
| 固定資産税・都市計画税、火災保険料(年額) | ▲113,500円 |
| 1年間の収支 | 約▲18.2万円 |
金利・管理費・修繕積立金・税額は、2026年10月時点で置いた試算のための仮定です。実際の金利は、金融機関や借りる時期によって異なります。所得税・住民税の増減は含めていません。
不利なサブリースが、持ち出しを大きくすることもある
サブリース(一括借り上げ)は、サブリース会社が部屋を借り上げ、入居者に貸す仕組みです。空室でも決まった家賃が入る安心感がある一方、サブリース会社の取り分が差し引かれるため、オーナーが受け取る家賃は、入居者が払う家賃より低くなります。
仮に、上のモデルで受け取る家賃が7万円だったとすると、賃貸管理手数料がかからないとしても、毎月の収支は▲11,726円と、ほぼ倍になります。家賃がさらに6万5,000円に下がれば、▲16,726円です。
国土交通省は、サブリース契約の前にオーナーへ書面で説明しなければならないリスクとして、次の点を示しています(参照*2)。
- 家賃の定期的な見直しによって、家賃が減額される場合があること。契約条件にかかわらず、サブリース会社は法律に基づいて減額を請求できること(法律上の要件を満たす場合に限る)
- 契約期間中でも、サブリース会社から解約される場合があること
- オーナーから解約するには、正当な理由が必要であること
家賃は下がることがあり、条件が合わなくなっても、オーナーの側からは簡単に抜けられません。サブリース付きの物件を検討するときは、受け取る家賃で収支を計算したうえで、家賃の見直しの時期と方法、解約の条件を、契約前に必ず確認してください。
放っておいても、自然には消えない
毎月の返済額が一定の返済方法(元利均等返済)では、返済が進んでも返済額は変わりません。家賃と経費が今のままなら、持ち出しも同じ額で続きます。修繕積立金の値上げや、築年数に伴う家賃の下落があれば、持ち出しはむしろ広がります(不安3で解説します)。
持ち出しがなくなるのは、ローンを完済したときか、繰上げ返済で毎月の返済額を減らしたときです。
持ち出しを消すのに必要な金額
同じモデルで、1年後に返済額を減らす方式(返済額軽減型)で繰上げ返済をした場合、必要な金額は次のとおりです。
| 目標 | 必要な繰上げ返済額 |
|---|---|
| 毎月の収支をゼロにする | 約162万円 |
| 固定資産税などを含めた1年間の収支をゼロにする | 約430万円 |
一度に用意する必要はありません。家賃収入や貯金から少しずつ返していけば、そのたびに持ち出しは縮みます。「いつまで続くかわからない持ち出し」ではなく、「いくら返せば消える持ち出し」として捉えられれば、不安の大きさは変わるはずです。なお、繰上げ返済に手数料がかかる金融機関もあるので、ローンを選ぶ段階で確認しておきましょう。
買う前に確かめること
- 家賃は周辺の相場どおりか:国民生活センターには、家賃保証があると勧められて買ったものの赤字になっている、という相談も寄せられています(参照*1)。提示された家賃が、近くの似た部屋の募集家賃とかけ離れていないかを見てください。
- 経費がすべて入っているか:管理費・修繕積立金・管理手数料に加え、固定資産税・都市計画税、火災保険料まで含まれているか。
- 修繕積立金の値上げ予定:長期修繕計画で、いつ、いくらに上がる予定かを確認する。
- 空室の期間を見込んでいるか:満室だけを前提にした試算になっていないか。
そのうえで持ち出しの年額を出し、貯金と給料から無理なく払い続けられるかを判断してください。払える金額であれば、持ち出しは「失敗」ではなく、資産をつくるための費用として計画に組み込めます。
3. 不安2:空室が続いたら、給料から払い続けることになるのでは
入居者がいない間も、支払いは続く
持っている部屋が1つだけなら、入居者が退去した時点で、家賃収入はまったく入らなくなります。それでも、ローン返済、管理費、修繕積立金の支払いは毎月続きます。
不安1のモデルでいえば、空室中に毎月出ていくお金は、ローン返済69,026円、管理費6,000円、修繕積立金6,700円で、合計81,726円です。3か月空けば約24.5万円になります。賃貸管理手数料の空室中の扱いは契約によって異なるため、ここでは含めていません。
空き部屋は実際に多い。需要があるのも本当
総務省の令和5年住宅・土地統計調査をもとにした推計では、全国の共同住宅で賃貸用などとして空いている住宅は479万4千戸あり、民営のものを床面積別に見ると、29㎡以下が81万8千戸と最も多くなっています。東京都でも、同じ区分の空き家は74万8,500戸と推計されています(参照*3)。ワンルームの空き部屋は、東京にも数多くあるということです。
一方で、東京都への人の流れは続いています。2025年の東京都の転入超過数は65,219人で、年齢別では20〜24歳が57,263人、25〜29歳が20,642人と、単身向けの部屋を借りる中心の世代が多くを占めています。ただし、前年と比べると14,066人減っています(参照*4)。
空室は、東京でも確かにあります。ただ、借りたい人が集まり続けている場所もある。空室が長引くかどうかは、どこで買うかで大きく変わります。
いちばんの備えは、需要が旺盛なエリアで買うこと
入居者は、いつか必ず退去します。空室そのものをなくすことはできません。備えになるのは、退去しても次の入居者がすぐに見つかる場所を選ぶことです。
借りたい人が多いエリアかどうかは、次の点で見分けられます。
- 駅から歩いて通えるか:単身者は、通勤・通学のしやすさを重視して部屋を選びます。
- 都心のオフィス街や大学に、乗り換えが少なく行けるか:通う先に近いほど、借りたい人は途切れにくくなります。
- 似た部屋の募集がすぐに埋まっているか:賃貸の物件検索サイトで、同じ駅・同じ広さの部屋がいくつ、いくらで募集されているかを、何度か見比べてください。募集が少ない、または出てもすぐ消えるエリアは、需要が旺盛だと判断できます。
2戸目からは、エリアを分ける
2戸目、3戸目と持つときは、別のエリアや別の路線で選んでください。1戸が空いても、ほかの部屋の家賃で支払いを補えます。同じ駅や同じ建物に集中させると、そのエリアの需要が落ちたときに、まとめて影響を受けます。
買う前に確かめること
- 空室中の支出を月額で出しておく:ローン返済、管理費、修繕積立金の合計です。この金額が、空室1か月あたりの負担になります。
- 管理会社が入居者を見つけられるか:管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者には、国土交通大臣への登録が義務付けられています。登録業者は、家賃の受け取り状況などの管理業務の実施状況を、少なくとも年1回オーナーに報告しなければなりません(参照*5)。登録の有無に加えて、空室が出たときの募集の進め方や、退去から次の入居までの期間の実績を聞いてみてください。「入居率○%」という数字は、いつの時点の、どの物件を対象にした数字なのかも確認が必要です。
4. 不安3:金利や管理費・修繕積立金が上がって、計画が崩れるのでは
金利は、実際に上がっている
2026年10月時点の状況を確認しておきます。日本銀行は2026年9月18日、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の誘導目標を1.25%程度に引き上げると決め、9月24日から適用しています(参照*6)。
政策金利が上がると、変動金利のローンは金利が上がりやすくなります。固定金利であれば、固定している期間の返済額は変わりません。まずは、借りている(または借りようとしている)ローンがどちらなのかを確認してください。
金利が上がると、返済額はどれだけ増えるか
不安1のモデル(借入1,990万円・35年返済)で、金利だけを変えて比べます。基準の2.3%は、2026年10月時点で置いた試算のための仮定です。
| 金利 | 毎月のローン返済 | 増える額 | 毎月の収支 |
|---|---|---|---|
| 2.3% | 69,026円 | - | ▲5,726円 |
| 2.8%(+0.5%) | 74,381円 | +5,355円 | ▲11,081円 |
| 3.3%(+1.0%) | 79,956円 | +10,929円 | ▲16,655円 |
借入の最初からその金利だった場合として計算した、影響の大きさの目安です。
ここで見てほしいのは、増える額が借入額に比例するという点です。同じ条件で借入額が半分なら、金利が1%上がったときの増加額も約5,500円と、ほぼ半分で済みます。
修繕積立金は、上がる前提で計画されていることがある
修繕積立金の積み立て方には、最初から同じ額を積み立てる「均等積立方式」と、最初は低く抑えて段階的に上げていく「段階増額積立方式」があります。国土交通省は2024年6月にガイドラインを改定し、段階的に上げる場合でも、最初の額は基準となる額の0.6倍以上、最後の額は1.1倍以内とする考え方を示しました(参照*7)。0.6倍から始まる計画なら、最後には最初の約1.8倍まで上がる計算です。
さらに、国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金が計画どおりに貯まっていないマンションが36.6%ありました(参照*8)。積立金が足りなければ、計画以上の値上げや、修繕のときにまとまったお金を集められる可能性があります。
管理費と修繕積立金の金額は、マンションの管理組合が決めます。オーナー1人の判断では止められません。
買う前に確かめること
- ローンは変動金利か固定金利か:変動金利なら、金利が1%上がったときの毎月の収支を出しておく。
- 長期修繕計画:修繕積立金が、いつ、いくらに上がる予定になっているか。
- 修繕積立金の残高:計画どおりに貯まっているか。建物の管理会社が発行する「重要事項調査報告書」で確認できます。
備えは、借入残高を減らしておくこと
金利が上がったときに増える返済額は、そのとき残っている借入額で決まります。繰上げ返済で残高を減らしておくほど、金利上昇の影響は小さくなります。
修繕積立金や管理費の値上げは止められません。ただ、ローン返済の負担が軽くなっていれば、値上げ分を家賃収入の中で吸収しやすくなります。
5. 不安4:売りたいとき、ローンの残りより安くしか売れないのでは
売ってもローンを返し切れない状態は、なぜ起きるのか
物件を売ったお金で、ローンの残りを返し切れない状態を「残債割れ」と呼びます。原因は大きく2つです。
- 相場より高く買っている:新築の価格には、販売会社の広告費や利益が上乗せされています。買った時点で、すでに中古としての相場との差が生まれています。
- 借入が大きく、ローンの残りがなかなか減らない:返済の初めのうちは、毎月の返済額のうち利息の割合が大きく、元本はゆっくりとしか減りません。
不安1のモデル(借入1,990万円・金利2.3%・35年返済。金利は2026年10月時点で置いた仮定)で、ローンの残りの推移を見てみます。
| 経過年数 | ローンの残り |
|---|---|
| 5年後 | 約1,794万円 |
| 10年後 | 約1,574万円 |
| 15年後 | 約1,327万円 |
| 20年後 | 約1,050万円 |
5年たっても、借りた額の9割が残っています。このほかに、売るときには仲介手数料などの費用もかかります。
価格は上がってきた。この先も上がるとは限らない
国土交通省の不動産価格指数では、2010年の平均を100としたとき、2025年12月の区分所有マンションは全国で225.1、東京都で234.8でした(参照*9)。15年ほどで2倍を超えています。
価格が上がってきたことは、売るときには追い風です。ただ、高い水準で買えば、その後に価格が下がったときの影響も大きくなります。今の価格が続く前提で、計画を立てないことが大切です。
売らなければ、損は確定しない
残債割れの状態でも、持ち続けて家賃でローンを返している間は、損は確定していません。本当に困るのは、毎月の持ち出しに耐えられなくなったり、急にまとまったお金が必要になったりして、売りたくない時期に売らざるを得なくなることです。
つまり、売るかどうか、いつ売るかを、自分で選べる状態にしておくことが、この不安へのいちばんの備えになります。
買う前に確かめること
- 購入価格は相場と比べてどうか:国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際に取引された価格の情報を、無料・会員登録なしで調べられます(参照*10)。同じエリア・同じ広さ・同じくらいの築年数の取引価格と比べてください。
- 何年後に、いくらで売ればローンを返し切れるか:ローンの返済予定表で各年の残りを確認し、今の相場と比べておきます。
備えは、ローンの残りを早く減らすこと
繰上げ返済でローンの残りを減らせば、売却額が残りを上回る時期が早まります。そうなれば、売りたいときに売れる状態になります。需要が旺盛なエリアの物件であれば、売るときにも買い手が見つかりやすくなります(不安2を参照)。
6. 不安5:営業担当者にだまされるのでは
国民生活センターが指摘している問題
投資用マンションの勧誘については、国民生活センターが、強引な勧誘や説明不足、収入に見合わない高額なローン、融資の申込みで事実と違う申告をするよう業者が指示するケース、クーリング・オフをさせないようにする業者の存在を、問題点として挙げています(参照*1)。
こんな説明を受けたら、立ち止まる
- 「自己資金がなくても大丈夫」「書類はこちらで用意します」:年収や預金の額を実際と違う内容で申告すれば、融資の不正に関わることになります。書類の内容は必ず自分の目で確かめてください。
- 「家賃は30年間保証されます」:保証している会社が払えなくなれば、家賃は止まります。保証の家賃が周辺の相場と比べて高すぎないか、条件の見直しがいつ、どう行われるのかを確認してください。
- 「節税になる」「年金代わりになる」:家賃収入でどれだけ手元にお金が残るのか、具体的な数字での説明があるかを確かめてください。
- 「今日決めないと、ほかの人に決まります」:その場で決めさせようとする勧誘には、応じる必要はありません。
不安に思ったときや、トラブルになったときは、消費者ホットライン「188」に電話すれば、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます(参照*1)。
7. 不安を小さくするために、今できること
ここまでの5つの不安は、どれも「起きるかどうか」より、「起きたときに耐えられる形で買っているか、持っているか」で結果が変わります。最後に、確かめることを買う前と買った後に分けて整理します。
これから買うなら
| 確かめること | 見るポイント | 詳しくは |
|---|---|---|
| 毎月・毎年の収支 | 経費をすべて入れ、空室も見込んだうえで、持ち出しの年額を貯金と給料から払い続けられるか | 不安1 |
| エリアの需要 | 駅から歩けるか、通う先に行きやすいか、似た部屋の募集がすぐ埋まっているか | 不安2 |
| 管理会社 | 国の登録を受けているか、空室が出たときの募集の進め方と実績 | 不安2 |
| ローンと修繕積立金 | 変動か固定か、金利が1%上がったときの収支、長期修繕計画と積立金の残高 | 不安3 |
| 購入価格 | 周辺の取引価格と比べて高すぎないか、何年後にいくらで売ればローンを返し切れるか | 不安4 |
| 営業担当者の説明 | 申告内容を実際と違えるよう勧められていないか、即決を迫られていないか | 不安5 |
自己資金は、頭金10万円と諸経費60万円〜100万円程度、合計100万円前後がひとつの目安です。大切なのは、手元のお金をすべて使い切らず、買った後の支払いに備える余力を残しておくことです。
すでに持っていて、「儲からない」と感じているなら
- 1年間の収支を出す:家賃収入から、ローン返済、管理費、修繕積立金、賃貸管理手数料、固定資産税・都市計画税、火災保険料を差し引きます。毎月の通帳だけでは見えない年単位の持ち出しが、ここではっきりします。
- 原因が、5つの不安のどれに当たるかを見極める:持ち出しが大きいのか、空室が長いのか、金利や修繕積立金が上がったのか。原因によって、打つ手が変わります。
- 空室が長いなら、管理会社と募集のやり方を見直す:募集の家賃が周辺の相場と合っているか、どこにどう募集しているかを確認してください。
- 持ち出しや金利の影響が大きいなら、繰上げ返済を検討する:ローンの残りが減るほど、持ち出しも、金利が上がったときの影響も小さくなります。
- 売却を考えるなら、急がない:ローンの残りと、周辺の取引価格を比べてください。売るかどうか、いつ売るかを自分で選べるうちは、損は確定していません。
8. よくある質問(FAQ)
- 一棟マンションや、自宅を貸す場合も、同じ不安がありますか?
- あります。ただ、重みが変わります。一棟マンションは部屋数が多いぶん、1室が空いても家賃収入がゼロにはなりにくい一方、借入の額が大きく、建物全体の修繕も自分で判断して費用を負担します。金利上昇や修繕費の不安は、区分マンションより大きくなります。
自宅を貸す場合は、住宅ローンの扱いに注意が必要です。住宅ローンは本人が住むことを前提にしているため、貸し出す前に、借りている金融機関へ相談してください。 - 家賃保証(サブリース)があれば、空室の心配はいりませんか?
- いりません、とは言い切れません。家賃を保証している会社の経営が苦しくなれば、支払いが止まることがあります。国民生活センターにも、家賃保証があると勧められて買ったものの赤字になっている、という相談が寄せられています(参照*1)。契約前に、保証される家賃が周辺の相場と比べて高すぎないか、保証額の見直しがいつ、どのように行われるのかを確認してください。受け取る家賃が下がると、毎月の持ち出しがどれだけ増えるかは、不安1で試算しています。
- 新築と中古では、どちらが「儲からない」リスクが小さいですか?
- 売却時のリスクで比べると、中古のほうが小さくなりやすいといえます。新築の価格には販売会社の広告費や利益が上乗せされているため、買った直後から中古の相場との差が生まれます(不安4を参照)。中古であれば、周辺の取引価格と比べて、購入価格が妥当かを確かめやすくなります。
- 金利が上がっている今、始めるのはやめたほうがいいですか?
- 2026年10月時点では、日本銀行が2026年9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げており、変動金利のローンも上がりやすい状況です(参照*6)。そのうえで知っておきたいのは、金利が上がったときに増える返済額は、借入の額に比例するという点です(不安3を参照)。始めるかどうかは、金利の動きを当てることよりも、金利が1%上がっても持ち出しを払い続けられるか、借入額を抑えられるかで判断してください。変動金利か固定金利かによっても、影響の出方は変わります。
9. まとめ
マンション経営が儲からないかもしれない、という不安は、ひとつの大きな不安ではなく、いくつかの具体的な不安の集まりです。毎月の持ち出し、空室、金利や修繕積立金の上昇、売却時の値下がり、営業担当者の説明。それぞれに、なぜ起きるのか、どう確かめられるのか、どう備えられるのかがあります。
どれも、ゼロにすることはできません。ただ、需要が旺盛なエリアで、相場に見合った価格の物件を選び、払い続けられる収支で持つこと。そして、ローンの残りを少しずつ減らしていくこと。それができていれば、不安が現実になったときにも、慌てて売る必要はなく、損を確定させずに済みます。
気になっている不安がひとつでもあれば、その章に戻って、確かめることから始めてみてください。
10. 出典一覧
- [*1] 国民生活センター「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!-マンションへの投資にはリスクがあり、必ず儲かるわけではありません-」(2019年3月28日公表)
- [*2] 国土交通省 関東地方整備局「『サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン』(令和2年10月16日公表)のポイント」
- [*3] 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査(参考分析)共同住宅の空き家についての分析」
- [*4] 東京都総務局統計部「東京都住民基本台帳人口移動報告(令和7年)結果のポイント」
- [*5] 国土交通省「管理業者の業務|賃貸住宅管理業法ポータルサイト」
- [*6] 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
- [*7] 国土交通省「『長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント』及び『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』の改定について」(令和6年6月7日)
- [*8] 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)」(令和6年6月21日)
- [*9] 国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)を公表」(令和8年3月31日)
- [*10] 国土交通省「ここが便利!不動産情報ライブラリ」


