不動産投資
掲載日2026.09.10
不動産投資の融資とは?住宅ローンとの違いと借りられる人の基準
不動産投資の融資は住宅ローンとは別物です。仕組みの違いから、実際に借りられる人の基準、自己資金の目安まで、初めての方向けに整理して解説します。
導入
不動産投資のローンについて調べ始めたけれど、そもそもの仕組みがよくわからない。住宅ローンとは何が違うのか、自宅のローンを組んでいても借りられるのか、どんな人なら融資を受けられるのか。分からないことだらけで、一歩目をどう踏み出せばよいか迷っているのではないでしょうか。
無理もありません。マイホームのローンは経験したことがあっても、投資用のローンを組んだことがある人は、そう多くはありません。
この記事では、不動産投資の融資がどういう仕組みで成り立っているのか、住宅ローンとは何が違うのか、そしてどんな基準で借りられる・借りられないが決まるのかを、公的資料や金融機関の公開情報、当社データをもとに基本から整理していきます。読み終える頃には、自分がまず何を知っておくべきかが見えているはずです。
1. 不動産投資ローンとは何か(住宅ローンとの違い)
まず知っておいていただきたいのは、不動産投資のローンは、住宅ローンよりも審査が厳しく、金利も高めに設定されているということです。同じ「不動産を買うためのローン」なのに、なぜこれほど条件が変わるのか、疑問に思われるかもしれません。
理由は、お金の返し方にあります。住宅ローンは、あなたの給与収入から返済していく前提で組まれます。一方、投資用のローンは、その物件が生み出す家賃収入から返済していく仕組みです。
給与収入と家賃収入では、安定性が異なります。給与は雇用契約に基づいて毎月ほぼ一定額が振り込まれますが、家賃収入は空室が出れば途切れますし、入居者が家賃を滞納すれば入ってこないこともあります。金融機関からすると、「返済の原資そのものが変動しうる」という点で、住宅ローンより貸し倒れのリスクが高いと判断せざるを得ません。金利が高めに設定されているのも、審査がより慎重になるのも、このリスクの分だけ上乗せされている、と捉えると分かりやすいはずです。
なお、すでにご自宅の住宅ローンを組んでいる方でも、投資用のローンは別の商品として審査されます。「自宅のローンがあるから投資用は無理」と決めつける必要はありません(ただし、既存の借入状況は審査項目の一つとして見られます。この点は次の章で詳しく触れます)。
2. 融資審査で実際に見られている項目
融資の審査というと、年収の一点だけで合否が決まるようなイメージを持たれるかもしれません。ですが実際には、金融機関はあなた自身のことだけでなく、これから購入しようとしている物件のことも合わせて見ています。
見られている項目は、大きく2つに分かれます。
ひとつは、あなた自身の「属性」です。年収、勤務先、勤続年数、そして現在の借入状況などが確認されます。前章で触れた通り、投資用ローンは、主に変動しうる家賃収入から返済していく仕組みのため、万が一家賃収入が細っても給与収入で補える余地があるかどうか、という視点で見られていると考えると分かりやすいはずです。
もうひとつは、購入しようとしている「物件」そのものの収益性です。具体的には「空室リスク」と「利回り」といった収益性に加え、立地、築年数、担保価値などが総合的に評価されます。人気エリアで立地がよく、築年数が浅いほど空室リスクが少ないとみなされ有利になり、リフォーム費用の負担も少なくなり収益性が上がるため、利回りも安定すると評価され有利になることが多いのです。
つまり、あなたの属性がやや心もとなくても、物件の収益性がしっかりしていれば評価は変わってきますし、逆に属性が良くても、収益性の低い物件では慎重に見られることになります。「自分の年収だけで決まる」ものではない、ということが、この2軸から見えてくるはずです。
なお、融資審査における年収の基準は、金融機関や物件の種類によって幅があります。当社が取り扱う東京都内の中古ワンルームマンションや提携金融機関での融資事例では、年収500万円前後が一つの目安となるケースがあります。ただし、これはあくまで「一般的な目安」であり、次の章で詳しく見ていくように、これを下回っていても道が閉ざされるわけではありません。
なお、本記事は東京都内の中古ワンルームマンションを前提にお話ししていますが、一棟アパートのように借入額そのものが大きくなる物件では、区分マンションよりも高い年収基準や、まとまった自己資金が求められる傾向にあります。物件タイプによって必要な条件は変わってきます。
3. 年収500万円という基準をどう捉えればよいか
では、これから融資審査に向き合う上で、まず知っておいていただきたい前提をお伝えします。
なぜこの水準なのか。東京都内の中古ワンルームマンションは、一棟アパートなどと比べて物件価格そのものが抑えられます。前章で触れた通り、借入額が小さくなる分、金融機関が求める年収のラインも相対的に下がる、という関係にあります。
ただし、ここで誤解しないでいただきたいのは、年収500万円さえあれば自動的に審査に通るわけではないという点です。当社提携金融機関の例ですが、融資を受けやすいかどうかは年収以外にも複数の要素が組み合わさって判断されます。目安として、以下のような項目が挙げられます。
- 年収500万円以上であること
- 勤続年数3年以上であること(新卒・転職直後は慎重に見られる傾向があります)
- 勤務先が公務員、大手企業、もしくは上場企業に準ずる中小企業であること(雇用の安定性が重視されるため)
- ローンの総額が年収のおおむね8倍〜10倍以内であること(この物件を含めた借入総額と年収のバランスが見られます。また、高年収者はさらに高い倍率での借入も可能な金融機関もあります)
これらは一つでも欠けると審査に通らない、という絶対条件ではありません。年収がやや基準に届いていなくても、勤続年数が長く雇用が安定していれば有利に働きますし、逆に年収は十分でも他の借入(自動車ローンなど)が多く、借入総額が年収の8倍を超えていると慎重に見られることもあります。複数の項目を組み合わせた、総合判断だと捉えておくとよいでしょう。
つまり、「年収500万円」は、審査という扉の前に立てるかどうかの、最初の目安に過ぎません。自分がこれらの項目にどの程度当てはまっているか、まずはそこから確認してみてください。
4. 自己資金はどのくらい必要か
融資の基準がある程度見えてきたところで、次に気になるのが「自己資金がいくら必要か」という点だと思います。結論からお伝えすると、当社取扱物件・提携ローンの例では、物件価格の10~20%程度の頭金を入れて購入する方がほとんどです。
内訳を見ていきます。物件購入時には、物件価格そのものとは別に、頭金と諸経費という2種類のお金が必要になります。
頭金は、物件価格のうち自己資金でまかなう部分です。フルローンに近い形で購入する場合でも、金融機関によっては10万円程度の頭金を求められることがあります。
諸経費は、物件そのものの価格とは別にかかる費用で、登記費用、不動産取得税、固定資産税・都市計画税の精算金、火災保険料、融資事務手数料などが含まれます。物件の価格や条件によって金額は変わりますが、これらを合わせた自己資金の目安が、先ほどの物件価格の10~20%程度になります。これらは基本的にローンでまかなうことができず、現金での用意が必要になる、というのが基本的な考え方です。
ただし、金融機関によっては、この諸経費部分も含めて融資する「諸経費ローン」を用意しているところがあります。諸経費ローンを利用できれば、自己資金として現金で用意する金額を頭金の10万円程度までさらに抑えることも可能になりますが、その分だけ借入総額は増えるため、毎月の返済額や収支への影響も含めて検討する必要があります。
5. 金利のいま:現在の金利環境をどう捉えるか
自己資金の目安が見えてきたところで、次に気になるのが金利ではないでしょうか。特に今は、金利がこれからどうなるのか、不安に感じている方も多いはずです。
まず押さえておきたい前提として、日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%程度へ引き上げた後、2026年6月の金融政策決定会合で1.0%程度へ引き上げました。その後、7月の会合でも1.0%程度を維持しており、2026年9月時点の政策金利は1.0%程度です。これは1995年以来、約30年ぶりとなる高水準です。2024年以降、日本の金利は緩やかな上昇局面に入っており、この流れは今後もしばらく続く可能性があります。
当社提携の不動産投資ローンの多くは変動金利型です。市場金利に連動して定期的に見直される仕組みのため、今のような金利上昇局面では、借入時の金利がそのまま続くとは限らない、という前提で考えておく必要があります。
実際の金利感をお伝えすると、当社提携金融機関のうち、2026年8月時点で確認できる範囲での東京中古ワンルームマンションに対応する投資用ローンの金利は、おおむね1.7%台〜2.9%程度に分布しています。この幅の大きさは、金融機関ごとに「どこまでリスクを許容するか」というスタンスが異なることの表れです。低金利帯の金融機関ほど属性面の審査が細かくなる一方、間口の広さを重視した金融機関はその分金利がやや高めに設定されている、という傾向があります(この点は次の章で詳しく見ていきます)。
だからといって、金利上昇を過度に恐れる必要はありません。大切なのは、「このまま金利が動かない」という前提で収支計画を立てないことです。今の金利のまま返済していけるかだけでなく、金利が0.5〜1%程度上がった場合でも、家賃収入で無理なく返済していけるかを事前に確認しておくと安心です。もし不安が残る場合は、繰り上げ返済によって借入残高そのものを早めに減らしておくことが、金利上昇リスクへの実質的な備えになります。
なお、金利水準そのものは金融機関によって幅があり、また今後の金融政策によっても変わっていく可能性が高い情報です。実際に借り入れを検討する段階では、その時点での最新の金利を必ず確認するようにしてください。
6. 金融機関の種類と特徴
ここまで、審査の基準や自己資金の目安、金利の考え方を見てきました。最後に、実際にどのような金融機関があるのか、その特徴を整理しておきます。
一口に「投資用ローンを扱う金融機関」といっても、条件は一様ではありません。比較する軸はいくつかありますが、主なものを見ていきましょう。
金利水準の違い
前章で触れた通り、確認できる範囲でも金利はおおむね1.7%台〜2.9%程度の幅があります。同じ「投資用ローン」でも、金融機関によってこれだけの差が生まれます。
属性面の間口の違い
金利が低い金融機関の中には、個人事業主や会社経営者を対象外とする、確定申告書の毎年提出を求めるなど、属性面の条件を細かく設定しているところがあります。一方で、契約社員や様々な雇用形態を問わず相談できる、他社の借入状況にかかわらず検討可能とする金融機関もあり、間口の広さは金利水準と単純に連動するわけではありません。
借入倍率の違い
年収に対してどこまで借りられるかも、金融機関ごとに差があります。年収1,500万円以上であれば年収の14〜15倍まで借入を検討できるところもあれば、年収800万円未満では年収の8倍程度が上限となる金融機関もあります。年収水準によって適用される倍率が変わる設計になっている点は、押さえておくとよいでしょう。
大切なのは、これらの軸がそれぞれ独立しているということです。「金利が低いから総合的に有利」とは限りません。金利水準・属性面の間口・借入倍率は、金融機関ごとに異なる組み合わせ方をしています。金利の低さを優先するのか、借りやすさ(属性面の柔軟さ)を優先するのか、あるいは借入倍率の高さを優先するのか。自分が何を重視するかによって、向いている金融機関のタイプは変わってきます。
なお、こうした金利水準や条件は金融機関の方針変更によって随時見直されるため、実際に相談する段階では最新の条件を確認するようにしてください。
7. 融資に対する不安・不信感とどう向き合うか
不動産投資の融資について調べていると、過去の不正融資問題のニュースを目にして、「融資を受けること自体が危ないのではないか」という不安を持たれる方もいるかもしれません。ここで一つ、実際にあった事例を確認しておきましょう。
住宅金融支援機構は2019年、本人や親族が住むための住宅ローンである「フラット35」が、本来認められていない投資用物件の購入に使われていた疑いについて調査結果を公表しました。外部からの通報をきっかけに調査した結果、100件以上で不正利用が確認され、機構は利用者に対してローンの一括返済を求める対応を取りました。発覚した利用者の多くは20代から30代前半の単身者で、年収300万〜400万円台の会社員が中心だったとされています。
なぜこれが問題になったのか。フラット35は住宅ローンであり、自分や親族が住むための住宅取得にしか利用できません。一方、投資用のローンは金利が住宅ローンよりも大幅に高く設定されています。この金利差に目をつけ、本来使えないはずの低金利の住宅ローンを、投資目的であることを隠して利用してしまった、というのがこの問題の構図です。複数の企業が絡んだグループから、リスクのない不動産投資であるという勧誘を受け、投資目的であることを隠して申し込んでいたケースが多かったと報告されています。
この事件から読み取れることは、「不動産会社に勧められるまま、よく分からない仕組みのローンで契約してしまう」ことの危うさです。本記事の冒頭で触れた通り、住宅ローンと投資用ローンは、目的も金利も別物です。この違いを理解しないまま、「なんとなく条件が良さそうだから」という理由で契約してしまうと、後になって一括返済を求められるような事態にもつながりかねません。
融資そのものが危険なのではなく、自分が今どちらの種類のローンを組もうとしているのか、正しく理解しないまま進めてしまうことにこそ、本当のリスクがあります。逆に言えば、ここまで見てきたような融資の基本的な仕組みを理解していれば、避けられるリスクだということでもあります。
8. よくある質問
- 自宅の住宅ローンが残っていても、投資用ローンは組めますか?
- はい、組めます。投資用ローンは住宅ローンとは別枠で審査されるため、「住宅ローンがあるから投資用は無理」と決めつける必要はありません。ただし、既存の借入状況は審査項目の一つとして見られるため、住宅ローンの残高も含めた総合的な判断がされる点は押さえておいてください。
- 年収500万円に届いていない場合、諦めるしかないですか?
- 年収500万円は東京都内の中古ワンルームマンションにおける一つの目安であり、絶対条件ではありません。勤続年数の長さや、公務員・上場企業勤務といった雇用の安定性が評価されれば、年収がやや基準を下回っていても審査の対象になり得ます。まずは不動産会社が提携している金融機関に相談してみることをおすすめします。
- 自営業やフリーランスでも融資は受けられますか?
- 会社員に比べて、確定申告書など提出書類が増え、収入の安定性がより慎重に見られる傾向があります。ただし、安定した事業実績があれば融資を受けられる可能性は十分にあります。
- 金利が今後さらに上がったら、返済していけるか不安です。
- 変動金利型が中心のため、金利が今後見直される可能性は十分にあります。大切なのは、今の金利のままという前提で計画を立てず、金利が0.5〜1%程度上がった場合でも家賃収入で無理なく返済できるかを事前に確認しておくことです。不安が残る場合は、繰り上げ返済によって借入残高を早めに減らしておくことが実質的な備えになります。
9. まとめ
不動産投資の融資は、住宅ローンとは別物です。返済原資が家賃収入であるという構造の違いから、住宅ローンより審査が慎重になり、金利も高めに設定されています。ですが、これは「融資が特別に厳しいもの」という意味ではありません。
審査で見られているのは、年収だけではなく、勤続年数・勤務先・借入状況といった属性と、物件そのものの収益性です。東京都内の中古ワンルームマンションであれば、年収500万円が一つの目安であり、多くの会社員にとって手の届く水準です。自己資金は物件価格の10~20%程度が目安であり、諸経費ローンを活用すればさらに抑えられる余地もあります。
金利は今、緩やかな上昇局面にあります。だからといって不安になりすぎる必要はなく、金利が上がった場合でも収支が回るかを事前に確認し、必要に応じて繰り上げ返済で備えておく、という視点を持っておけば十分です。
融資そのものが危ういのではなく、その仕組みを正しく理解しないまま進めてしまうことにこそ、本当のリスクがあります。この記事で押さえた基本を踏まえたうえで、まずは不動産会社が提携している金融機関に、自分の状況を相談することから始めてみてください。


