不動産投資

掲載日2026.11.05

不動産投資の金利はいま何%?利上げ局面で収支を崩さないための考え方

不動産投資の金利はいま何%?利上げ局面で収支を崩さないための考え方

不動産投資ローンの金利はいま何%なのか。利上げが返済額にいつ・どう反映されるのか、金利が1%上がると返済額はいくら増えるのかを試算し、東京23区の家賃動向も踏まえて、金利上昇局面でも収支を崩さないための考え方と備えを解説します。

日本銀行は2026年9月18日、政策金利を1.25%程度に引き上げることを決め、今後も経済・物価の情勢に応じて引き上げを続ける考えを示しました。(参照*1)不動産投資の金利も、この流れの外にはいられません。

これから借りる人にとって、その影響はすでに表れています。投資用ローンを扱うある銀行は、金利の基準となる短期プライムレートを、2026年4月1日に年2.175%から2.425%へ、10月1日には2.675%へと、半年で0.5%引き上げました。この銀行の不動産投資ローンでは、金利は申込時ではなく借入日の店頭表示金利で決まり、店頭表示金利は毎月見直されます。基準となる金利が上がった後に借りれば、最初から上がった金利で返済が始まるということです。

仮に2,000万円を35年で借りる場合、金利が2.3%から0.25%上がって2.55%になると、毎月の返済額は約69,400円から約72,000円へ、約2,700円増えます(編集部試算)。利上げが続けば、この差は積み重なっていきます。それでも、金利がどこまで上がると収支がどう動くのかを先に確かめておけば、借りる前に打てる手があります。

これから借りようとしているのか、すでに返済を続けているのかで、影響の出方も打てる手も変わります。この記事では、いまの不動産投資の金利の水準を確かめたうえで、金利が上がると毎月の収支がどう動くのか、「金利が下がるまで待つ」という選択は得なのか、収支を崩さないために何ができるのかを、順に見ていきます。

1. 不動産投資ローンの金利は、いま何%なのか

投資用ローンの金利のもとになる基準の金利は、ある銀行では年2.675%です(2026年10月1日改定後の短期プライムレート)。

ただし、実際に借りる金利は、この基準の金利をもとに、借りる人ごとに決まります。基準の金利そのものも、リードで見たように利上げに合わせて上がっていきます。

ワンルーム向けの投資用ローンの金利は2%~

ワンルームなどの区分マンションを買うための投資用ローンは、販売会社を通じて申し込む「提携ローン」として扱われることがあります。たとえば投資用マンションローンを扱うある金融会社は、提携している販売会社経由での申込みのみを受け付けています。こうしたローンでは、実際に借りる金利を、金融機関のホームページで確かめられないことがあります。

当社が把握している範囲では、ワンルーム向けの投資用ローンで実際に借りる金利は、2026年10月時点でおおむね年2.0%〜3.1%程度です(当社調べ)。どの金利になるかは、年収や年齢、物件の条件などによって変わります。この記事の試算で使う2.3%も、この範囲の中の水準です。

インターネット上の金利一覧には、住宅ローンや不動産担保ローンなど、ワンルームの購入とは別の商品の金利が並んでいることもあります。購入を検討するときは、提示された金利がどの指標をもとに決まり、どのように見直されるのかを、販売会社や金融機関に確かめておきましょう。確かめるべき項目は、第2章で詳しく見ていきます。

同じローンでも、借りる人によって金利は変わる

ある銀行の不動産投資ローンでは、借りる人の金利は、銀行所定の基準利率に、契約ごとに定める上乗せ利率を加えたものです。同じ銀行の同じローンでも、あなたが借りる金利と、ほかの人が借りる金利が同じとは限りません。

金利の相場を眺めるだけでなく、自分の年収や年齢、借入の状況で、どの金利が適用されうるのかを確かめる。これが、いまの金利を自分ごととして知るための第一歩になります。住宅ローンより金利が高い理由や、審査で見られる項目は、「不動産投資の融資」の記事で詳しく解説しています。

投資用ローンは、変動金利が前提

金利が上がる局面では、「固定金利にしておけば安心ではないか」と考えたくなるかもしれません。ただ、投資用ローンでは、固定金利を選べる商品そのものが限られます。たとえばある銀行では、不動産投資ローンなどの店頭表示金利が変動金利型で年4.425%であるのに対し、固定金利期間特約付きは3年型で年5.275%、5年型で年5.775%と高く、しかも新規の取り扱いを中止しています。

つまり、投資用ローンで金利上昇に備えるときに考えるべきなのは、「固定にするかどうか」ではありません。変動金利を前提に、金利が上がったときに収支がどう動くかを知り、それに合わせて手を打っておくことです。次の章では、利上げが返済にいつ、どう反映されるのかを見ていきます。

2. 利上げは、返済額にいつ・どう反映されるのか

すでに借りているローンの金利が上がるのは、年に2回の見直しのタイミングです。ある銀行の投資用ローンでは、4月1日を基準日に見直した金利は7月以降の返済分から、10月1日を基準日に見直した金利は翌年1月以降の返済分から適用されます。

リードで見たとおり、これから借りる人は借入日の基準金利で金利が決まるため、基準金利が上がれば翌月から影響を受けます。一方、すでに借りている人には、見直しの基準日から実際の返済に反映されるまで、2〜3か月の時間差があります。

ただし、金利が上がったときに毎月の返済額まで変わるかどうかは、また別の話です。ここは、借りているローンによって答えが分かれます。

金利が上がると、すぐ返済額が増えるローンもある

ある銀行の投資用マンションローンでは、2026年4月1日に基準金利を年1.550%から1.800%へ0.25%引き上げ、それ以前に借りていた人にも7月の返済分から新しい金利を反映しています。この銀行は、金利が変更されると返済額も見直され、変更されると説明しています。

このタイプのローンで、2,000万円を35年、金利2.3%で借りていた場合、金利が1%上がって3.3%になると、毎月の返済額は約69,400円から約80,400円へ、約11,000円増えることになります(編集部試算)。

これに対して、冒頭で挙げた銀行の投資用ローンでは、金利が変わっても返済額は借入後5年間変わらず、5年ごとの見直しで増える場合も、それまでの返済額の1.25倍が上限になります。いわゆる「5年ルール」と「125%ルール」です。ただし、金利そのものに上限はありません。

どちらが良い・悪いという話ではありません。返済額がすぐ増えるローンは、利上げが毎月の収支にそのまま表れる代わりに、元金は予定どおり減っていきます。返済額が据え置かれるローンは、急な負担増を避けられる代わりに、次に見るような見えない変化が起きています。

返済額が変わらなくても、元金の減り方は変わっている

5年ルールのあるローンでは、金利が上がっても毎月の返済額は同じまま、その中身である元金と利息の割合で調整されます。

2,000万円を35年、金利2.3%で借りた場合、最初の月の返済額約69,400円のうち、利息は約38,300円、元金は約31,000円です。借入直後に金利が1%上がって3.3%になると、返済額は約69,400円のまま、利息が約55,000円に増え、元金に回るのは約14,400円になります(編集部試算)。毎月の収支には何の変化も表れません。

さらに金利が上がり、利息が返済額を上回ると、払いきれない利息は「繰延利息」(一般に未払利息と呼ばれるもの)として持ち越されます。最終回の返済額は、毎月の返済額にかかわらず、残った元金とその利息に、この繰延利息を加えた金額になります。

自分のローンがどちらかは、借りる前に確かめられる

返済額の見直しのルールは、金融機関や商品によって異なります。これから借りる場合は、契約前に商品説明書や金融機関への質問で、次の点を確かめておくと、金利が上がったときに何が起きるかを前もって知ることができます。

  • 金利の見直しは年何回で、いつの返済分から反映されるか
  • 金利が変わったとき、返済額はすぐ変わるのか、5年ごとに見直すのか
  • 返済額が増える場合に、上限(1.25倍など)があるか
  • 利息が返済額を上回ったとき、その利息はどう扱われ、最終的にいつ精算するのか
  • 繰上げ返済をしたとき、返済額の見直し時期はどう変わるか

5つ目は見落とされがちな点です。冒頭で挙げた銀行では、一部繰上げ返済や条件変更をすると、それまでの経過期間にかかわらず、その日から改めて5回目ごとの10月1日に返済額を見直す、と定めています。

すでに借りている人も、この銀行では利率の見直しのたびに返済予定表を発行し、毎月の利率や返済額、元金と利息の内訳、残元金を知らせています。金利が上がったあとは、返済額だけでなく、元金がいくら減っているかに目を向けてみてください。

3. 金利が1%上がると、毎月の返済額はいくら増えるのか

金利が2.3%から3.3%に上がると、金利そのものは約1.43倍になります。それでも、毎月の返済額は約1.43倍にはなりません。2,000万円を35年で借りる場合、返済額は69,373円から80,357円へ、約1.16倍、金額にして約11,000円の増加です(編集部試算)。

金利が4割以上上がっても、返済額の増え方は2割に届かない。この差がなぜ生まれるのかを知っておくと、金利の数字だけを見て身構えずに済みます。

試算の前提

  • 借入額:2,000万円
  • 借入期間:35年
  • 返済方法:元利均等
  • 基準とする金利:2.3%

金利の変更と同時に返済額が変わるローンで、借入直後に金利が上がった場合を想定しています。借入時の金利が違う場合の比較としても、同じ数字になります。

金利別の早見表

金利金利の上昇率(2.3%比)毎月の返済額増加額返済額の増加率
2.3%—69,373円——
2.8%約1.22倍74,755円約5,400円約1.08倍
3.3%約1.43倍80,357円約11,000円約1.16倍
3.8%約1.65倍86,172円約16,800円約1.24倍

(編集部試算)

金利が1.5%上がって約1.65倍になる場合でも、返済額の増加は約1.24倍にとどまります。

返済額が金利ほど増えないのは、元金の返済分が変わらないから

毎月の返済額は、借りたお金そのものを返す「元金」と、借りたことへの対価である「利息」の二つでできています。金利が影響するのは、このうち利息の部分だけです。

35年をかけて返す元金の総額は、金利が何%であっても2,000万円で変わりません。金利が上がって増えるのは利息の部分だけなので、返済額全体で見ると、増え方は金利の上昇率よりずっと緩やかになります。

金利のニュースは、「0.25%の引き上げ」「約30年ぶりの水準」のように、金利そのものの動きで語られます。ただ、あなたの毎月の負担を決めるのは、金利ではなく返済額です。金利が上がったと聞いたときは、返済額でいくら変わるのかに置き換えて考えてみてください。

では、返済額がこれだけ増えても、マンション投資は投資として成り立つのでしょうか。家賃収入との関係から、次の章で見ていきます。

4. 金利が上がる局面でも、投資は成り立つのか

金利が上がったからといって、不動産投資の価値が失われるわけではありません。金利の上昇は、確かにローンの負担を増やします。ただ、不動産投資の収益は、家賃から利息を引いた残りだけでは測れません。上がっていく家賃、ローンの返済を通じて増えていく資産、そして物価の上昇で軽くなっていく借入の重み。これらを合わせて見ると、金利上昇局面での不動産投資の見え方は変わってきます。

まず、金利上昇の影響を冷静に見る

第3章の試算で、金利が2.3%から3.3%に上がると、毎月の返済額は約11,000円、年間で約13.2万円増えます(編集部試算)。

一方、家賃が物価の統計と同じペースで上がった場合を考えてみます。2026年9月の東京都区部の消費者物価指数では、民営家賃は前年同月比2.2%の上昇でした。(参照*2)家賃71,000円が2.2%上がると、毎月約1,560円、年間で約1.9万円の増収です。

返済の増加(年約13.2万円)と家賃の増加(年約1.9万円)を差し引くと、年間約11.3万円の負担増になります(編集部試算)。

ただし、これは家賃が物価の統計と同じペースでしか上がらなかった場合の計算です。実際の東京23区では、新しく入居する人の家賃が、はるかに速いペースで上がっています。

東京23区では、家賃が物価以上に上がっている

アットホームの調査によると、東京23区の単身者向け(専有面積30平方メートル以下)の賃貸マンションの平均募集家賃は、2026年1月に前年同月比11.1%、(参照*3)4月に12.6%上昇したと報じられています。(参照*4)8月も11万4,339円と、前年同月より約1割高い水準でした。(参照*5)

物価の統計の民営家賃(2.2%)と比べて大きな差があるのは、二つの数字が測っているものが違うからです。募集家賃は、これから入居する人を募集するときの家賃です。消費者物価指数の家賃は、すでに住んでいる人の家賃(継続家賃)も含めて調べたものです。財務省の広報誌『ファイナンス』に掲載された分析では、契約を更新するときに家賃が上がる割合は、入居者が入れ替わるときに比べて低いとされています。(参照*6)

家賃が大きく見直されるのは、入居者が入れ替わるときです。内閣府は、募集家賃には消費者物価指数の民営家賃に先行して動く性質があり、東京都区部の民営家賃は先行きも上昇傾向が続くと見込んでいます(令和7年度 年次経済財政報告)。(参照*7)

入居者が入れ替わる頻度は、世帯のタイプによって違います。同じ『ファイナンス』の分析では、賃貸住宅の平均居住期間は全体で4年1か月、単身世帯で3年3か月、ファミリー世帯で5年1か月と示されています。(参照*6)入居期間が短い単身者向けの物件ほど、家賃を相場に合わせて見直す機会が多くなります。

試算物件で、入居者が入れ替わるときに家賃を1割上げて78,100円で貸せたとすると、毎月の家賃収入は7,100円増えます。金利が1%上がったときの返済額の増加分(約11,000円)の6割以上にあたります(編集部試算)。

返済額のうち元金の部分は、「消えていくお金」ではない

それでも不動産投資に意味があるのは、毎月の返済額のうち元金の部分が、借入を減らし、あなたの資産に置き換わっていくお金だからです。

金利3.3%で2,000万円を35年で借りた場合でも、最初の1年間で元金は約30.9万円減ります(編集部試算)。毎月の返済のうち、利息は金融機関に支払うお金ですが、元金の返済は物件のうち自分のものになる部分を増やしています。

毎月いくら手元に残るかだけでは、不動産投資の収益性は評価できません。

物価が上がると、借入の重みは軽くなっていく

物価の上昇は、生活のコストを押し上げる一方で、借りたお金の重みを軽くする側面もあります。

2026年9月の東京都区部の消費者物価指数は、総合で前年同月比2.7%の上昇でした。(参照*2)物価がどれだけ上がっても、借りた2,000万円は2,000万円のままです。仮に物価が年2%ずつ上がり続けると、10年後の2,000万円は、いまのお金に換算して約1,640万円分の重みになります(編集部試算)。

物価が上がり、それにつれて家賃や賃金が上がっていけば、金額が固定された借入の実質的な負担は、相対的に小さくなっていくのです。

問われるのは、「家賃が上がっていく物件かどうか」

ここまで見てくると、大切なのは金利が何%上がったかだけではないことがわかります。金利が上がる局面で、家賃も上がっていく物件なのかどうかです。

物価が上がると、人件費や資材費が上がり、新しく住宅を建てるコストが上がります。財務省の広報誌『ファイナンス』に掲載された分析でも、建設コストの上昇が首都圏を中心としたマンション価格の高騰の一因となり、新規の募集家賃を押し上げる圧力にもなったとされています。(参照*6)新しい住宅の家賃が上がれば、その周りにある既存の物件の家賃にも上昇の圧力がかかります。賃貸住宅という「家賃を生む資産」を持つ意味は、この流れの中にあります。

もちろん、すべての物件で家賃が上がるわけではありません。家賃の上昇を受け止められるのは、借りたい人が多く、入居者が入れ替わっても次の借り手が見つかる場所の物件です。

金利が上がるから、不動産投資はもう終わり。そう単純に考える必要はありません。金利の上昇を上回るだけの家賃収入を得られる物件か。長く賃貸の需要が続く場所か。金利が上がる局面だからこそ、「どんな物件でもいい」から「家賃を生み続けられる物件を選ぶ」へ。物件を選ぶ目が、これまで以上に問われるのです。

5. 「金利が下がるまで待つ」は得策か

待つことが得になるとは限りません。金利が下がる時期は見通せないうえ、待っている間に、借りられる期間と、返済によって資産が積み上がる時間が減っていくからです。

金利が下がる時期は見通せない

日本銀行は2026年9月、政策金利を1.25%程度に引き上げたうえで、経済・物価の情勢の改善に応じて、引き続き引き上げていく考えを示しています。(参照*1)

金利がいつ、どこまで下がるのかは、誰にも言い当てられません。少なくとも、日銀自身が引き上げを続ける考えを示しているいま、「待てば下がる」ことを前提にした計画は、根拠の弱い計画になってしまいます。

金利が上がる前に借りれば、元金の返済に回るお金が増える

金利が低いうちに借りれば、毎月の返済のうち利息に払う部分が小さくなり、そのぶん多くが元金の返済、つまりあなたの資産の積み上がりに回ります。

2,000万円を35年で借りる場合、金利2.3%なら、最初の1年間で元金は約37.6万円減ります。利上げを待つ間に金利が0.25%上がり、2.55%で借りることになると、最初の1年間で減る元金は約35.9万円です(編集部試算)。同じ金額を借りても、借りるときの金利が低いほど、資産は早く積み上がります。

変動金利のため、借りた後に金利が上がれば、適用される金利も上がっていきます。それでも、低い金利で返済を進めた期間のぶん、元金の返済は先に進みます。日銀が利上げを続ける考えを示しているいま、判断は早いほうが有利です。

待っている間に、借りられる期間が短くなる

投資用ローンには、年齢の条件があります。ある銀行の不動産投資ローンでは、借入時の年齢が60歳未満、最終返済時の年齢が85歳未満であることを条件とし、借入期間は最長35年です。

完済時の年齢に上限があるため、借り始めが遅れるほど、年齢によっては借りられる期間が短くなります。借入期間が短くなれば、そのぶん毎月の返済額は増えます。

2,000万円を金利2.3%で借りる場合、借入期間35年なら毎月の返済額は69,373円です。待っている間に借入期間が30年に短くなると、同じ金利でも返済額は76,960円になり、約7,600円増えます(編集部試算)。

借入期間30年で返済額を35年のときと同じにするには、金利が約1.54%まで、つまり約0.8%下がる必要があります(編集部試算)。金利が下がるのを待っても、期間が短くなる影響のほうが大きくなりかねないのです。

待っている間に、積み上がるはずだった資産がある

待っている時間は、資産が積み上がらない時間でもあります。

2,000万円を35年、金利2.3%で借りた場合、最初の5年間で返済される元金は約197万円です(編集部試算)。借り始めを5年遅らせれば、5年後の時点で、この約197万円分の借入の減少は手元にありません。

その間も、家賃は入居者から支払われ続けます。第4章で見たように、東京23区では新しく入居する人の家賃が上がり続けています。待っている間に得られたはずの家賃収入と、元金の返済による資産の積み上がり。この二つを失うことも、「待つ」という選択のコストです。

待つより、「金利が上がっても崩れない計画」で始める

大切なのは、金利が下がるのを待つことではなく、金利が上がっても続けられる計画を立てることです。

  • 自己資金を用意する:自己資金の目安は、頭金10万円と諸経費100万〜120万円程度です。
  • 手元資金を残しておく:自己資金をすべて物件に注ぎ込まず、金利の上昇や空室、修繕に備えたお金を手元に残しておきます。
  • 金利が上がったときの返済額を確かめておく:第3章の早見表のように、金利が0.5%、1%上がったときの返済額を、借りる前に計算しておきます。
  • 自分のローンのルールを知っておく:第2章で挙げた確認項目(返済額の見直しのルールなど)を、契約前に確かめておきます。

金利が上がったときに打てる手は、借りる前から準備できます。具体的な備え方は、次の章で見ていきます。

6. 金利上昇への備え方

金利上昇への備えの中心は、繰上げ返済で借入の残高を減らしておくことです。残高が減れば、金利が上がったときに増える利息そのものが小さくなります。あわせて、手元資金の残し方も押さえておきましょう。

繰上げ返済で、借入の残高を減らしておく

繰上げ返済には、毎月の返済額はそのままで返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。

2,000万円を35年で借り、借入直後に金利が3.3%に上がった場合に、100万円を繰上げ返済したときの効果を比べると、次のようになります(編集部試算)。

方法効果減らせる利息の総額
期間短縮型返済期間が約3年1か月短くなる約201万円
返済額軽減型毎月の返済額が約4,000円減る約69万円

利息を減らす効果が大きいのは期間短縮型です。一方、金利が上がって毎月の返済額が増えた場合に、その負担を和らげたいときは、返済額軽減型が役に立ちます。目的に合わせて選びます。

繰上げ返済には費用がかかることもあります。ある銀行の不動産投資ローンでは、繰上げ返済をする元金に対して、借入日から1年以内なら2.00%、5年超なら0.50%の解約金がかかり、一部繰上げ返済は1回50万円以上からとされています。100万円を繰上げ返済する場合、解約金は1年以内なら2万円、5年超なら5,000円です。

また、第2章で見たとおり、繰上げ返済をすると返済額の見直し時期が変わるローンもあります。繰上げ返済をする前に、費用とあわせて確認しておきましょう。

手元資金を残しておく

金利の上昇は、空室や設備の修繕と同じ時期に重なることもあります。購入時に自己資金をすべて物件に注ぎ込まず、手元にお金を残しておけば、いざというときに慌てずに対応できます。

手元資金は、繰上げ返済の原資にもなります。金利が上がったときに、手元資金から繰上げ返済をして残高を減らす。そのための備えとして、計画的に積み立てておくことをおすすめします。

7. オーナー体験談:繰上げ返済で「手のかかる資産」を「自立した資産」へ

T・S様(男性、掲載時38歳、神奈川県在住)は、東京都内でワンルームマンション5戸を所有しています。掲載時点で、そのうち1戸のローンを完済し、残りの物件も返済を進めています。家賃収入でローンの返済を含む費用をまかないながら、年間約220万円ずつローンを減らしており、現在は金利上昇への備えと、完済した物件を増やすために、繰上げ返済を続けています。

T・S様が繰上げ返済を始めたきっかけは、毎月の返済額を減らし、物件の維持に自分のお金を出さずに済む状態をつくるためでした。保険や支出を見直して資金をつくり、繰上げ返済で返済額を減らしていくと、口座に家賃が少しずつ貯まるようになりました。数か月分の支払いができる程度の家賃が貯まると、空室や修繕で出費があっても、給料から補う必要がなくなったといいます。T・S様は、この変化を「手のかかる資産」から「自立した資産」になった、と表現しています。

T・S様は、不動産投資で失敗する最大の原因は大きすぎるローンであり、繰上げ返済でローンを減らせると実感できる規模で始めることが大切だと語っています。また、不動産投資を始めた2017年以降も、物件価格の暴落など不安をあおる噂は絶えなかったものの、もし始めていなかったら、それまでの7年分で1,000万円以上の家賃収入と、その間に得た知識や経験はなかった、と振り返っています。

出典:日本財託「【資金の効果的な運用】No.369 『手のかかる資産』から『自立した資産』へ」(2024年7月11日掲載)

8. よくある質問

不動産投資ローンの金利は、いま何%くらいですか?
金利のもとになる基準の金利は、ある銀行では年2.675%です(2026年10月1日改定後の短期プライムレート)。実際に借りる金利は、この基準の金利をもとに借りる人ごとに決まり、基準の金利が上がれば、借りる金利も上がっていきます。
金利が1%上がると、毎月の返済額はいくら増えますか?
2,000万円を35年で借りる場合、金利が2.3%から3.3%に上がると、毎月の返済額は69,373円から80,357円へ、約11,000円増えます(編集部試算)。金利は約1.43倍になりますが、返済額は約1.16倍にとどまります。金利が影響するのは返済額のうち利息の部分だけで、元金の返済分は変わらないためです。
固定金利を選べば、金利の上昇を避けられますか?
投資用ローンでは、固定金利を選べる商品そのものが限られます。ある銀行では、固定金利期間特約付きの店頭表示金利が変動金利型より高く、新規の取り扱いも中止しています。投資用ローンでは、変動金利を前提に、金利が上がったときの返済額を確かめたうえで計画を立てることが大切です。
金利が上がりそうなら、購入は待ったほうがよいですか?
待つことが得になるとは限りません。日本銀行は、引き続き政策金利を引き上げていく考えを示しています。(参照*1)金利が低いうちに借りれば、そのぶん多くの返済が元金に回ります。また、完済時の年齢には上限があるため、借り始めが遅れるほど借入期間が短くなり、毎月の返済額が増える場合もあります。待つよりも、金利が上がっても続けられる計画で始めることが大切です。
金利が上がったら、どう備えればよいですか?
備えの中心は、繰上げ返済で借入の残高を減らしておくことです。利息の総額を減らしたいなら期間短縮型、毎月の返済額を減らしたいなら返済額軽減型を選びます。あわせて、購入時に自己資金をすべて使い切らず、手元資金を残しておけば、金利の上昇と空室・修繕が重なったときにも慌てずに対応できます。

9. 出典一覧

執筆者

日本財託Times編集部

松坂 智大

  • 宅地建物取引士
  • FP2級
  • AFP
  • 相続診断士

東京中古ワンルームマンションを中心とした不動産投資、資産形成、賃貸管理に関する情報を発信しています。
日本財託グループ内に蓄積された不動産投資・賃貸管理に関する知見や、セミナー参加者の関心事項、公開情報などをもとに、読者が理解しやすい記事を制作しています。

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