不動産投資
掲載日2026.09.01
不動産投資のはじめかたを迷わず進めるための8ステップ|比較で失敗しない選び方
不動産投資のはじめかたを、何をどう比較して選ぶべきかという視点も交えて解説。目的設定・投資手法の比較・資金準備・物件選びまで、ステップごとに疑問へ答えながら進められる内容です。
現物不動産か、REITか、クラウドファンディングか。新築か、中古か。都心か、地方の高利回り物件か。比較すべき選択肢が多く、どれが自分にとっての「正解」なのか、判断材料が足りないまま足踏みしている方は少なくありません。
その状態のまま物件を決めてしまうと、後から「もっと条件のよい選択肢があった」「この段階で確認しておくべきだった」と気づき、修正が難しいところまで進んでしまうことがあります。逆に言えば、はじめかたの各ステップで何を比較し、何を判断基準にすればよいかが分かっていれば、遠回りをせずに自分に合った投資を選べます。
この記事では、はじめかたのステップを一つずつ追いながら、それぞれの段階で生まれる疑問や不安に、その都度お答えしていきます。読み終える頃には、ご自身の中で比較の軸が整理されているはずです。
STEP1 目的を明確にする
不動産投資は、何のために始めるかによって選ぶべき物件もローンの組み方も変わってきます。まず最初のステップとして、目的を言葉にしておく必要があります。
とはいえ、目的といっても「経済的な余裕がほしい」「将来の年金代わりになる収入がほしい」といった、まだぼんやりとしたものでかまいません。むしろ最初から「毎月5万円の副収入」のように数字まで固まっている人のほうが少なく、多くの方は漠然とした期待からスタートします。目的が具体的でないからといって、始めるべきではないということにはなりません。
節税を目的に不動産投資を始めることは、おすすめできません。理由は、節税効果があくまで一時的なものであり、不動産投資の本来の目的とは別物だからです。
不動産投資を始めると税金が安くなる、という話を聞いたことがあるかもしれません。たしかに、購入した年など一時的に所得税の還付を受けられるケースはあります。これは、実際にお金の支出を伴わない「減価償却費」という帳簿上の費用によって、一時的に不動産所得が赤字扱いになることで生まれる効果です。
この節税効果には、いずれ縮小していく仕組みがあります。マンションのうち減価償却できるのは建物部分だけで、土地部分は対象外です。さらに建物部分は「建物本体」と「建物設備」に分かれており、特に節税効果の源泉となっているのは、耐用年数が短く償却のペースが速い建物設備の部分です。中古物件の場合、築年数が経過しているぶん耐用年数はさらに短くなるため、この設備の償却期間は新築時よりも早く終わります。設備の償却が終わると、それまで大きかった節税効果は目に見えて小さくなっていきます。
加えて、途中で物件を売却する場合、これまで計上してきた減価償却費の累計額を取得価格から差し引いて売却時の利益を計算するため、節税とはいわば「税金を将来に先送りしているだけ」という側面もあります。
節税という短期的な利益を目的にしてしまうと、本来の目的である「家賃収入による長期的で安定した収入源づくり」から物件選びの軸がずれ、無理なローンを組んでしまったり、収益性の低い物件を選んでしまったりする原因になります。
不動産投資の目的は、あくまで長期的に安定した家賃収入を得ることです。目的が漠然としていてもかまいませんが、「節税ありき」で目的を組み立てることだけは避けておくと、この先のステップで物件選びの軸がぶれにくくなります。
STEP2 投資手法を比較し、選ぶ
目的が定まったら、次に決めるのが「その目的をどの手段で実現するか」です。結論から言うと、長期的に安定した家賃収入を積み上げていきたいのであれば、現物不動産がもっとも目的に合った手段になります。
なぜそう言えるのか、他の選択肢と比べながら見ていきます。
不動産に関わる投資には、現物不動産のほかにREIT(不動産投資信託)や不動産クラウドファンディングがあります。どちらも「不動産」という言葉がついていますが、実際に行っていることは現物不動産とは大きく異なります。REITは投資家から集めたお金でファンドが複数の物件を運用し、その利益を分配金として受け取る仕組みです。クラウドファンディングも同様に、事業者が組成した不動産事業に出資し、分配金を受け取る仕組みです。
この2つに共通するのは、少額から始められ、管理の手間がかからない点です。一方で、投資家自身が物件を所有するわけではないため、その物件の家賃収入をローンの返済に充てて資産を築いていく、という現物不動産ならではの資産形成の仕組みは使えません。分配金を受け取って終わり、という性質のものです。
これに対して現物不動産は、物件そのものを所有し、金融機関から融資を受けて購入します。家賃収入でローンを返済していくことで、返済が進むごとに、物件という資産に対する自分の持ち分(借入れを差し引いた純粋な資産)が着実に増えていきます。これは、他人資本(金融機関からの融資)を使いながら自分の資産を形成できるという、現物不動産ならではの特徴です。長期的な資産形成を目的にするなら、この仕組みを使える現物不動産のほうが目的に合っています。
もう一つ、比較検討の際によく出てくるのが「新築か中古か」という論点です。新築物件は建物・設備がすべて新しく、当面は修繕の心配が少ないという安心感があります。ただし、新築物件には「新築プレミアム」と呼ばれる、販売会社の広告費や利益が価格に上乗せされている分があり、購入した直後から相場価格へと下落しやすい傾向があります。一方、中古物件はこのプレミアムが乗っていない分、価格に対して得られる家賃収入の割合(利回り)が新築よりも高くなりやすく、購入後の資産価値の下落幅も新築ほど大きくありません。
長期で安定した家賃収入を積み上げていくという目的に照らすと、価格に対して家賃収入の効率がよく、購入後の値下がり幅も抑えられる中古物件のほうが、目的との相性がよいといえます。
STEP3 エリア・物件タイプを絞り込む
投資手法を現物不動産・中古物件に絞り込んだあとは、「どんな物件を選ぶか」という、もう一段階細かい絞り込みが必要になります。ここでは物件タイプの分かれ道を整理したうえで、エリアの話に進みます。
一棟アパート・マンションか、区分マンションか
現物不動産には、建物一棟をまるごと所有する「一棟アパート・一棟マンション」と、建物の中の1室を所有する「区分マンション」があります。
一棟物件は、複数の部屋から同時に家賃収入を得られるため、1室が空室になっても他の部屋の家賃でカバーできるという分散効果があります。一方で、購入価格が数千万円から億単位になることが多く、必要な自己資金も大きくなります。また、建物全体の修繕やエレベーター・外壁などの維持管理もすべて自分の責任で判断する必要があり、経営としての負担も相応に大きくなります。
区分マンションは、建物のうち1室だけを所有するため、一棟物件に比べて少ない自己資金で始められます。また、建物全体の管理は管理組合と管理会社が担うため、共用部分の維持管理を自分で判断する負担がありません。一方で、1室しか持たない分、その部屋が空室になっている間は家賃収入がゼロになるという点は、一棟物件との違いとして押さえておく必要があります。
限られた自己資金からでも始めやすく、管理の負担が少ないという点で、これから始める方にとっては区分マンションのほうが取り組みやすい選択肢になります。
区分マンションの中でも、ワンルームか、ファミリータイプか
区分マンションの中にも、単身者向けのワンルーム(1R・1K)と、ファミリー向けの2LDK・3LDKなどのタイプがあります。
利回りの水準そのものは、必ずしもワンルームが優位というわけではありません。一般財団法人日本不動産研究所の調査(城南エリア、一棟賃貸住宅)でも、ワンルームとファミリーの期待利回りはほぼ同水準です。むしろワンルームを選ぶメリットは、利回りの数字以外のところにあります。
一つは、入居者が入れ替わるたびに発生する原状回復・リフォーム費用です。ワンルームは専有面積が小さい分、クロスの張り替えや設備交換にかかる工事金額そのものが低く抑えられ、工事にかかる期間も短く済みます。ファミリータイプは専有面積が広い分、同じ工事でも金額・期間ともに大きくなり、その間は家賃収入も止まります。
もう一つは、賃料改定のしやすさです。ファミリータイプは一度入居すると、結婚・子育て・転校といった生活の事情から長期入居になりやすい傾向があります。一見すると安定して見えますが、物価や家賃相場が上昇していく局面では、これがそのままリスクになります。日本の賃貸借契約では、契約更新時に賃料を上げるには基本的に入居者の同意が必要で、一方的に値上げすることは容易ではありません。長期入居が続くほど、本来であれば相場に合わせて引き上げられたはずの賃料を、上げるタイミングを逃したまま据え置くことになりやすいのです。
これに対してワンルームは、単身者の入居期間が比較的短く、入れ替わりの機会が多いぶん、そのつど周辺相場に合わせて賃料を見直しやすいという特徴があります。物価上昇が続く局面では、この「賃料を相場に追随させやすい」という点も、ワンルームを選ぶ理由の一つになります。
長期的に安定した家賃収入を積み上げるという目的に照らすと、工事コストを抑えやすく、相場の変化にも追随しやすいワンルームタイプのほうが、目的との相性がよいといえます。
エリアの絞り込み
物件タイプを区分マンション・ワンルームに絞り込んだら、次に決めるのはエリアです。結論として、東京23区の中古ワンルームマンションを軸に考えていきますが、ここでは「地方の高利回り物件のほうが得ではないか」「将来売りたくなったときに本当に売れるのか」という、比較検討中の方が必ずぶつかる2つの疑問に答えながら、その理由を見ていきます。
「地方の高利回り物件のほうが得ではないか」という疑問について。地方には表面利回り10%を超えるような物件も存在し、東京の中古ワンルームの平均的な水準と比べると、数字だけ見れば見劣りするように感じるかもしれません。実際、2026年度の取引実績(1,004件、自社データ)では、平均価格2,137万円・平均家賃82,551円/月に対し、表面利回りは4.92%となっています。
ただし、利回りは「満室で運用できた場合」の数字です。長期で安定した家賃収入を積み上げるという目的に立ち返ると、重要なのはその利回りをどれだけ安定して実現し続けられるかという点になります。
この点で東京都は、令和5年住宅・土地統計調査(総務省)において空き家率が全国平均を下回っている都道府県の一つです。これは賃貸用以外の空き家も含む全体の数値であり、賃貸経営における実質的な空室率そのものを示すものではありませんが、人が住む場所としての需要が全国的に見ても底堅いことを示す一つの指標にはなります。地方の高利回り物件は、この需要の土台そのものが東京ほど厚くないケースが多く、表面利回りが高くても、実際の稼働率が安定しなければ、当初の想定通りの収入にはつながりません。
「将来売りたくなったときに、本当に売れるのか」という疑問について。家賃収入(インカムゲイン)を軸に考えることと、売却による利益(キャピタルゲイン)を視野に入れることは、対立するものではありません。むしろ、賃貸需要が旺盛でインカムが安定しやすいエリアは、資産価値が高く購入需要も旺盛であることが多く、いざ売却したいと思ったときに「手離れよく」売却しやすいという特徴があります。つまり、インカムを主軸にしながらも、出口(売却)の選択肢を確保できるかどうかが、エリア選びの重要な判断基準になります。
実際、東日本レインズの発表によれば、2025年の首都圏の中古マンション成約件数は49,114件で、前年比31.9%増となり3年連続で前年を上回りました。中でも東京都区部の成約件数・坪単価の上昇が目立ち、都心3区の成約件数は前年比28.8%増加しています。地方の物件は、購入時の利回りが高くても、いざ売却しようとした際に買い手がつきにくく、大きく値引きしなければ売れない、あるいは長期間売れ残るケースが少なくありません。東京の物件は、この「売りたいときに売れる」流動性の高さの分だけ、出口の選択肢を持ちやすいということです。
ここまでの比較を踏まえると、東京23区・中古ワンルームは、安定したインカムを得やすいという条件と、必要になれば手離れよく売却できるという条件を、両方満たしやすい選択肢だといえます。次のステップでは、この選択を実行に移すために必要な自己資金について見ていきます。
STEP4 自己資金を準備する
物件タイプとエリアの方向性が見えてきたら、次に現実的な壁として立ちはだかるのが「自己資金がいくら必要か」という問題です。結論から言うと、東京23区の中古ワンルームであれば、自己資金の目安は100万円です。
内訳を見ていきます。物件購入時には、物件価格そのものとは別に、頭金と諸経費という2種類のお金が必要になります。
頭金は、物件価格のうち自己資金でまかなう部分です。フルローン(物件価格の全額を融資でまかなう組み方)に近い形で購入する場合でも、金融機関によっては10万円程度の頭金を求められることがあります。
諸経費は、物件そのものの価格とは別にかかる費用で、登記費用、不動産取得税、固定資産税・都市計画税の精算金、火災保険料、融資事務手数料などが含まれます。物件を売主である不動産会社から直接購入する場合、仲介会社を介さないため仲介手数料は発生しません。これらの諸経費は基本的にローンでまかなうことができず、現金での用意が必要になる、というのが基本的な考え方です。
ただし、金融機関によっては、この諸経費部分も含めて融資する「諸経費ローン」を用意しているところがあります。諸経費ローンを利用できれば、自己資金として現金で用意する金額をさらに抑えることも可能ですが、その分だけ借入総額は増えるため、毎月の返済額や収支への影響も含めて検討する必要があります。
この頭金と諸経費を合わせると、目安として100万円前後になります。
なお、自己資金を100万円程度に抑えてフルローンに近い形で購入すると、毎月のローン返済額が家賃収入を上回り、収支がマイナスになりやすいという特徴もあります。ここで誤解しやすいのが、「収支がマイナス=失敗」ではないという点です。毎月の収支がマイナスであっても、その裏では毎月の返済によって元本(借入残高)が着実に減っており、資産形成そのものは進んでいます。大切なのは、収支がマイナスであることを放置しないことです。運用を始めたあとに繰り上げ返済を活用しながら収支を改善していく、という視点については、STEP8で改めて取り上げます。
STEP5 融資審査に備える
自己資金の目安が見えたら、次に気になるのが「自分は融資を受けられるのか」という点です。まず、一般的に融資審査で目安とされている基準を整理したうえで、その中身を見ていきます。
融資審査の主な目安
- 年収:500万円以上が一つの目安とされることが多い(金融機関によっては700万円以上を基準とするところもある)
- 勤続年数:3年以上(新卒・転職直後の場合はより慎重に見られる傾向)
- 雇用形態:正社員であること(公務員・上場企業勤務は特に有利に評価されやすい)
- 既存の借入状況:自動車ローン・奨学金など、他の借入れの返済状況
- 信用情報:延滞などの事故情報の有無
上記の基準は、あくまで目安です。審査において重視されるのは、年収そのものの大きさよりも「収入が安定して継続する見込みがあるか」という点です。勤続年数が短い場合や、転職したばかりの場合は、収入自体は十分でも慎重に見られることがあります。一方で、公務員や上場企業の会社員など、雇用の安定性が高いとみなされる属性は、年収が基準に満たない場合でも、評価が有利に働くことがあります。
年収や勤続年数が目安に届いていない場合でも、それだけで審査に通らないと決まっているわけではありません。金融機関ごとに重視するポイントが異なるため、不動産会社が提携している複数の金融機関を通じて相談してみることで、想定より有利な条件が見つかることもあります。
STEP6 物件を探し、不動産会社を選ぶ
エリアと物件タイプ、資金計画の見通しが立ったら、次はいよいよ物件そのものを探すステップです。結論から言うと、ポータルサイトだけで探すのではなく、その会社の免許情報を確認したうえで、資料請求や個別相談を通じて直接情報を集めるのが確実な進め方です。
不動産投資向けの物件情報は、SUUMOやアットホームといったポータルサイトでも見つかります。ただし、投資用の中古ワンルームは、良い条件の物件ほど公開されている期間が短く、ポータルサイトに掲載される前に売れてしまうことも珍しくありません。ポータルサイトは「今、市場に出回っている物件の一部」を映しているに過ぎず、そこに載っている物件だけを比べて選ぶと、選択肢そのものが限られてしまいます。
そのため、東京23区の中古ワンルームを主に扱っている不動産会社に直接問い合わせて、資料請求や個別相談を通じて、ポータルサイトに出る前の情報や、その会社が売主として持っている物件情報を確認するという探し方が、より確実です。
多くの不動産会社は、収支の実態やリスクも含めて誠実に説明していますが、一部の会社では、実態とかけ離れた収支シミュレーションを見せて契約を急がせるような対応も見られます。会社に問い合わせる前後で、以下を確認しておくと安心です。
- 宅地建物取引業の免許番号を確認する。国土交通省の「宅建業者検索システム」で、免許番号や行政処分歴の有無を無料で調べられます
- 免許番号のカッコ内の数字(更新回数)が多いほど、長く事業を続けている実績があることを示します
- 資料請求や個別相談の際、収支シミュレーションについて家賃下落や空室期間などマイナス要素も含めた説明があるかを確認する
- その場での契約や即決を求めてこないかを確認する
- 購入後の賃貸管理まで一貫して対応できる体制があるかを確認する
- 実際にその会社で購入したオーナーの中に、複数戸の所有やローン完済など、うまく運用を継続できている人が多いかどうか(体験談や実績の公開状況から確認できます)
物件を売主から直接購入する形の場合、仲介手数料がかからない一方で、その会社自身が物件の状態や収支の実態について正しく説明しているかどうかを見極める責任は、これまで以上に自分自身にあります。1社だけで判断せず、複数の会社に資料請求・相談をして、説明の内容や担当者の対応、そして実際のオーナーの声を比較してみることが、遠回りのようで一番確実な進め方です。
STEP7 購入・契約する
会社を見極め、物件の候補が絞り込めたら、いよいよ購入・契約の手続きに進みます。結論から言うと、契約前に必ず受ける「重要事項説明」を、その場で流し聞きせず、疑問をその都度解消しながら受けることが最大のポイントです。
契約までの大まかな流れ
- 買付証明書(購入申込書)の提出:購入したい意思を書面で示し、価格や引き渡し時期などの希望条件を伝える
- 重要事項説明:契約前に、宅地建物取引士から物件・取引条件についての重要事項説明を受ける
- 売買契約の締結:契約書に署名・押印し、手付金を支払う
- 融資の本申込・審査:金融機関に正式に融資を申し込み、本審査を受ける
- 決済・引き渡し:残代金を支払い、所有権移転登記を行い、物件の引き渡しを受ける
重要事項説明は、宅地建物取引士が口頭で説明しながら進めるため、その場で聞いて理解した気になってしまいがちです。しかし内容は法令上の制限や管理規約、修繕積立金の状況など多岐にわたり、初めて聞く内容を短時間で判断するには情報量が多すぎます。
説明を受ける際は、次の点を意識しておくとよいでしょう。
- 分からない言葉や説明が出てきたら、その場で質問し、次の項目に進む前に理解しておく
- 特に、管理費・修繕積立金の金額と将来の値上げ予定、大規模修繕の実施状況と次回の予定時期は、聞き流さずに確認する
- 滞納者の有無や、管理組合の修繕積立金の積立状況についても質問する
- 契約解除の条件や、手付解除ができる期限を確認する
- 説明のペースが早く感じたら、遠慮せず「もう一度説明してほしい」と伝える
その場で分かったふりをせず、契約前に疑問を解消しておくことが大切です。重要事項説明から契約締結までの間に十分な検討時間を求めることは、買主として当然の権利です。
STEP8 信頼のおける賃貸管理会社と長く付き合う
物件を購入し、運用がスタートしたあとに向き合う課題の多くは、実は自分ひとりで解決するものではありません。結論から言うと、空室を早く解消し、募集の段階で適切な家賃を設定していくためには、信頼できる賃貸管理会社をパートナーとして持つことが何より重要です。
自己資金を抑えてフルローンに近い形で始めた場合、STEP4で触れた通り、毎月の収支はマイナスになりやすいものです。ここで改めて押さえておきたいのは、収支のマイナスがそのまま失敗を意味するわけではないという点です。毎月の返済によって元本は着実に減っており、資産形成そのものは進んでいます。問題になるのは、収支のマイナスを放置し、繰り上げ返済などの対策を取らないまま何年も過ぎてしまうことです。
繰り上げ返済の資金は、給与から先に一定額を積み立てる仕組み(給与天引き制度など)を使うと、無理なく貯めやすくなります。まとまった資金ができたタイミングで繰り上げ返済に充てることで、毎月の返済額または返済期間が圧縮され、収支は徐々に改善していきます。
長期で保有する以上、空室は避けて通れません。ただし、空室になっている期間の長さは、物件の立地や条件だけでなく、その物件の客付け(入居者募集)を担う賃貸管理会社の実力によって大きく変わります。仲介会社への物件情報の出し方、内見対応のスピードに加えて、募集を開始する時点でその時々の周辺相場を踏まえた適正な家賃を設定できるかどうかが重要になります。相場より高すぎれば空室が長引き、逆に相場を把握せず低く設定してしまえば、本来得られたはずの家賃を取りこぼすことになります。管理会社の動き方一つで、空室期間は数週間で終わることもあれば、数ヶ月に及ぶこともあります。
ここまで見てきた空室対応・募集時の賃料設定は、購入後にどうにかできることではなく、その物件の管理を担う会社の実力にかかっています。だからこそ、物件を選ぶ段階で、購入先の会社が自社で賃貸管理まで一貫して対応しており、かつその管理体制がしっかりしているかどうかを確認しておくことが、そもそもの近道になります。購入と管理の窓口が分かれていない会社であれば、引き渡し後の客付けや家賃設定にも、購入時からの物件知見がそのまま活かされます。
三鷹市の中古ワンルームからスタートしたS・F様(40歳・埼玉県在住)は、購入から3年の間に空室や設備トラブルも経験しましたが、「管理を信頼してお任せしているのだから」と、そのつど過度に動揺せず、長期的な視点で運用を続けてきたと振り返っています。管理を任せられる相手がいるという安心感が、長く運用を続けるうえでの支えになっていることがうかがえます。
※出典:日本財託「事例紹介・オーナー様の声」(S・F様)より
早見表:8ステップ チェックリスト
| ステップ | やること | 目安・ポイント |
|---|---|---|
| STEP1 目的を明確にする | 何のために始めるかを言葉にする | 目的は漠然としていてOK。ただし「節税ありき」は避ける |
| STEP2 投資手法を比較し、選ぶ | 現物不動産・REIT・クラウドファンディングを比較 | 資産形成を重視するなら現物不動産、中古が価格対効果で有利 |
| STEP3 エリア・物件タイプを絞り込む | 一棟か区分か、ワンルームかファミリーか、エリアはどこか | 区分×ワンルーム×東京23区は、収益性と出口の両立で有利 |
| STEP4 自己資金を準備する | 頭金と諸経費を用意する | 目安は100万円前後(会社から直接購入・諸経費ローン利用の場合はさらに抑えられることも) |
| STEP5 融資審査に備える | 自分の属性を確認し、不動産会社の提携ローンを通じて金融機関に相談する | 年収500万円以上・勤続3年以上が一つの目安(金融機関により異なる) |
| STEP6 物件を探し、不動産会社を選ぶ | 資料請求・個別相談で情報を集め、会社を見極める | 免許番号・実績オーナーの声・管理体制の一貫性を確認 |
| STEP7 購入・契約する | 重要事項説明を受け、契約する | 分からない点はその場で質問し、流し聞きしない |
| STEP8 賃貸管理会社と長く付き合う | 収支を見ながら繰り上げ返済を進める | 収支マイナスは放置せず改善、管理会社の実力が空室・賃料に直結 |
FAQ
- 不動産投資は何歳から始められますか?
- 年齢そのものに明確な下限はありませんが、融資審査ではローン完済時の年齢が問われるため、若いうちに始めるほど長い返済期間を組みやすくなります。一方で、年収や勤続年数などの属性を満たしていれば、40代・50代からの開始でも融資を受けられるケースは多くあります。
- 会社員でなくても始められますか?
- 自営業やフリーランスの場合、給与所得者に比べて審査で確認される書類(確定申告書など)が増え、収入の安定性がより厳しく見られる傾向があります。ただし、安定した事業実績や資産があれば、融資を受けられる可能性は十分にあります。
- 頭金なし(フルローン)で始めることはできますか?
- 金融機関や物件によっては、頭金なしに近い形での融資が可能な場合もあります。ただし、自己資金を抑えるほど毎月の収支はマイナスになりやすくなるため、その分、繰り上げ返済による収支改善への意識がより重要になります。
- 1戸目はどのくらいの価格の物件を選ぶべきですか?
- 決まった正解はありませんが、2026年度の実績では平均価格2,137万円程度の物件が多く取引されています。ご自身の年収・自己資金・融資可能額とのバランスを見ながら、無理のない価格帯から検討するのがよいでしょう。
- 始めてから後悔しないために、一番大事なことは何ですか?
- 物件選びそのものより、購入後に長く付き合っていく賃貸管理会社選びです。空室対応や賃料設定は運用開始後もずっと影響し続けるため、購入前の段階で管理体制まで確認しておくことが、後悔を避ける一番の近道になります。


