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掲載日2026.09.30
FIREの種類とは?会社員が副業と資産収入を生かす選び方
経済的自立と早期退職を意味するFIREは、到達点や働き方によってFat FIRE・Lean FIRE・サイドFIREなど複数の種類に分かれます。会社員が副業のダブルインカムから一歩進むために、NISAやiDeCo、株式・投資信託、不動産投資で資産に働いてもらう発想と、自分に合う型の選び方を解説します。
この記事のまとめ
経済的自立と早期退職を意味するFIRE(Financial Independence, Retire Early)は、その到達点や働き方の残し方によっていくつかの種類に分かれます。会社員が副業でのダブルインカムから一歩進むには、資産に働いてもらう発想と、自分の生活水準や許容できるリスクに合う型の見極めが欠かせません。
- FIREには、Fat FIRE・Lean FIRE・サイドFIREなどの考え方があります。
- 会社員に現実的な選択肢として、生活費の半分を不労所得で賄うサイドFIREが挙げられます。
- 資産に働かせる手段には、NISAやiDeCo、株式・債券・投資信託、不動産投資などがあります。
- 長期継続と複利、リスク許容度に応じた借入比率の管理が、選び方の判断軸となります。
1. FIREの定義と会社員が知るべき前提
FIREは経済的自立と早期退職を組み合わせた考え方です。ただし、資産収入で生活費を賄える状態になっても、退職するか働き続けるかは別の判断となります。
FIREと経済的自由の違い
FIREと経済的自由は、似た言葉ですが到達点が異なります。
経済的自由とは不労所得だけで日々の生活費を賄える状態を指し、FIREはその状態に加えて実際に早期退職まで踏み切った状態を意味します(参照*1)。資産収入で暮らせる土台があっても、働き続けるかどうかは本人が選択します。
経済的自由を達成した人のうち、3人に1人は60歳未満の現役世代という調査結果もあり、現役の会社員にも射程が広がっている状況がうかがえます(参照*1)。会社員がFIREを検討するときは、まず経済的自由という土台を築くことと、退職を選ぶかどうかを別の意思決定として整理しておくと、目標像がぶれにくくなります。
日本財託が2021年6月にオーナー1,254名へ実施した調査では、14%、およそ7人に1人が経済的自由を実現していました。達成者の約4割は50代以上で、投資歴は平均約13年、所有戸数は平均15戸です。ただし、これは日本財託のオーナーを対象とした調査であり、一般の投資家全体を示す数値ではありません(参照*1)。
副業ダブルインカムから資産収入への発想転換
副業と資産収入は、どちらも収入源を増やす方法ですが、その仕組みは大きく異なります。
副業は自分の時間を切り売りして得るもう一つの労働所得で、稼働時間に比例して収入が上下します。一方、資産収入は不動産や株式、債券など自分以外のものに働いてもらう仕組みで、給料を得るために働いている時間と同時並行で収益が積み上がっていくことから、一般の会社員でもFIREに近づきうるとされています(参照*2)。
2022年に公表された政府資料では、日本の家計金融資産のうち半分以上が現預金で保有され、株式・投資信託・債券への投資額は244兆円、投資家数は約2,000万人と報告されました(参照*3)。日本銀行によると、2026年3月末の家計金融資産残高は約2,386兆円で、このうち現金・預金は約1,126兆円、構成比は47.2%でした(参照*4)。預貯金と投資の割合は、家計の目的と使用時期に応じて判断する必要があります。
副業で労働時間を増やすのか、資産に働かせて時間の制約から離れるのかは、目指す暮らしと直結する選択です。会社員が副業から一歩踏み込む際は、稼働時間と収入の関係を切り離せる仕組みへ、少しずつ比重を移す発想が起点になります。
預貯金は流動性が高く、急な支出に備えやすい一方、それ自体から得られる収入は金利環境に左右されます。給与以外の収入源を持つことは、将来の家計を考える際の選択肢です。ただし、投資による収入は保証されないため、生活資金を確保したうえで検討する必要があります。
2. FIREの5つの種類と特徴
FIREには、生活水準や働き方に応じて、主に次の5種類があります。
- Fat FIRE:十分な資産を築き、生活水準を維持したまま完全リタイアを目指す型
- Lean FIRE:生活費を抑え、必要な資産額を小さくして完全リタイアを目指す型
- Barista FIRE:資産収入を得ながら、短時間労働で生活費の一部を補う型
- Coast FIRE:早い時期に資産を築き、その後は追加投資をせず運用を続ける型
- サイドFIRE:生活費の一部を資産収入で、残りを労働所得で賄う型
どの種類を選ぶかによって、必要な生活費や資産額、働き方は異なります。名称だけで判断せず、現在の生活水準や将来の支出、許容できるリスクを整理することが大切です。
Fat FIRE
Fat FIREは、現在の生活水準を大きく変えず、十分な資産収入を確保したうえで完全リタイアを目指す型です。必要な生活費が高いほど、準備すべき資産額も大きくなります。
完全リタイア型の実例として、2022年3月末に56歳で早期退職した会社員のケースがあり、不動産投資による収入が背景にあったと紹介されています(参照*5)。
Lean FIRE
Lean FIREは、生活費を抑え、少ない資産収入で生活できる状態を目指す型です。必要な資産額を抑えやすい一方、住居費や交際費などの支出を継続的に管理する必要があります。
Barista FIRE
Barista FIREは、資産収入を得ながら、短時間労働やパートタイムの仕事で生活費の不足分を補う型です。労働時間を減らしつつ、収入や社会との接点を残せる点が特徴です。
Coast FIRE
Coast FIREは、若いうちに一定の資産を築き、その後は追加投資をせず、運用によって将来の資産形成を進める型です。完全に仕事を辞めるのではなく、現在の仕事を続けながら将来の経済的自立を目指します。
サイドFIRE
サイドFIREは、生活費の一部を資産収入で、残りを労働所得で賄う型です。完全に退職する場合より必要な資産額を抑えやすい一方、労働収入が減った場合も想定する必要があります。
サイドFIREは、生活費の半分を不労所得で賄い、もう半分を労働所得で賄う状態と整理されています(参照*6)。労働を完全にやめないため、給与などの収入を維持しながら、必要な資産規模を抑えやすい点が特徴です。
3. 資産に働いてもらう主な手段の比較
NISAやiDeCoは税制優遇のある制度であり、株式や投資信託はその制度で購入できる商品の一部です。不動産投資は、実物資産を保有し、条件によって融資を利用できる点で金融商品とは性質が異なります。
NISA・iDeCoの制度概要
少額投資非課税制度(NISA)と個人型確定拠出年金(iDeCo)は、国が用意した税制優遇のある資産形成の入り口です。
内閣官房の「資産所得倍増プラン」によると、2014年に開始されたNISAは、同プラン策定時の2022年11月時点で1,790万口座となり、国民の7人に1人が口座を保有していました(参照*3)。金融庁が2026年7月3日に公表した調査では、2025年12月末時点で約2,821万口座に増えています(参照*7)。NISAを資産形成に利用する人が増えていることが分かります。
同資料はiDeCoについて、3つの税制優遇を挙げています。掛金の拠出について全額所得控除される点、運用益も非課税で再投資される点、受け取り時にも一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象となる点の3つです(参照*3)。
厚生労働省は、iDeCoの老齢給付金について、原則として60歳から受け取ることができ、受給開始時期を75歳までの間で選択できると案内しています(参照*8)。受け取りの時期に幅があることは、退職時期の選択肢と組み合わせる余地を広げる要素になります。ただし、加入期間によって受給開始可能年齢が異なるため、個別の条件を確認する必要があります。
株式・債券・投資信託の特徴
株式や債券、投資信託といった金融商品は、それぞれ性質が異なるため、共通の物差しで見比べることが必要です。
金融商品を考える際には、安全性、収益性、流動性など複数の観点から特徴を確認する必要があります。金融庁も、金融商品には安全性、収益性、流動性のすべてに優れたものはないと説明しています(参照*9)。安全性は元本や利子の支払いの確実性、収益性は期待できる収益の大きさ、流動性は必要なときの換金しやすさを表す観点です。
価格変動の影響を抑える考え方として、金融庁は長期・積立・分散投資を紹介しています(参照*9)。ただし、これらを組み合わせても元本割れを完全に避けられるわけではありません。ここでいうリスクは、運用成果の振れ幅を指します。
会社員がFIREを見据えて金融商品を組み合わせるときは、この3観点で自分の保有をチェックし、長期・積立・分散の原則から外れていないかを見直す作業が土台になります。特定の商品を追いかけるより、配分と続けやすさの設計を優先する姿勢が、途中でやめないための工夫につながります。
不動産投資の位置づけ
不動産投資は、株式や投資信託とは異なり、実物資産を保有して家賃収入を得ることを目指す手段です。融資を利用できる場合がある一方、空室や修繕、金利上昇などによって収支が悪化する可能性もあります。会社員がFIREの手段として検討する場合は、金融資産との違いを理解し、長期収支と許容できるリスクを確認する必要があります。
4. 会社員がFIREを目指す選び方の判断基準
FIREを目指す際は、必要な期間と許容できるリスクを具体化します。短期の成果ではなく、収入、支出、運用額、借入を含めた長期計画で判断することが重要です。
時間軸と複利の活かし方
FIREを目指す際は、時間の長さと複利の考え方が判断材料になります。
FIRE実現者は、時間を1本の線として捉えるのではなく、並行に何本もの線を走らせて面化することで、24時間を何倍にも増やして資産を作るという発想を語っています(参照*10)。労働時間の外で資産に働かせる仕組みを重ねていく考え方です。
資産形成では、運用期間を長く確保し、定期的に積立や資産配分を見直すことが重要です。年齢や勤務状況、健康状態などによって資産形成の進め方は変わるため、無理なく継続できる計画を立てる必要があります。
調査データでは、経済的自由達成者と未達成者との間で、不動産投資の平均経験年数に約6年の差があるという結果が示されています(参照*1)。ただし、経験年数と達成状況の因果関係を示すものではありません。会社員が選び方を考えるときは、運用期間、繰上返済、再投資の方法を長期収支に組み込み、無理なく継続できるかを確認する必要があります。
不動産投資の収益は、投資額、利回り、運用期間などに左右されます。一方、検討期間を短くすれば成果が高まるとは限りません。年齢、勤務状況、健康状態などによって融資条件が変わる可能性もあるため、開始時期だけでなく、長期収支と許容できるリスクを確認して判断する必要があります。
リスク許容度と借入比率の考え方
リスク許容度に応じて、借入や投資規模をどこで止めるかを決めておくことも、会社員の選び方の要となります。
借入を利用して資産形成を進める場合は、収入、年齢、保有資産、金利、物件の収支などを踏まえ、返済が家計を圧迫しない範囲に抑える必要があります。借入比率に一律の正解はないため、自身のリスク許容度に応じて上限を設定することが大切です。
同じ実現者は、投資によるFIREを目指すのであれば戦わないことを前提に戦略を練ることが大切で、最も重要なのは短期的な成果を求めるのではなく長期的に継続することだと述べています(参照*10)。短期の勝ち負けを追わず、続けられる範囲で規模を決める考え方です。
目標設定の目安として、経済的自由達成者と未達成者の平均手取り家賃の差は21万円という調査結果があります(参照*1)。会社員が自分の設計に落とし込む際は、月々の資産収入の目標額と、そこに至るまでに背負える借入の上限を対で決めておくと、途中でぶれにくくなります。
5. 不動産投資を選ぶ際の注意点
不動産投資は、入居者から得る家賃収入を資産収入として活用できる可能性がある一方、空室、家賃下落、修繕、価格変動などのリスクがあります。融資を利用する場合は、家賃収入だけでなく、返済額や管理費、修繕費などを含めた長期収支を確認する必要があります。
管理を委託する場合は、業務範囲、管理費用、解約条件、空室時の扱いを確認します。サブリースは保証賃料が見直される可能性がある一方、集金代行には空室時の家賃保証がありません。契約内容の違いを理解し、自身の資産規模やリスク許容度に合う方法を検討することが大切です。
6. まとめ
副業でのダブルインカムは収入源を増やす有力な手段ですが、稼働時間と収入が結びついたままです。資産に働いてもらう発想を取り入れ、FIREの種類のなかから自分の暮らしと許容できるリスクに合う型を選ぶことで、会社員でも段階的に選択肢を広げていけます。
まずは経済的自由と早期退職を切り分けて考え、サイドFIREのように労働と資産収入を組み合わせる型から検討するのも一案です。NISAやiDeCo、株式や投資信託、ワンルームマンション投資それぞれの特徴とリスクを比べ、生活資金を確保したうえで、自分の目標額と運用期間に合う方法を判断する必要があります。
7. 出典一覧
- (*1) 経済的自由達成者のうち 3人に1人が60歳未満の『現役世代』
- (*2) 日本財託グループ – 12年間で年1,600万円の家賃収入を達成した現役銀行員が目を付けた不動産投資戦略とは
- (*3) 資産所得倍増プラン
- (*4) 資金循環統計の解説
- (*5) 日本財託グループ – 「お金のために働かない」という生活を約10年で手に入れた私が実践してきたこと
- (*6) 日本財託グループ – 激務OLが15年で年間700万円の不労所得を築き「サイドFIRE」を達成した投資実録
- (*7) NISA口座の利用状況調査
- (*8) iDeCoの概要|厚生労働省
- (*9) 投資の基本
- (*10) 日本財託グループ – 43歳FIRE達成者が明かす今日からできるFIRE実現への3つの習慣


