ワンルームマンション投資

掲載日2026.07.10

ワンルームマンション投資のからくりとは?仕組みとリスクを徹底解説

ワンルームマンション投資のからくりとは?仕組みとリスクを徹底解説

はじめに

ワンルームマンション投資は、少額から始められる不動産投資として広く知られています。私は不動産業界に36年以上身を置き、東京23区の中古ワンルームマンション投資をサラリーマンの方々に提案してきましたが、この投資手法そのものは、給与のほかにもう一つの収入源を作るうえで、きわめて再現性の高い方法だと確信しています。ところが、家賃保証や節税効果といった魅力的な言葉の裏側には、契約の構造上オーナーが不利になりやすい「からくり」が隠れているのも事実です。こうしたからくりを理解しないまま契約すると、想定外の賃料減額や修繕費負担によって収支が赤字に転じるケースがあります。だからこそ大切なのは、仕組みを正しく理解したうえで、身の丈に合った堅実な投資を選ぶことなのです。

この記事では、ワンルームマンション投資の収益構造やサブリース契約の仕組み、節税メリットの裏側、そして行政の規制動向までを順を追って説明します。

ワンルームマンション投資の基本構造

収益の源泉と登場人物の関係

ワンルームマンション投資で収益が生まれる仕組みを理解するには、まず登場人物の関係を押さえる必要があります。物件の所有者であるオーナー、物件を借り上げるサブリース会社(不動産管理会社)、そして実際に部屋に住む入居者の3者が基本的な関係者です。不動産所有者がサブリース会社に物件を一括して賃貸し、サブリース会社がそこから入居者へ転貸する業態がサブリース事業と呼ばれています(参照*1)。

このとき、サブリース会社はオーナーに対して借上賃料を支払い、入居者からはそれよりも高い転貸料を受け取ります。つまり、借上賃料と転貸料の差額がサブリース会社の収益となり、オーナーには借上賃料が毎月の収入として入る構造です(参照*2)。

オーナーから見ると、入居者がいてもいなくてもサブリース会社から一定の賃料が支払われるように見えるため、安定収入を得やすい仕組みに映ります。ただし、空室時にも安定収入を得やすい一方で、満額の家賃収入を受け取れるわけではなく、家賃の1〜2割程度が手数料として差し引かれる点には注意が必要です。この差額構造がからくりの出発点であり、サブリース会社側に有利な条件が組み込まれやすい点を理解しておくことが欠かせません。ここで大切なのは、サブリース契約は「空室リスクを完全にカバーしてくれる魔法の契約」ではないということです。私はオーナーの皆さまに対して、賃貸需要の安定した立地で投資を行えば、そもそもサブリース契約は必要ないとお伝えしています。実際、当社が管理する物件では、東京23区内のワンルームであれば空室が出ても平均1ヶ月ほどで次の入居者が決まっており、年間平均入居率は99%以上を維持しています。立地さえ間違えなければ、手数料を払って空室を保証してもらう必要はないのです。

表面利回りと実質利回りの差

ワンルームマンション投資の勧誘では、利回りが高いことが強調される場面が少なくありません。ここで注意したいのは、表面利回りと実質利回りの違いです。表面利回りは年間の家賃収入を物件価格で割っただけの数字であり、運用にかかる費用が含まれていません。

実際には、建物や設備の修繕費用、固定資産税、管理費といった支出がオーナーの負担として発生します。賃貸住宅に対する固定資産税は所有者であるオーナーの負担となり、老朽化による修繕費用も求められる場合があります(参照*3)。

これらの費用を差し引いた実質利回りは、表面利回りよりも大幅に下がることがあります。勧誘時に提示される利回りがどちらの数字なのかを確認しないと、収支の見通しを誤る原因になります。表面利回りと実質利回りの差こそ、ワンルームマンション投資の最初のからくりといえます。私がいつも強調しているのは、利回りの高さに飛びつかないことです。利回りが高くても賃貸需要の少ないエリアの物件は、その利回り通りのパフォーマンスを発揮しないことがほとんどです。東京23区の中古ワンルームの表面利回りは、おおむね3.5〜4.0%程度と決して派手な数字ではありませんが、管理費・修繕積立金・賃貸管理代行手数料を差し引いた実質利回りで判断したうえで、長期にわたって安定した家賃収入が見込めるかどうかこそが本質だと考えます。

サブリース契約のからくり

家賃保証の仕組みと賃料減額リスク

サブリース契約の大きな売り文句は「家賃保証」です。オーナーに対して毎月の賃料が保証されるように説明されることが多いですが、ここにからくりがあります。「家賃保証」と謳われていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額される可能性があります。さらに「空室保証」と謳われている場合でも、入居者の募集時などに賃料支払の免責期間が設けられていることがあります(参照*3)。

築年数が経過するにつれて賃料が下がる傾向も確認されています。築14年を超えるまでは、サブリース物件のほうが賃料の下落幅が大きく、賃料が下がり続けていくことが明らかになっています(参照*4)。

つまり、「保証」という言葉が持つ安心感とは裏腹に、契約期間中に賃料が段階的に引き下げられるリスクをオーナーは抱えています。当初のシミュレーションどおりの収入が続く保証はどこにもない、という点がこのからくりの核心です。

借地借家法が業者を守る構造

賃料減額のからくりをさらに深く理解するには、借地借家法の存在を知る必要があります。サブリース会社とオーナーの間で結ばれるマスターリース契約は賃貸借契約の一種であるため、借地借家法が適用されます。そのため、賃料自動増額特約や賃料保証特約が設定されていたとしても、サブリース会社は賃借人の立場で借地借家法第32条の賃料減額請求権を行使できます(参照*1)。

この構造では、家賃の減額請求はマスターリース契約における借主側の当然の「権利」として認められており、詐欺にも契約の不履行にもなりません(参照*4)。

一方で、オーナー側から契約を解約するには正当事由が必要とされ、簡単には解約できません。サブリース会社は法律で守られた借主として賃料を引き下げる権利を持ちながら、オーナーは契約に縛られ続けるという非対称な構造が、ワンルームマンション投資のからくりの根幹にあります。

つまり、サブリース契約は「家賃を保証してもらう代わりに、賃料決定の主導権を業者に握られる」契約だと言い換えることもできます。だからこそ私は、空室の心配がないという安心感だけでサブリース契約を選ぶのではなく、まずは空室が出にくい立地の物件を選ぶことを優先すべきだと考えています。賃貸需要の安定した東京23区・駅徒歩10分以内の物件であれば、管理会社がオーナーの代理人として家賃を回収して送金する「集金代行契約」で十分です。家賃の1〜2割を手数料として差し引かれるサブリース契約と違い、家賃という金の卵をまるごと自分のものにできる。これが長期保有・インカムゲイン重視の不動産投資の基本だと、私は20年以上オーナーの皆さまにお伝えしてきました。

誇大広告・不当勧誘の実態

サブリース契約のからくりは、契約の仕組みだけでなく、勧誘の段階にも及んでいます。国土交通省は、契約期間内に定期的な家賃の見直しや借地借家法に基づくサブリース業者からの減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示せずに勧誘している事例を指摘しています。具体的には「○年家賃保証」「支払い家賃は契約期間内確実に保証。一切収入が下がりません」といった表示で、当該期間中に家賃収入が保証されているかのように誤解させるケースが確認されています(参照*5)。

さらに、将来の家賃減額リスクがあることや、契約期間中であってもサブリース業者から契約解除の可能性があること、オーナーの維持保全や大規模修繕などの費用負担があることをあえて伝えず、メリットのみを伝えるような勧誘行為も報告されています(参照*5)。

このように、リスクを意図的に伝えない勧誘手法がからくりの入口となり、オーナーが正確な判断を下せないまま契約に至る状況を生んでいます。

オーナーに残る修繕費と費用負担

サブリース契約を結んでも、物件にかかる費用すべてがサブリース会社の負担になるわけではありません。オーナーは、サブリース業者が賃貸住宅を使用するために必要な修繕費用を求められる場合があります。賃貸住宅の老朽化による建物や設備の修繕費用が必要となり、さらに固定資産税も所有者であるオーナーが負担します(参照*3)。

加えて、オーナーの維持保全、原状回復、大規模修繕などの費用負担があることをあえて伝えずに勧誘する行為も報告されています(参照*5)。

こうした支出は毎年一定額とは限らず、築年数が進むほど増えていく傾向があります。勧誘時に渡される収支計画にこれらの費用が適切に織り込まれているかどうかを確認しなければ、サブリース契約による「家賃保証」があっても実際の手取り額が想定を大きく下回る事態につながります。実は、ここに1棟アパート・マンション投資の危うさと共通する落とし穴があります。1棟物件は建物全体の修繕費負担が一度に重くのしかかるため、家賃保証があっても収支が一気に崩れることがあります。同じ金額を投じるなら、一つの不動産に集中投資するのではなく、複数の区分ワンルームに分散投資するほうが、修繕費のリスクも空室のリスクも分散でき、はるかに堅実だと私は考えています。

節税メリットのからくり

損益通算による所得圧縮の仕組み

ワンルームマンション投資が節税になるという勧誘を受けた経験がある方もいるかもしれません。この節税のからくりの中心にあるのが「損益通算」という仕組みです。不動産所得の金額は、その年の総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。この結果、不動産所得に損失(赤字)が生じたときは、他の黒字の所得金額から差し引くことができます。国税庁はこれを損益通算と定めています(参照*6)。

つまり、給与所得などの黒字と不動産所得の赤字を相殺することで、課税対象となる所得額を圧縮し、結果として支払う税金が減る構造です。勧誘時には、この仕組みを利用して「税金が戻ってくる」と説明されることがあります。

しかし、赤字が前提となっている投資は本来の資産運用の目的と矛盾しています。節税効果は不動産所得が赤字の期間に限られるため、赤字を生み出す主な要因である減価償却費がなくなったあとの収支を見据えなければ、正確な判断はできません。私は常々、不動産投資の目的は長期的に安定して家賃収入を得ることにあって、決して節税や売却益を目的にしたものではないとお伝えしています。節税効果を得たいがために不動産投資を始めると、物件選びがその目的から離れていってしまうのです。節税はあくまでも副次的な効果と捉え、本来の目的である家賃収入の安定確保に集中すべきでしょう。

減価償却終了後に逆転する収支

減価償却とは、建物の取得費用を法定耐用年数にわたって経費として計上する仕組みです。減価償却費を計上できる期間中は、帳簿上の経費が膨らむため不動産所得が赤字になりやすく、損益通算による節税効果が得られます。しかし、耐用年数を過ぎると減価償却費の計上が終わり、経費が大幅に減少します。

経費が減ると、それまで赤字だった不動産所得が黒字に転じ、給与所得と合わせた課税所得が増加します。その結果、所得税や住民税の負担が重くなり、手取りの収支がかえって悪化するケースが起こり得ます。サブリース契約が節税対策の方法の1つとして利用される背景には平成25年度の税制改正による相続税の増税があるとされていますが、サブリース契約の利用増加に伴い新たな問題も多く生じています(参照*7)。

節税メリットだけに着目すると、減価償却終了後の収支逆転というからくりを見落とすことになります。投資期間全体を通じた税負担の変化を把握することが欠かせません。

売却時に発生する譲渡所得課税

節税効果を評価するうえで見落とされがちなのが、売却時に発生する譲渡所得への課税です。不動産を売却したときの譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。このとき、建物の取得費は購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額となります(参照*12)。

つまり、保有期間中に減価償却費を多く計上してきた物件ほど、税務上の取得費は小さくなります。その結果、購入価格と同程度の金額で売却したとしても、税務上は譲渡所得が発生し、所得税と住民税が課されることがあります。保有期間中に減価償却費で得てきた節税効果が、売却時には税負担となって戻ってくる構造です。

譲渡所得の税率は保有期間によって異なります。所有期間が5年を超える長期譲渡所得は所得税15%・住民税5%の税率が適用されるのに対し(参照*13)、5年以下の短期譲渡所得は所得税30%・住民税9%と税率差が大きく開きます(参照*14)。短期間で売却すると税負担が一気に重くなるため、売却時期によっても手取り額は大きく変動します。節税メリットを評価する際は、保有期間中の損益通算だけでなく、売却時の譲渡所得課税まで含めたトータルの税負担を試算することが欠かせません。つまり、売却を前提とした投資ほど税負担の読みづらさがつきまといます。私はこの業界に40年以上いて、まさに売却益(キャピタルゲイン)を狙って大変な目にあった人を何人もこの目で見てきました。だからこそ、売却益狙いの投資はおすすめしません。不動産投資の最終ゴールは、ローンを完済した無借金経営で、最後に残った家賃収入を存分に使える「本当の資産家」になることだと考えています。物件は最後まで持ち続けてこそ、ローン完済後の家賃収入がまるまる利益になるのです。

融資審査に潜む不正のリスク

ワンルームマンション投資の購入資金は金融機関からの融資で賄うケースが大半です。融資を受けやすいかどうかは、年収500万円以上であるか、勤続年数が3年以上あるか、勤務先が安定しているか、ローン総額が年収の8倍以内に収まっているか、副収入の有無といった点でおおよそ確認できます。そして、ここにもからくりが潜んでいます。不動産業者や金融機関が、賃貸住宅の賃料や入居率について実勢よりも高く想定し、または実績値よりも高い数値に改ざんして物件の評価を行い、割り増された不動産価格に基づいて必要以上に多額の融資が実行されていた事例が報告されています(参照*3)。

融資額が物件の実力以上に膨らむと、毎月のローン返済額も大きくなります。賃料収入だけでは返済をまかなえず、持ち出しが常態化するリスクが高まります。融資の前提となった数字が実態と合っているかを自分自身で確認する姿勢が求められます。私が最大のリスクは「借金」だと申し上げているのは、まさにこの点です。自己資金が数百万円しかないのに1億円、2億円といった多額の借金を背負えば、空室や金利上昇が起きた瞬間に返済が立ち行かなくなります。ここで大切なのは、借入割合を資産の40%以下に抑えることです。私はこれを目安に投資を進めれば、リスクのコントロールができ、不動産投資で破たんすることはまずないと考えています。ローンは本来、人のお金で資産形成を進められる道具であり、家賃収入で元本を返済しながら毎月確実に資産を拡大していける優れた仕組みです。問題はローンそのものではなく、身の丈を超えた過剰なレバレッジにあるのです。

行政の規制強化と立入検査の動向

賃貸住宅管理業法の規制内容

ワンルームマンション投資に関連するサブリース業界に対しては、行政による規制が強化されてきました。国土交通省は、トラブルを未然に防止するため、すべてのサブリース業者の勧誘時や契約締結時に一定の規制を導入しました。サブリース業者と組んで勧誘を行う者(勧誘者)も、勧誘の適正化のための規制対象に含まれています(参照*8)。

具体的には、不当な勧誘行為および誇大広告等の禁止に加え、オーナーとサブリース業者の間のマスターリース契約締結前に重要事項説明を行うことが義務づけられています(参照*9)。

この法規制によって、賃料減額の可能性や契約解除の条件、オーナーの費用負担といった不利な情報も契約前に説明しなければならなくなりました。オーナー側はこの重要事項説明の内容を十分に読み込むことで、からくりに気づく手がかりを得ることができます。実際、この賃貸住宅管理業法のうち、サブリース事業に関する規制は2020年12月15日に先行して施行されました。サブリース契約をめぐるトラブルが社会問題化したことを受けての法整備であり、業界に長くいる者として、こうした透明性を高める動きは健全な方向だと歓迎しています。ただ、法律ができたからといって、オーナーが何も確認せずに安心してよいわけではありません。むしろ、重要事項説明として明文化された賃料減額や費用負担のリスクこそ、契約前にしっかり読み込むべき要点だと考えてください。

全国一斉立入検査の結果と違反傾向

法規制が整備されたあとも、業界全体で法令順守が徹底されているとはいえない状況が続いています。国土交通省は令和6年6月から令和7年3月にかけて、全国187社の賃貸住宅管理業者およびサブリース業者へ立入検査を実施し、そのうち127社に是正指導を行いました。令和6年度の指導率は67.9%となり、令和5年度の59.2%と比較すると8.7ポイント増加しています。依然として一部の賃貸住宅管理業者等において法に対する理解不足がみられる結果となりました(参照*10)。

是正指導で多かった違反項目としては、管理受託契約の締結時の書面交付義務違反が最多で、賃貸住宅管理業者の従業者証明書の携帯等義務違反、賃貸住宅管理業者の帳簿の備付け等義務違反が続いています(参照*10)。

立入検査を受けた業者の約7割が是正指導を受けている事実は、オーナー自ら契約内容を精査する必要があることを示しています。法律があるから安心と考えるのではなく、契約書面が適切に交付されているか、説明に不足はないかを自分で確かめることが欠かせません。これは裏を返せば、信頼のおける賃貸管理会社を見極めることが、いかに大切かということでもあります。私が管理会社選びでお伝えしているのは、入居率を定期的にWebサイトで公開しているか、その入居率の算出根拠が明確か、そして十分な管理戸数を持っているか、という3つのポイントです。なお、ひと口に「管理」といっても、家賃の集金・滞納時の督促・入居者の募集・設備対応など部屋ごとの管理を担う「賃貸管理」と、共用部の清掃・設備点検・修繕計画・管理組合の運営などマンション全体の管理を担う「建物管理」は別のものです。この違いを理解しておくと、管理会社がどこまでの業務を担ってくれるのかを正しく判断できます。買って終わりではなく、買ってからがスタートです。長く付き合えるパートナーを選ぶことが、結局はオーナー自身の資産を守ることにつながります。

からくりを見抜く判断基準

契約前に確認すべき5つのポイント

ワンルームマンション投資のからくりに気づくためには、契約前の段階で確認すべき事項があります。以下の5つのポイントを押さえておくと、リスクを見落としにくくなります。

  1. 賃料減額の可能性が説明されているか。「家賃保証」と謳われていても賃料が減額される場合があるため、契約書に減額条件が記載されているかを確認します。
  2. 重要事項説明から契約締結までに十分な期間が確保されているか。国土交通省は、重要事項の説明から契約締結までに1週間程度の期間をおくことが望ましいとしています(参照*5)。ただし実務上は即日や数日のうちに契約に至るケースも少なくないため、業者任せにせず、オーナー側から検討期間の確保を求める姿勢が重要です。
  3. 修繕費・固定資産税・管理費などの支出が収支計画に含まれているか。
  4. 利回りが表面利回りなのか実質利回りなのか。どのような費用を差し引いた数字なのかを確認します。
  5. 融資の前提となる賃料や入居率が実態に即しているか。過去の実績値と比較して不自然に高い数字が使われていないかを見極めます。

オーナー自らがローン返済も含めた事業計画やリスクについて十分理解し、契約内容や契約期間中の賃料減額などのリスクを把握したうえで契約に臨むことが求められています(参照*3)。

契約内容の確認とあわせて、物件そのものの見極めも欠かせません。私が避けるべきとお伝えしているのは、旧耐震基準の物件、15㎡以下の狭小物件、室内に洗濯機置き場のない物件、駅から徒歩15分以上かかる物件などです。こうした物件は入居者から敬遠されやすく、長期にわたって安定した賃貸需要を見込むことが難しいためです。

相談窓口と情報源の活用

からくりを見抜くには、自分だけで判断せず、外部の情報源や相談窓口を活用することも有効です。消費者庁は、サブリース契約に関する注意喚起の資料を公開し、オーナーが契約前に確認すべきリスクを具体的に示しています(参照*3)。

国土交通省も、サブリース事業に関するポータルサイトを通じて、マスターリース契約とサブリース契約の違いや注意点を公開しています(参照*11)。

勧誘を受けた際に少しでも不審に感じた場合は、こうした公的機関の情報と照らし合わせてみてください。業者の説明だけに頼らず、複数の情報源を比較することが、からくりに巻き込まれないための基本的な防御策になります。そして、もう一つ申し上げたいのは、検討に時間をかけすぎることもまた機会損失だということです。不動産投資の収益は「資本×利回り×時間」で決まり、なかでも時間は誰にも平等に与えられた、しかし刻一刻と目減りしていく資源です。からくりを正しく見抜く知識を身につけたうえで、確かな物件を選んだなら、行動を起こすのは早いほうが良い。これが、36年以上この業界を見てきた私の率直な思いです。

おわりに

ワンルームマンション投資には、家賃保証の減額リスク、借地借家法によるオーナーと業者の非対称な立場、節税効果の時限性、そして見えにくい支出と融資の不正といった複数のからくりが存在します。これらは個別に見ると小さな問題に思えても、重なることで大きな損失につながる可能性があります。

行政の規制強化は進んでいるものの、立入検査では依然として高い割合で是正指導が行われている現状があります。契約前に利回りの内訳、賃料減額の条件、修繕費の見通しなどを自分自身で確認し、公的機関の情報源も活用しながら判断することが、からくりを見抜くうえで押さえるべきポイントです。最後に強調しておきたいのは、これらのからくりは「ワンルームマンション投資そのものが危ない」という話ではない、ということです。むしろ、賃貸需要の安定した東京23区・駅徒歩10分以内・新耐震基準のRC造・分譲タイプという確かな物件を選び、信頼できる管理会社に委託し、借入割合を抑えながらコツコツと繰上げ返済を続けていけば、サラリーマンの方でも給与のほかにもう一つの収入源、いわば私的年金を築くことは十分に可能です。私が知るオーナーの皆さまの多くが、後になって「もっと早く始めていれば良かった」とおっしゃいます。からくりを恐れて立ち止まるのではなく、からくりを見抜く目を持って、着実な一歩を踏み出していただきたいと願っています。

参照

執筆者

日本財託Times編集部

松坂 智大

  • 宅地建物取引士
  • FP2級
  • AFP
  • 相続診断士

東京中古ワンルームマンションを中心とした不動産投資、資産形成、賃貸管理に関する情報を発信しています。
日本財託グループ内に蓄積された不動産投資・賃貸管理に関する知見や、セミナー参加者の関心事項、公開情報などをもとに、読者が理解しやすい記事を制作しています。

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