家賃収入

掲載日2026.08.17

家賃収入は副業になる?会社員が知っておきたい規定・税金・実務

家賃収入は副業になる?会社員が知っておきたい規定・税金・実務

家賃収入は副業にあたるのか。就業規則・公務員規定との関係、確定申告の要否、始めるための自己資金の目安まで、会社員が知っておきたい実務をわかりやすく解説します。

1. 導入

給与だけに頼らない収入源が欲しい。そう思って「家賃収入」を調べ始めたものの、副業として本当に成立するのか、実際どのくらいの収入になるものなのか、判断材料が足りていない——そんな段階ではないでしょうか。

家賃収入には、他の副業とは違う特有の事情がいくつかあります。まず、会社の副業規定に引っかからないかという確認が要ります。そのうえで、時間や労力をほとんどかけずに得られる収入だからこそ、「実際どの程度の規模なら、どのくらいの家賃収入になるのか」という実現可能性が気になってくるはずです。

この記事では、副業規定との関係を整理したうえで、なぜ給与以外の収入源を持つことに意味があるのかに触れ、そのうえで他の副業と比べた場合の家賃収入の実際の規模感まで、具体的にお話ししていきます。

2. そもそも家賃収入は「副業」にあたるのか

結論から言うと、家賃収入(資産運用としての不動産投資)の多くは、就業規則が制限しようとしている「副業」には該当しません。ただし、勤務先が民間企業か公務員かで参照すべきルールが異なり、規模が大きくなると話が変わってきます。順番に見ていきましょう。

民間企業に勤めている場合

厚生労働省のモデル就業規則は、かつてあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という一律禁止の規定を削除しており、現在は「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という内容になっています(参照*1)。

家賃収入は、雇用契約に基づいて時間を切り売りする働き方とは性質が異なるため、多くの会社では「副業」として想定している範囲の外に置かれているのが実務上の扱いです。ただし最終的な線引きは会社ごとの就業規則次第なので、就業規則の文言(禁止/届出制/許可制のいずれか)は一度確認しておくと安心です。

公務員の場合

公務員は国家公務員法・地方公務員法により営利企業への従事や自営が原則制限されていますが、不動産賃貸には人事院規則で明確な線引きがあります(参照*2,3)。以下のいずれにも該当しなければ、承認なしで行えます。

  • 独立家屋の賃貸が5棟以上
  • 区分マンション・アパート等の賃貸が10室以上
  • 土地の賃貸契約が10件以上
  • 賃貸料収入(不動産・駐車場合計)が年額1,000万円以上(建物のみの賃貸で床面積合計600㎡未満の場合は適用除外)

区分マンション数室から始める場合は、多くのケースでこの基準に収まります。なお賃貸料収入の基準は令和8年4月1日施行の見直しで、従来の年額500万円から1,000万円に引き上げられています。

地方公務員は地方公務員法第38条に基づき任命権者の許可を受ける仕組みで、国家公務員のような全国一律の数値基準がそのまま適用されるわけではなく、自治体ごとの規則を確認する必要があります。

規模が大きくなった場合

ここで紹介した基準はいずれも「一定規模まで」という線引きです。物件を増やしていき規模が事業的になっていくと、資産運用から一歩踏み出した扱いになる点は民間・公務員共通で押さえておく必要があります。最終的な判断は勤務先の就業規則・規程や人事担当への確認によります。

3. なぜ今、給与だけに頼らない収入源が必要なのか

給与一本に頼る働き方は、今の時代、思っている以上にリスクを抱えています。理由は大きく2つあります。ひとつは会社が用意してくれる「老後の原資」が年々目減りしていること、もうひとつは、収入源がひとつしかないこと自体がストレスや不安の温床になるということです。

退職金は、当てにしていた金額より少なくなっている

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によれば、大学卒・勤続35年以上の定年退職者1人平均退職給付額は2,037万円で、前回調査(令和2年)の2,173万円から減少しています(参照*4)。退職給付制度がある企業の割合も、前回の80.5%から74.9%に下がっています。「勤め上げれば退職金でなんとかなる」という前提そのものが、静かに崩れてきているのが現状です。

平均寿命は延び続け、「老後」の期間そのものが長くなっている

厚生労働省「令和6年簡易生命表」によると、2024年の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です(参照*5)。65歳まで生存する割合は男性89.6%、女性94.4%にのぼり、多くの人が老後をかなり長い期間過ごすことになります。長生きすること自体は喜ばしいことですが、その分、老後に必要な生活資金の総額も大きくなるという現実があります。

収入源がひとつしかないことが、不安とストレスの原因になる

私たち日本財託では、給与という収入源に加えてもうひとつ収入の柱を持つことを「ひとりダブルインカム」という考え方でお伝えしています。収入源をひとつしか持たないと、その収入が滞った瞬間に生活全体が揺らぎます。逆に、給与とは別に安定した収入源があれば、会社の業績や自分の健康状態に何かあっても、生活の土台が崩れにくくなります。

実際、私たちが2021年6月にオーナー様(有効回答1,254名)を対象に行ったアンケート調査では、家賃収入によって経済的自由(不労所得だけで生活費を賄える状態)を実現していると回答した方が14%(172名)にのぼりました。さらに、経済的自由を達成して一番良かったことを尋ねたところ、「精神的な余裕」(60%)が最も多く、次いで「時間的な余裕」(28%)、「金銭的な余裕」(17%)という結果でした。家賃収入がもたらす価値は、金額そのものだけではないことがうかがえます。

給与という収入源を大切にしながら、そこにもうひとつの収入の柱を加えていく。これが、副業として家賃収入を検討する意味だと考えています。

4. 数ある副業の中で、家賃収入は何が違うのか

家賃収入と他の副業を分けている一番の違いは、時間を切り売りしない仕組みだという点です。ただし、始めてすぐにまとまった手取りが出るとは限らない、という現実も正直にお伝えしておきます。この2つを、順に見ていきます。

副業としての性質を比較する

せどり・転売 株式・投資信託 ブログ・アフィリエイト 家賃収入(不動産投資)
必要な時間 継続的にかかる(仕入れ・出品・発送) 少ない(積立なら放置も可) 立ち上げ期に多くかかる 購入後は管理会社に委託でき、ほぼかからない
収入の安定性 需要変動の影響を受けやすい 相場変動の影響を直接受ける 軌道に乗るまで不安定 入居者がいる限り家賃という形で安定
初期資金の目安 数万円〜(仕入れ資金) 数千円〜(少額から可) ほぼ不要 60万円〜100万円程度(自己資金)
再現性 個人のリサーチ力に依存 相場次第で結果が変わる 個人のスキル・発信力に依存 立地・物件選びの型があれば再現しやすい

家賃収入は「自分の時間を継続的に投入し続けなくてよい」という点、そして「入居者がいる限り家賃という形で収入が発生し続ける」という点で、他の副業とは構造そのものが異なります。相場の値動きに一喜一憂する必要もありません。

では、実際どのくらいの収入になるのか

日本財託が2026年に引渡を行った成約実績(1,004件、専有面積平均20.94㎡のワンルームクラス)で見ると、平均成約価格は約2,137万円、平均家賃(現状家賃)は月額82,551円、表面利回りは4.92%でした。

この物件を、自己資金60万円〜100万円程度を入れてほぼフルローンに近い形で購入した場合、月々のローン返済額は家賃収入とほぼ同水準になることが多く、そこに管理費(月平均7,729円)・修繕積立金(月平均6,035円)・管理委託料などの経費を差し引くと、毎月の収支は小幅な赤字になるのが一般的な傾向です(金利・返済期間・個別物件の条件によって変わるため、あくまで目安です)。

ここで誤解しやすいのですが、この毎月の赤字は「失敗」を意味しません。返済額の中には、利息だけでなく元本の返済分も含まれているため、収支がマイナスの間も、ローン残高は着実に減っていきます。つまり、毎月の手取り収入としては目立たなくても、資産としての価値(物件を売却したときに手元に残る金額)は積み上がっているということです。副業として「今すぐ稼げる金額」を期待していると物足りなく感じるかもしれませんが、この点こそが家賃収入の実態です。

そして、この収支を前向きに改善していく手段が繰り上げ返済です。手元資金に余裕ができたタイミングでローン残高を計画的に減らしていくことで、毎月の返済額そのものが下がり、収支は徐々にプラスへと転じていきます。物件を1戸だけでなく複数戸保有するようになると、その分だけ家賃収入の総額も増えていき、副業として得られる金額としての存在感が徐々に大きくなっていく、というのが実際の広がり方です。

「すぐに大きく稼げる副業」ではなく、「時間をかけずに、着実に資産と収入を積み上げていく副業」——これが、他の副業と比較したときの家賃収入の実像だとご理解いただければと思います。

5. 副業として始める場合の実務

副業として無理なく続けていくために押さえておきたいのは、大きく3つです。「いくら要るか」「税金の手続きはどうなるか」「本業に手間をかけずに回せるか」。順番に整理します。

自己資金の目安

物件価格の全額を自己資金で用意する必要はありません。一般的な目安は、頭金10万円+諸経費(登記費用・ローン事務手数料・火災保険料など)60万円〜100万円程度で、合計100万円前後です。この範囲であれば、給与から無理なく準備できる水準で始められます。

確定申告について

会社員の場合、給与を1か所から受けていて、給与・退職所得以外の所得(不動産所得を含む、判定は収入ではなく経費差引後の「所得」ベース)の合計が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則不要です(参照*6)。ただし、これはあくまで「他に確定申告をする理由がない場合」に限られる点に注意が必要です。医療費控除、住宅ローン控除の初年度、ふるさと納税のワンストップ特例を使っていない場合、給与を2か所以上から受け取っている場合などに該当すると、不動産所得が20万円以下であっても、それを含めて全ての所得を申告しなければなりません。

また、これは所得税の話であり、住民税には同様の申告不要ルールがないため、20万円以下であっても住民税の申告自体は必要になります。

家賃収入は税務上「不動産所得」に区分されます。特に始めた初年度は、登記費用やローン事務手数料といった経費がかさみ、赤字になるケースが少なくありません。

この赤字は、一定の要件のもとで給与所得と相殺できます(これを「損益通算」といいます。(参照*7))。相殺した分、給与から天引きされていた所得税が納めすぎだったことになり、確定申告をすることで還付を受けられる場合があります。「20万円以下だから申告不要」とそのままにするよりも、実際には申告したほうが有利になるケースが多い、という点は知っておいて損はありません。

会社に知られたくない場合

住民税は通常、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」という方法で納められています。家賃収入が増えて住民税額も増えると、この天引き額が前年より不自然に大きくなり、経理担当者が気づくきっかけになることがあります。

これに対して、給与所得以外の所得(不動産所得を含む)にかかる住民税については、地方税法第321条の3の規定により、本人が申し出れば「普通徴収」(給与天引きではなく、自分で直接納付する方法)に変更できます(参照*8)。実務上は、確定申告書第二表の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」を選ぶ形になります。

ただし、これを選んだからといって、会社に知られるリスクがゼロになるわけではありません。自治体の事務処理や個別の事情によっては、意図通りに反映されないこともあるため、心配な場合はお住まいの自治体の窓口へ確認するのが確実です。

本業に手間をかけない管理体制

家賃収入を副業として成立させるうえで欠かせないのが、入居者募集・家賃回収・クレーム対応・退去立会いといった日々の業務を管理会社に委託することです。オーナー自身が行うのは、確定申告など年に一度の手続きと、管理会社からの報告確認程度に留めるのが実務上一般的です。この管理体制があってはじめて、「本業を続けながら副業として成立する」という前提が成り立ちます。

6. 実例紹介:給与だけに頼らない生活を目指して

ここまでお伝えしてきた考え方を、実際に実践している方がいます。

K・M様(男性・39歳・愛知県在住)は、20代の頃から「給与以外の収入を得て、お金を気にせず食事や旅行を楽しみたい」という思いを持っていました。最初に選んだのは定期預金でしたが、増える利息はごくわずか。そこで積立NISAを始め、さらに情報収集を進める中で日本財託のセミナーに参加します。

セミナーで印象に残ったのは、「キャッシュフローがマイナスでも、ローン残債が減ることで、最終的に資産は積み上がる」という考え方でした。それまで「収支はプラスが望ましい」と考えていたK・M様にとって、この視点は不動産投資への見方を大きく変えるきっかけになったといいます。

2024年9月に1戸目を購入して以降、K・M様は運用を重ね、現在5戸を保有するに至っています。借入比率が高い状況を楽観視しているわけではないと本人も述べていますが、「時間を味方に返済を進めていくことで、安心して資産を積み上げられる」と見込み、無理のない範囲で運用を継続。最終的には、完済した物件から得られる家賃収入で、安定した生活を実現することを目指しています。

「今すぐ大きな副収入」ではなく、「時間をかけて着実に積み上げていく」という考え方は、まさにここまでお話ししてきた家賃収入の実像そのものです(参照*9)。

7. 始める前に知っておきたい注意点

家賃収入には、ここまでお伝えしてきたような魅力がある一方で、当然リスクもあります。副業として無理なく続けていくために、最低限押さえておきたい点を簡潔にまとめておきます。

空室リスク
入居者が退去すると、その間は家賃収入が途絶えます。立地選びと、実績のある管理会社によるスピーディーな客付けが、空室期間を左右します。
金利上昇リスク
多くの方がローンを組んで購入するため、変動金利の場合、将来の金利上昇によって返済額が増える可能性があります。
修繕費用の負担
建物の経年劣化に伴い、修繕積立金の値上がりや、突発的な修繕費用が発生することがあります。
家賃下落リスク
築年数の経過とともに、家賃相場が下がっていく可能性があります。

これらのリスクは、正しく理解し、事前に対策を取ることで、過度に恐れる必要はありません。それぞれのリスクへの具体的な向き合い方は、別記事「不動産投資のリスクとは」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

8. FAQ

副業禁止の会社でも、家賃収入を得ることはできますか?
多くの場合、可能です。家賃収入(資産運用としての不動産投資)は、雇用契約に基づいて時間を切り売りする働き方とは性質が異なるため、就業規則が制限しようとしている「副業」の範囲外とされることが一般的です。ただし最終的な判断は会社の就業規則によるため、就業規則の文言(禁止/届出制/許可制)は事前に確認しておくと安心です。公務員の場合は、規模に応じた人事院規則の基準があります。
確定申告は必ず必要ですか?
給与を1か所から受けていて、家賃収入(不動産所得)を含む給与以外の所得の合計が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則不要です。ただし、医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、他に確定申告の理由がある場合は、金額にかかわらず申告が必要です。また住民税には20万円ルールがないため、所得税の申告が不要な場合でも住民税の申告は必要です。
いくらから始められますか?
自己資金の目安は、頭金10万円+諸経費60万円〜100万円程度で、合計100万円前後です。物件価格の全額を用意する必要はありません。
会社に知られることはありますか?
家賃収入にかかる住民税は、地方税法の規定により、本人の申出で普通徴収(自分で納付)に変更できます。ただし、これを選べば絶対に知られないというわけではなく、自治体の事務処理によって結果が変わることもあるため、心配な場合は自治体の窓口に確認するのが確実です。
本業に支障は出ませんか?
入居者募集や家賃回収、クレーム対応といった日々の業務を管理会社に委託することで、オーナーの手間は年に一度の確定申告や管理会社からの報告確認程度に抑えられます。この体制があることで、本業を続けながら副業として成立します。

9. 参照

執筆者

日本財託Times編集部

松坂 智大

  • 宅地建物取引士
  • FP2級
  • AFP
  • 相続診断士

東京中古ワンルームマンションを中心とした不動産投資、資産形成、賃貸管理に関する情報を発信しています。
日本財託グループ内に蓄積された不動産投資・賃貸管理に関する知見や、セミナー参加者の関心事項、公開情報などをもとに、読者が理解しやすい記事を制作しています。

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