希望にあふれるメッセージカード
2021/07/15
私は昨年、白血病などを治療するための細胞を提供するドナーとして、
「造血幹細胞移植」を経験しました。
というのも、母親が病気となり、それを治すためには幹細胞の移植が必要だったからです。
移植は基本的に、骨髄バンクに登録しているドナーから選ぶのですが、
移植が決まったのは昨年の3月。
折しも新型コロナウイルスの感染が拡大している時期でした。
そのため、ドナーから幹細胞の提供を受けることが難しく、
娘である私が行うことになったのです。
移植手術は2か月後の5月。社会人1年目で大変な時期でしたが、
母の助けになれるなら、これほど嬉しいことはありません。迷いは全くありませんでした。
そうして迎えた手術入院の日。
生まれてこの方、健康そのものだった私にとっては初めての入院生活でした。
どんな風なのだろうとドキドキしていたのを覚えています。
移植をするためには1週間の入院が必要で、
手術当日までの4日間は血中の白血球の数を増やすための薬を処方されました。
ただ、この薬の副作用が強烈でした。点滴をした後は体中が痛み、ひどい倦怠感が襲います。
鎮痛剤を打ち、一日ぐったりとするしかありませんでした。
さらに移植手術自体も難航。当初の説明では静脈にカテーテルを挿入するのは
15分ほどで終わるとのことでしたが、なかなか上手くいかず、
倍以上の時間がかかりました。
局所麻酔をされているとはいえ、ある程度の痛みに加え、
体の中をいじられる言いようのない違和感はぬぐえません。
気持ち悪さと恐怖でいっぱいになり、
看護師さんの手をギュッと握りしめながら何度も心が折れそうになりました。
そして退院までの数日、病院内の廊下を歩いていたときのこと。
壁面の一画に所狭しと貼られているピンク色のメッセージカードが目につきました。
どうやらこの病院で骨髄などの提供を受け、
退院した患者さんが書いたメッセージのようです。
「提供を決意してくれたドナーの方のおかげで私は今も生きて、社会に復帰できています」
「ドナーの人たちのおかげで私はいま、ここにいます」
そこには感謝の気持ちと、未来への希望が詰まっていました。
自分から骨髄ドナーサイトに登録して、見ず知らずの誰かのために命がけで辛い思いを
してまでも救いの手を差し伸べている人がこんなにもいるんだ。
その心からの献身に胸を打たれたと同時に、自然と涙が溢れてきました。
メッセージを見ていると、私自身も家族のためという理由があったものの、
人の役に立てることをしたんだという実感が沸いてきます。
辛く苦しい時間が嬉しさで上書きされたような気持ちになりました。
この出来事を機に、他人を思いやり、行動しようという意思が強くなったように思います。
今後は苦手な注射を克服し、献血なども積極的に協力するなど、
自分にできる範囲から「与えられる人」になりたいと思います。
日本財託管理サービス 賃貸営業部
秋場 南海(あきば みなみ)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都墨田区出身。
賃貸営業部新規契約チームに所属し、主に賃貸借契約を行う際の書類周りの事務作業などを行っています。
2、3年前からジムに通いトレーニングを続け、ダイエットを頑張っています。