積立投資の終わり方、考えていますか? 投資信託で増えたお金を「使う」ための、出口戦略としての不動産投資
2025/12/11
積立投資の終わり方を考えたことはあるでしょうか。
日経平均、S&P500、オルカンといった主要な株価指数が連日最高値を更新しています。
好調な相場の後押しを受け、
投資信託の積立投資で資産が増えている方も多いのではないでしょうか。
ただ、投資において、「増やす」ことと同じくらい重要な観点が、
増えたお金を「使う」ことです。
その点、投資信託はいつでも解約して現金化できるため、
「必要なときに、必要な分だけ売ればいい」と考えている方も多いでしょう。
多くの方は定年後の生活に備えて積み立て投資を行い、
給与収入がなくなって年金生活になった後から、取り崩そうと考えていらっしゃいます。
ただ、定年後に投資信託を計画通りに取り崩すことは簡単ではありません。
安定した給与収入がなくなってしまった後に、
資産を「減らす」行為がもたらす精神的プレッシャーが計り知れないからです。
特に、市況が下落相場に入り、日々資産額が目減りしていくなかでは、
計画通りに現金化する難易度が、さらに跳ね上がります。
そこで今回のコラムでは、
投資信託で増えたお金を「使う」ための、
出口戦略としての不動産投資活用法をご紹介します。
投資信託の出口戦略は、2つに大別されます。
保有している投資信託を一度に全て売却する「一括売却」と、
運用しながら定期的に少しずつ売却する「定期売却」の2つです。
一括売却を行って現金化した場合、その現金から生活費として取り崩した分だけ、
確実に資産が減少していきます。
例えば、65歳時点で3,000万円の投資信託を一括売却し、
毎月10万円、年間120万円を取り崩ししたとします。
このとき、毎年120万円ずつ預金が減少するため、
25年後の90歳で資産が枯渇してしまいます。
また、インフレが続いた場合は、実質的な購買力が減少するため
取り崩し額も大きくなり、
資金が枯渇するまでの期間もより短くなるはずです。
そもそも、リタイア後の収入状況を踏まえると、
取り崩しを計画通りに実行することは簡単ではありません。
なぜなら、安定した給与収入が失われた状況では、
資産を「減らす」行為がもたらす精神的負担が計り知れないからです。
実際、内閣府がまとめる2024年度の『経済財政白書』でも、その傾向は明らかです。
65歳以降になると資産を取り崩す動きが出るものの、そのペースは緩やかであり、
85歳以上でも資産額は1,500万円強と、減少率は1割台半ばに留まるとされています。
そこで、考えられる手法が、
資産を増やしながら、生活資金に必要な分だけ資産を取り崩す「定期売却」です。
この場合、取り崩すばかりでなく、資産運用も継続するので、
リターンを得られた分だけ「資産寿命」を延ばすことが可能です。
株式相場は、長期で見ると上昇傾向にあるため、
投資信託の出口戦略では、一般的に「定期売却」が推奨されています。
ただ、この「定期売却」にもデメリットがあります。
それが相場の下落局面での取り崩しの難しさです。
65歳時点で3,000万円の資産を築き、
投資信託で運用しながら、毎年120万円を取り崩すとします。
この場合、株価がたった1%下落するだけで30万円、
10%の暴落時には、300万円も資産が目減りすることになります。
現役時であれば、安定した給与収入と長い投資期間を武器に、
こうした株価の下落も許容できるかもしれません。
しかし、リタイア後の給与収入がない状況で、
数十万円~数百万円の資産が減少するなかで、
計画通りに年間120万円の取り崩しを実践することができるのでしょうか?
きっと多くの方が、取り崩し額を減らしたり、
上昇局面に入るまで取り崩しを中断するのではないでしょうか?
これが、投資信託を計画通りに取り崩すことは簡単ではない理由です。
では、「使う」ことを目的とした場合に、
投資信託の出口戦略として、どのような手法があるのでしょうか?
その一つが、積立型投信などのキャピタルゲイン型の投資から、
不動産投資に代表されるインカムゲイン型の投資に移行していく方法です。
実物資産の不動産の資産価格の変動は、金融商品ほど激しくありません。
また、仮に景気が悪化したとしても、
家賃収入は株価のように大きく変動することもありません。
さらに、立地に東京を選べば、賃貸需要が旺盛なので、
たとえ空室になったとしても、すぐに入居者が付きます。
安定性が高く、毎月継続して収入が入ってくる。
この安心感があるからこそ、増やしたお金を気兼ねなく「使う」ことができるのです。
ここまでの話を受けて、
「だったら、現役時代は株式投資で運用して、定年になったら不動産投資を始めようかな」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに退職金を活用して不動産投資を始めることは理にかなっています。
ただ、ここでも理論ではなく「感情」に目を向ける必要があります。
投資用不動産は金融商品と異なり、高額な投資商品です。
安定した給与収入が失われた定年後に、
収益不動産の購入に退職金を充てるには大きな決断力が必要になります。
これまでコツコツと積み立て投資をしてきた人が、
数千万円の不動産を現金で購入することは心理的ハードルが高いはずです。
そのため、安定した給与収入のある現役時にローンで購入し、
不動産投資を経験しておくことが重要です。
万が一、空室が長期化したとしても安定した給与収入で補えるとしたら、
精神的な安定度は大きいでしょう。
また、現役時に不動産投資を開始しておくことで、経済的なメリットも得られます。
たとえば、50歳時点で頭金300万円を投下し、
2,000万円のマンションを借入期間35年、金利1.7%のローンで2戸購入したとします。
毎月のローン返済額は、116,948円。
物件の利回りが3.5%なら毎月の手取り家賃収入は、116,667円。
毎月281円の手出しになる計算です。
毎月300円ほどの支出ですので、積立投資に影響を及ぼすほどの金額ではないでしょう。
当初3,700万円あった残債は、65歳の時点で約2,380万円まで減り、
15年間で約1,320万円も返済が進む計算です。
言い換えると、定年までの15年という「時間」を活用することで、
月々約117,000円を生む「仕組み」を1,320万円安く獲得できるということです。
このように現役時にローンを活用して不動産に投資しておくことで、
投資経験を積みながら、さらに投資効率も高めることができるのです。
将来に向けてコツコツと資産形成をしたとしても、
増やしたお金を安心して使えなければ頑張った甲斐がありません。
生活費に充てたり、旅行に行ったり、ときには贅沢をしたり。
現役時に思い描く老後の生活を送るためには、
「資産の取り崩し」ではなく「収入源」の確保が重要です。
相場が好調なときには、資産を「増やす」ことに目が向きがちですが、
資産を「使う」ことも意識して、投資手法を検討してはいかがでしょうか。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課 K・R
◆ スタッフプロフィール ◆
大阪府熊取町出身。
マーケティング部でセミナー企画、ホームページ運営、メールマガジンの執筆を担当。
「東京・中古・ワンルーム」の魅力を多くのお客様に伝えています。
年の瀬を迎え、1年があっという間に過ぎ去ったなと感じています。
『ジャネーの法則』によると、時間の心理的長さは年齢の逆数に比例するそうです。
新しいことに挑戦し、新しい学びを得て、人生を大切に過ごしていきたいです。






