東京都の5人に1人が相続税の課税対象に!?インフレ下で注目される相続時精算課税制度とは
2026/05/07
昨今の不動産や金融資産の価格上昇により、
都市部では「富裕層」でなくても相続税の課税対象となるケースが増えています。
先日の日経新聞の記事によると、
2024年に東京都で相続税の課税対象になった被相続人の割合は、
亡くなった方全体の20%を超えました。
つまり、東京都では亡くなった方の5人に1人に
相続税が課税される計算になります。
相続税の課税対象者が増えるなか、
いま注目が集まっているのが「相続時精算課税制度」です。
相続時精算課税制度は、2500万円までの特別控除を使って、
まとまった財産を生前に贈与できる制度です。
ただし、一度この制度を選択すると、
贈与税の基本的な課税方式である「暦年贈与」に戻れないうえに、
年間110万円の基礎控除もありませんでした。
そのため、特に少額の贈与を毎年行う場合には、
年間110万円の基礎控除を使える暦年贈与の方が選ばれやすい状況だったのです。
しかし、いま「基礎控除の新設」と「インフレ」で利用価値が高まり、
制度への注目が集まっています。
そこで今回のコラムでは、相続時精算課税制度の仕組みと、
収益不動産を活用した相続対策の考え方についてご紹介します。
相続時精算課税制度は、生前にまとまった財産を贈与し、
その分を相続時にまとめて精算する制度です。
60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫へ贈与する際に選択でき、
累計2500万円までの特別控除を利用できます。
その範囲内であれば、贈与時に贈与税がかからないため、
現金や不動産などのまとまった財産を生前に移しやすい点が特徴です。
従来、同制度には年間110万円の基礎控除がありませんでした。
そのため、生前贈与を検討する人にとっては、
年間110万円の基礎控除を使える暦年贈与の方が選ばれやすい状況でした。
しかし、税制改正で2024年1月1日以後の贈与から、
相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました。
これにより相続時精算課税制度を選択した場合でも、
年間110万円までの贈与については贈与税がかからず、
さらに基礎控除部分は相続財産にも加算されない仕組みとなりました。
たとえば、相続時精算課税制度を活用して500万円の現金を生前贈与した場合、
従来であれば500万円がそのまま相続財産に加算されました。
しかし、2024年1月1日以後の贈与では、年間110万円の基礎控除を差し引けるため、
相続財産に加算される金額は390万円となります。
税制上のメリットが分かりやすくなったうえに、使い勝手も良くなったのです。
一方、暦年贈与では、年間110万円の基礎控除を活用できるものの、
相続開始前の一定期間内に行われた贈与が相続財産に加算されます。
この加算期間は、税制改正で2024年1月1日以後の贈与から、
段階的に3年から7年へ延長されることとなりました。
そのため、特に相続開始までの期間が限られる高齢の方にとっては、
暦年贈与だけでは十分な効果を得づらくなったのです。
こうした制度改正を背景に、いま相続時精算課税制度の利用者は増加しています。
国税庁が公表した令和6年分の贈与税の申告状況によると、
相続時精算課税制度を適用した申告人員は、
2023年の4万9千人から2024年には7万8千人へ急増。
前年比で59.2%増となっており、注目の高まりがうかがえます。
また、相続時精算課税制度が注目されるもうひとつの背景が、昨今のインフレです。
不動産価格や株価などの資産価格が上昇する局面では、
何も対策しなければ、将来の税負担が大きくなる可能性があります。
しかし、相続時精算課税制度を利用した財産は、贈与時の価額で相続財産に加算されます。
つまり、将来値上がりが期待できる資産であれば、
いまのうちに贈与しておくことで、結果的に相続税の負担を抑えられるのです。
ただし、贈与した資産の価格が将来下がった場合でも、
相続時には原則として贈与時の価額で加算されます。
値下がりする資産を贈与すると、かえって不利になる可能性があるため、
将来的な値上がりが期待できる資産を見極めることが重要です。
では、相続対策としてどのような資産が適しているのでしょうか。
そのひとつが、都心の中古マンションです。
現在、建築費の高騰や用地取得の難化により、
東京都心部では新築マンションの供給が減少しています。
そのため、すでに利便性の高い立地に建っている中古マンションは、
今後も希少性が高まりやすい資産といえます。
駅から近く、賃貸需要の強いエリアにある物件であれば、
将来的な価格上昇も期待しやすく、相続時精算課税制度との相性も良いと考えられます。
また、不動産は相続税評価において、
現金よりも評価額を圧縮しやすいという特徴があります。
現金は額面どおりに評価される一方、相続開始の5年以上前から保有している
収益不動産については、原則として土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに
評価されるため、実勢価格より低く評価される傾向があります。
さらに、収益不動産の魅力は、評価額の圧縮だけではありません。
毎月の家賃収入を生み続ける点も大きな特徴です。
親が不動産を所有し続けている場合、その間の家賃収入は親の財産として蓄積され、
将来の相続財産を増やす要因になります。
一方、早い段階で子や孫へ収益不動産を贈与すれば、
贈与後の家賃収入は、贈与を受けた子や孫が受け取ることになります。
将来、親の相続財産に加わるはずだった家賃収入を、
次世代の生活資金や資産形成に活用できる点も大きなメリットです。
このように収益不動産は、
「税金対策」と「資産承継」の両面から検討しやすい資産といえます。
今回のコラムでは、相続対策のひとつとして、
相続時精算課税制度の活用価値の高まりについてお伝えしました。
ただし、お客様の資産状況や家族構成、引き継ぎ方によって、
最適な相続対策方法は異なります。
相続に伴う不動産の売却・活用・資産整理についてお悩みの方は、
ぜひ一度、当社までご相談ください。
税務に関する個別具体的な判断が必要な場合には、
税理士と連携しながら対応させていただきます。
日本財託 オーナー事務局相続サポート課 O・T
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都八王子市出身の49歳。
セミナー運営や面談を通して、オーナー様の相続対策サポートを行っています。
昨今の物価高対策で自宅マンションのベランダで家庭菜園を始めました。
毎日家族で野菜の成長を見守っています。






