巡回点検の質が資産を守る!有資格者が見抜く建物トラブルの兆候とは
2026/04/30
区分マンションに比べて、一棟アパート・マンションの管理では、
専有部だけでなく、共用部や建物設備まで管理対象が広がるため、
オーナー様自身が把握するべきことは多くなります。
特に、共用部の漏水や設備不良といった異常を見落としてしまうと、
被害が拡大するだけでなく、入居者からのクレーム発生に繋がるおそれがあります。
こうしたトラブルを防ぐために重要なことは、異常の兆候を早期に発見し、
被害状況の確認や応急処置、修繕手配といった初動対応を速やかに行うことです。
その土台となるのが、定期的な巡回点検です。
共用部や建物設備、建物外周などを定期的に確認することで、
漏水跡や外壁のひび割れ、照明不良など、トラブルの兆候を見つけやすくなります。
とはいえ、巡回を行えば必ず異常を見つけられるというわけではありません。
建物設備のわずかな違和感や普段人目につきにくい場所の劣化は、
チェックリストをなぞるだけでは見過ごされることもあるためです。
ポイントは、漏水跡や設備の異音、消防設備の異常表示などから、
初動対応が必要な兆候を見極める確かな視点です。
当社では、より質の高い建物管理業務を行うため、
2025年10月に建物管理課を設立しました。
同課では日常清掃、消防設備点検、電気メーターの検針などを内製化したことで、
巡回現場で把握した問題を社内で直接共有しやすくなり、
報告から初動対応までの時間短縮につながっています。
そこで今回のコラムでは、建物管理課が担う業務範囲と、
現場での早期発見が建物トラブルの拡大防止にどのように繋がるのかをご紹介します。
まずは、当社の建物管理課による巡回点検の体制をご紹介します。
現在、当社が管理している一棟物件742棟のうち、
約2割にあたる159棟で建物管理業務を内製化しています。
巡回点検を担っているのは、専門知識と資格を持つ社員です。
例えば、消火器の整備・点検に関わる「消防設備士乙種第6類」や、
自動火災報知設備・避難器具などの点検に必要な
「第二種消防設備点検資格者」の資格を持つ社員が在籍しています。
そのため、有資格者が巡回業務を行うことで、消火器の圧力異常や本体の腐食、
自動火災報知設備の予備電源の劣化、避難器具の摩耗・緩みなど、
一般的な巡回では確認できない、消防点検まで担うこともあります。
そのほか巡回の対象となるのは、共用部の清掃状況や照明の点灯状況、
粗大ごみの放置の有無など、多岐にわたります。
当社では、確認項目をまとめた写真付きのリストを用意し、
それに基づいてオーナー様へご報告しています。
ただ、巡回点検は、確認リストを埋めること自体が目的ではありません。
専門知識をもとに現場を観察し、将来的なトラブルに繋がる兆候を捉え、
迅速な初動対応につなげることです。
例えば、外壁の塗膜の膨れや小さなひび割れは、
一見するとただの経年劣化に見えるかもしれません。
しかし、専門的な視点で見ると、そこから読み取れるリスクは大きく変わります。
ひび割れの位置や広がり方、塗膜の浮き方から、
外壁内部への雨水の浸入や下地劣化の可能性を読み取れる場合があるからです。
こうした兆候を放置していれば、外壁の劣化が進み、
欠落や居室内の雨漏れにつながるおそれもあります。
実際、当社の巡回現場でも、こうした異常の兆候を早期に把握し、
対応につなげた事例があります。
巡回担当者が現場の状態を写真で記録し、物件担当者へ速やかに共有したことで、
オーナー様への報告から外壁の張り替え、再塗装まで迅速に進めることができました。
専門性を備えた人材が巡回に関わる価値は、こうした初動対応の質に表れます。
もう一つ、巡回中の早期発見が大きなトラブル防止につながった事例をご紹介します。
今年1月、杉並区のアパートを巡回していた際、
建物外部に設置された給湯器からの水漏れを発見しました。
現場は、入居者が普段通らない建物の裏側であったことから人目につきにくく、
巡回がなければ発見が遅れていた可能性が高い状況でした。
巡回の外注を前提とした管理体制では、点検、初動判断、工事手配を担う担当者が
それぞれ分かれていることも多く、異常を発見してから対応に移るまでに
時間がかかることがあります。
特に、外注先との間で状況確認や対応方針の調整、手配内容の確認などが
必要になると、細かなやり取りが重なり、初動対応が遅れやすくなります。
その点、当社では巡回担当者が現場で異常を把握した段階で、
物件担当者へ速やかに状況を共有できたため、
修繕対応まで迅速につなげることができました。
発見が遅れていれば、漏水範囲の拡大や設備の損傷につながり、
修繕費の負担もさらに大きくなっていたかもしれません。
当社では、異常を発見した後の応急対応の判断や修繕方法の検討、
協力会社への連絡まで、社内で連携しながら進められる体制を整えています。
さらに、建物管理業務を内製化する意義は、
設備トラブルの早期発見だけではありません。
現場で見つけた課題を一時的な対応で終わらせず、
再発防止策の立案や入居者への周知方法の改善につなげられる点も特徴です。
例えば、豊島区のある一棟物件では外国籍入居者が多く、
共用部にゴミが散乱する事例が発生していました。
背景には、外国籍入居者にゴミ出しのルールが十分に伝わっていない実態がありました。
文字だけの掲示では伝わりにくいと判断し、社内の制作担当者と連携して、
ゴミ出しの手順や注意点を視覚的に伝える動画を制作しました。
中国語版と英語版を用意し、
外国籍入居者にも伝わりやすい情報提供体制の整備を進めています。
このように、現場で見つかった課題に対して、
建物管理担当と内勤スタッフが連携しながら改善策まで社内で具体化できる点も、
当社の建物管理体制の特徴のひとつです。
建物管理業務には、現場を確認するだけでなく、異常の兆候を見極め、
関係部署への共有や修繕手配など、速やかな初動につなげる力が求められます。
当社では、専門知識や資格を備えた社員が建物管理業務を担い、
点検から対応までを社内で一貫して行える体制を整えてきました。
こうした体制により、現場で得た気づきを社内に蓄積しやすくなり、
異常の発見にとどまらず、再発防止や入居者対応の改善にもつなげています。
ご所有物件の管理体制の見直しや、建物管理業務の導入をご検討の際は、
ぜひお気軽にお問い合わせください。
日本財託管理サービス ソリューション事業部 建物管理課 K・M
◆ スタッフプロフィール ◆
京都府京都市出身。
建物管理課にて、巡回点検や消防点検などを自社で担うとともに、
管理受託業務に関する提案見積書の作成や、付加価値提案も行っています。
最近はドライブにはまっており、直近では千葉の南部へ行って海鮮を食べたりして
休日をまったり過ごしています。






