五輪後の東京に見る「更新力」既存資産に新たな役割を与える街づくりとは
2026/09/10
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催から5年。
大会を機に整備された6施設では、
大会後も東京都が一定の費用を負担しながら運営を支えています。
また、スポーツ大会に限らず、コンサートや各種イベントなど
幅広い用途で活用することで、施設の収益力を高める取り組みも進められています。
実際、2025年度には6施設で計1,152件の大会やイベントが開催され、
約266万人が来場しました。
なかでも有明アリーナは、東京2020大会ではバレーボールなどの会場として
使用されましたが、大会後はコンサートやボクシングの世界戦などにも
活用されています。
もっとも、オリンピックを開催した都市のすべてで、
整備された施設が大会後も有効に活用されているわけではありません。
大会後の維持費が重荷となったり、利用が伸び悩んだりするケースもあります。
では、既存の資産を生かしながら、さらに都市を発展させられる街には、
どのような力があるのでしょうか。
その一つが、時代の変化に合わせて、
既存の施設や建物に新しい役割を与える「更新力」です。
都市を更新する方法は、新しい建物を次々につくることだけではありません。
既存の資産を生かしながら用途や機能を変え、新たな需要を呼び込むことも、
都市の成長につながります。
そこで今回のコラムでは、五輪レガシーとして残された施設の活用や
既存建物の用途転換、東京都の取り組みを通じて、今ある資産に新しい役割を
与えながら成長を続ける「東京の更新力」について考えていきます。
五輪施設には、開催時「競技を行う場所」という明確な役割がありました。
しかし大会が終われば、施設に求められる役割も変わります。
たとえば2004年のアテネ五輪では32会場のうち、
その後も利用されているのは75%にとどまりました。
特にヘリニコン地区では、野球やソフトボールなど競技人口の少ない種目向けの施設が
長く使われず、ソフトボール場では大会後に公式戦が一度も開かれていません。
国内でも、1998年の長野五輪を見ると、施設を使い続ける難しさが分かります。
エムウェーブやビッグハットは現在も活用されていますが、
長野市は2025年度だけで五輪施設の大規模改修に約53.7億円を計上しました。
さらに、氷を張らない時期には展示会やコンサートなどを取り込み、
収益を確保する工夫も続けています。
五輪競技場として残すだけではなく、
現在のニーズや施設経営に合わせて使い方を見直しているわけです。
東京にとっても、五輪レガシーは施設が完成した時点で終わるものではありません。
10年、20年と使い続けるには、設備だけでなく、
施設そのものの役割も更新していく必要があります。
こうした「役割を変える」という考え方は、五輪施設に限りません。
オフィスや商業施設など、街にあるさまざまな建物にも同じことがいえます。
そして、既存の建物に新たな役割を与えるうえで重要なのが、
その新しい役割を求める「需要」があるかどうかです。
この点で東京には、大きな強みがあります。
東京には、人や企業が集まり続けています。
なかでも成長企業やスタートアップでは、人員の増減に合わせてレイアウトを変えたい、
自社の働き方に合った空間をつくりたいなど、オフィスに求めるニーズも多様です。
こうした多様な需要があるからこそ、既存の建物であっても、
現在のニーズに合わせて機能や使い方を見直すことで、
次の使い手につなげることができます。
つまり、東京の「更新力」を支えているのは、
建物を新しくする技術だけではありません。
既存の建物に「次の使い道」を生み出す、厚みのある需要そのものなのです。
たとえば、2026年5月にリノベーションされた1990年竣工の「@ONE 九段下」は、
用途はオフィスのままですが、共用部や設備を更新しつつ、
執務室は入居企業が自由にレイアウトできる仕様としています。
単にオフィスの見た目を新しくするのではなく、
成長企業のニーズに合わせて使い方を見直した事例です。
さらに東京では、用途そのものを変える再生も行われています。
不動産開発を手掛けるヒューリックは、「バリューアッド事業」として
既存建物の用途変更や増築を進めています。
吉祥寺では、2017年に閉院した病院の築17年の建物を取得し、
躯体を生かして商業施設「HULIC &New KICHIJOJI」へ用途変更しました。
葛西では、既存オフィス棟を残しながら、未利用容積を活用して
延床面積約2万㎡の物流施設を増築しています。
用途を変えず使い方を更新するケースもあれば、
建物の役割そのものを変えるケースもあります。
多様な需要が集まる東京では、既存建物を次の使い手へつなぐ選択肢にも幅があります。
重要なのは、建物そのものだけでなく、
求められる役割も時代とともに変化するという点です。
建物自体はそのまま活用できても、働き方や消費行動が変われば、
求められる用途や機能も変わっていきます。
こうした再生を、個別企業の取り組みだけでなく、
まちづくりとして広げようとしているのが東京です。
東京都は2025年度、既存ビルを活用した「リノベーション・モデル事業」を実施。
採択事業には、設計費を含む改修工事費などについて、
1棟当たり対象経費の2分の1、最大2,000万円を補助しています。
日本橋兜町では、平和不動産が「兜町平和ビル」の低層部を店舗へリノベーションし、
過去の改修で失われていた建築当初の外壁も再現しました。
2026年7月には1階に「TYNK Kabutocho」が開業。
証券・金融の街として培われてきた景観を残しながら、
オフィス街に人が滞在する機能を加えています。
再生されているのは、建物そのものだけではありません。
その建物が街の中で担う役割も、現在のニーズに合わせて変化しています。
ここまでを見ると、東京の強さは、
単に新しい街や建物をつくれることだけではありません。
東京には人や企業が集まり続けることで、多様な需要が生まれています。
その需要があるからこそ、役割を終えた施設や既存の建物にも、
次の使い道を見いだすことができます。
そして、将来性が見込めるから民間の投資が入り、
東京都の施策がその動きを後押しする。
再生された施設や建物には、さらに新たな人や企業が集まってきます。
「人や企業が集まる。新たな需要が生まれる。
既存資産が再生される。さらに人や企業を呼び込む」。
この循環を生み出せることが、東京の「更新力」です。
不動産を長期で保有するうえでは、
目先の状況だけでなく、将来にわたって需要が見込め、
時代の変化に合わせて新たな価値を生み出せる都市であるかどうかが重要です。
人や企業が集まり、新たな需要が生まれ、今ある資産が次の役割へとつながっていく。
こうした「更新力」も、東京での賃貸経営を考えるうえでの
大きな強みのひとつです。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課 A・T
◆ スタッフプロフィール ◆
長野県坂城町出身。
マーケティング部でセミナー企画やHP運営、メルマガを担当し、
「東京・中古・ワンルーム」の魅力を発信しています。
先月からパーソナルジムに通い始めました。目的は運動習慣の定着と健康的な増量です。
毎日の食事をトレーナーさんに共有し、一食ごとにフィードバックをもらっています。
努力の甲斐あって、早くも1週間で1kg増量に成功!
この調子で頑張ります。







