推しが教えてくれた「新しい自分」
2025/11/06
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自然の中で癒されているI.Aさん
私の家の近くには、味の素スタジアムがあります。
普段は静かな駅も、試合やライブのある日は、朝から色とりどりの人で溢れかえります。
スーツケースを引く人、チームカラーをまとった人、
駅前で笑い合いながら写真を撮る人など様々です。
眺めていると、「この日のために遠くから来たんだろうな」
「きっと忘れられない一日になるんだろうな」と、自然と頬がゆるみます。
きっと数年前の私なら、
「イベントのたびに騒がしい場所に住むのは...」と眉をひそめていたはずです。
でも、今は違います。
なぜなら、私自身がその熱気の輪の一員になったからです。
きっかけは、3年前に出会った一本のドラマでした。
俳優の真っ直ぐで繊細な演技に心を掴まれ、
気づけばグループのファンクラブに入会していました。
そして今年、ライブチケットが奇跡的に当選。
チケットを握りしめ、ひとり会場へ向かいました。
ライブ前に何時間も並んで手に入れたペンライトとうちわ、そしてライブ記念のタオル。
開演と同時に、会場は光の海で包まれます。
見知らぬ人たちと一緒に推しに手を振り、声を合わせる時間は夢のようでした。
お気に入りの曲を、生で聴けたのも忘れられません。
毎日、私を励ましてくれるその曲。
歌い出しと同時に、悩みが静かにほどけていくのを感じました。
あっという間にライブは終了。
私の人生で、もっとも短く感じた2時間半でした。
ライブの余韻はしばらく消えず、
今でも駅前にグループのイメージカラーの灯りが点ると、
あたたかい気持ちにもなります。
ライブに外れてしまった年には、代わりに推しのヘアバンドを購入し、
毎朝の相棒にしました。
顔を洗う前にそれをつけるたび、小さくスイッチが入ります。
これが、私の新しいルーティーンになりました。
推しができたことで、これまでの"控えめな私"とは
少し違う自分を知ることができました。
1時間以上長い列に並ぶ根気、一人でグッズとともに写真を撮る勇気、
隣の人と笑い合える軽やかさ、どれも以前の自分からは想像できないことばかりです。
休日の過ごし方も変わりました。推しの新しいドラマを観たり、
ふいに更新される動画をチェックしたり、ロケ地巡ったり。
そんな時間が日々を明るくしてくれます。
「何かに夢中になれるんだ」「推しがいるって、こんなに楽しいんだ」と、
そう思うたび、毎日がワクワクで満たされます。
さらに、推しがいることで、仕事にも力が入るようになりました。
転職してまだ一年。
覚えることが多く、日が浅いため不安に押しつぶされそうになる日もあります。
それでも「推しがいるから、今日もひとつひとつ丁寧にやろう、頑張ろう」と
自分を奮い立たせています。
大きな出来事ではありません。
ただ、いつもの駅が、推しとの特別な時間を思い出させてくれる雰囲気に
包まれるだけで、人はまた頑張れるのです。
そんな小さな幸せをくれるこの街に、
そして遠くのステージから日々を照らしてくれる"推し"に、
今日も静かに感謝しています。
日本財託管理サービス 管理部 I・A
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都出身の37歳。
管理部に所属し、退去後の内装工事や入居中の不具合修繕を行っています。
キックボクシングジムに通い始めてもうすぐ2年になります。






