ワオキツネザルと戯れるT.Nさん

私は小さい頃から「あれをしなさい」「これをしなさい」と、
口うるさく言われた記憶がほとんどありません。

自分の興味や関心を尊重してくれる、そんな両親でした。

ただ「やりたい」と私から言い出したことに対しては、
必ずと言っていいほど、こう確認されました。

「なぜやりたいのか？」「続ける覚悟はあるのか？」

子どもの頃は、なんでそんなことを聞かれるのか不思議でなりませんでしたし、
いちいち説得して買ってもらうことが、正直、面倒くさくもありました。

今思えば、両親はいつも「自分で考えて選ぶこと」に
責任を持たせようとしていたのだと思います。

中学1年生の終わり頃、仲のいい友達とその場の勢いでバンドを組むことになりました。

全員が音楽も楽器も未経験の状態。
私はギターを買ってもらうため、両親に相談することに。

「1日1時間は必ず練習します！」

どうせすぐ辞めるだろうという消極的な両親と裏腹に、
私はこう宣言することで、ギターを買ってもらいました。

ただ、残念ながら両親の予想は的中してしまいます。

練習は一週間も続かず、1か月後にはギターの存在すら忘れていました。
そんなとき、母から言われた言葉が今でも心に残っています。

「すぐ辞めると思っていたから別にいいけど、大人になったらそうはいかないよ」

今振り返ると、あの瞬間両親からの信頼を大きく失ってしまっていたのだと思います。

それ以来、私の「やりたい」という言葉は、簡単には受け入れられなくなりました。
両親からの信頼を取り戻すために、テストでこの順位を取ると宣言し、必死に勉強する日々。
お小遣いのルールも、テストの順位によって決定する方式に変わりました。

当時は「なんてケチな親なんだろう」と感じていましたが、
今振り返ると、あれは私に「信頼を目に見える形で示すための仕組み」だったのだと
理解しています。

テストの結果という数字で、どれだけ本気かを測っていたのだと思います。
少しずつ結果を出すことで、『信頼残高』が増えていく。

その感覚を本当に実感できたのは、大人になって働き始めてからでした。
社会人になった今、私は営業職としてお客様、
そしてチームメンバーとの「信頼残高」を意識した行動を心がけています。

お客様との会話では、言葉の裏にある本音に寄り添うようにしています。

チームとの関係でも「自分の役割は何か」「チームの中でどう動くべきか」を常に逆算し、
求められている以上のことまで考え、行動するよう努めています。

ギターの一件で学んだのは「信頼は言葉ではなく行動で積み上げるもの」ということ。
一度減らした「信頼残高」を回復するには時間がかかりますが、積み重ねれば確実に増えていく。
その感覚は、今の仕事におけるお客様やチームとの関係づくりにも直結しています。

これからも、私と関わってくれた人が「この人でよかった」と感じてもらえるよう、
日々信頼を積み重ねていきたいと思います。

日本財託 トータルソリューション部　T・N

◆　スタッフプロフィール　◆
愛知県清須市出身の27歳。
トータルソリューション部に所属し、お客様の資産形成のサポートを行っています。
最近の悩みは、寝る前によく芸人さんのゲーム実況動画を見るのですが、大体途中で寝てしまい内容を覚えていないため、結局、同じ動画を何度も見直してしまうことです。