勉強を教えない塾講師
2026/04/23

年末のフェスを楽しむN・Sさん
私は大学時代、高校受験向けの学習塾で4年間アルバイトをしていました。
塾講師をアルバイト先に選んだきっかけは、中学時代に出会った先生の存在です。
学校で友人関係に悩み、気持ちが沈んだまま授業を受けていた
ある日のことでした。
授業後「何かあったの?」と声をかけられたのです。
誰にも悟られないよう隠していた私は、その一言に驚きました。
先生は私の話に丁寧に耳を傾けてくださり、
言葉を口にするたび、心が軽くなっていったのです。
そして翌日には、自分から友人に向き合うことができました。
この経験が塾講師への憧れを持つようになったきっかけです。
大学生となり、念願の塾講師になった私は、
集団授業に加えて個別指導も担当するようになりました。
そのなかで、特に忘れられない1人の生徒と出会います。
勉強に強い拒否感を示し、質問をしても会話は続かず、
「勉強は嫌い」「親に言われて来ているだけ」と、心を閉ざしていました。
初めて「教えること」の難しさに直面したのですが、
その時、ふと頭に浮かんだのが、かつて私自身に向き合ってくれた先生の姿です。
私は一度、分かりやすく教えることを脇に置くことにしました。
まずは、この子にとって、塾が安心できる場所になること。
そこを目指そうと決めたのです。
そこから、あえて勉強の話は一切せず、好きなものや日常の会話を少しずつ重ね、
やがて漫画『ワンピース』が好きだということを知りました。
私はその作品を読んだことがありませんでしたが、
通学中に夢中で読み進め、生徒と同じ話題ができるようになったのです。
すると、あれほど静かだった時間に、少しずつ笑顔が増えていきました。
授業は勉強を教える場から、言葉が行き交う時間へと変わっていきました。
その後、授業外での補習も重ねながら、少しずつ勉強にも向き合えるようになり、
最終的には私立学校への推薦を得て、進学することができたのです。
もちろん、合格の知らせは嬉しいものでしたが、
それ以上に心に残っているのは「ここに来るのが楽しい」と言ってもらえたことです。
現在、私はソリューション事業部の一員として、
入居者様やオーナー様をサポートする仕事をしています。
日々寄せられるご相談に対して、マニュアル通りに対応することは、
決して難しいことではありません。
しかし、それでは信頼関係は決して生まれないということを、
あの生徒との時間から学びました。
言葉の奥にある想いをくみ取ること。
相手が本当に求めている声に耳を澄ませること。
あの時の経験を忘れずに、
これからもひとりひとりと向き合っていきたいと思います。
日本財託管理サービス ソリューション事業部 N・S
◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県川越市出身の23歳。
ソリューション事業部に所属して、1棟物件における付加価値の向上提案を行っています。
埼玉県川越市の実家から新宿に通っており、今年は実家を出ようと考えています。
休みの日は音楽フェス・サウナ・格闘技観戦などしております。






