一歩踏み出した先で、私とあの子に起きた小さな変化
2026/07/02

誕生日のお祝いで記念写真を撮るO・Hさん
「先生、待ってたよ!」
初めて教室に入った瞬間、その声が一斉に飛んできました。
大学3年の夏、教育学部のカリキュラムの一環として、
大学附属の小学校で1か月間の教育実習を行ったときのことです。
配属先は小学3年生、35人のクラス。
附属小学校では毎年多くの実習生を受け入れているため、
実習前は「また来たな。」と思われるだけかもしれないと感じていました。
そうした不安もあり、私はどこか一歩引いていました。
もともと初対面の相手には慎重で、自分から心を開くことも、
あまり得意ではありませんでした。
ところが初日の朝の会で紹介された直後、その不安は一気に薄れていきました。
教室に入ると、何人もの子どもたちが席を立ち、
前のめりになって駆け寄ってきたのです。
「先生、どこから来たの?」
「先生、何が好きなの?」
初対面であるはずの私に、子どもたちは迷うことなく話しかけてきます。
その姿は驚くほど無防備で、まっすぐでした。
相手を探るよりも先に受け入れようとする。
私自身とは対照的で、強く心を引かれました。
特に印象的だったのが、一人のおとなしい女の子です。
その子は少し離れた場所から私を見ていました。
私自身、小学生の頃は実習生に話しかけることができなかった記憶があります。
だからこそ、その子の姿が当時の自分と重なり、
自然と気になる存在になっていったのです。
「どんな子なんだろう、話してみたいな。」
そう思い、休み時間に自分から声をかけました。
「一緒に鬼ごっこをやろうよ。」
最初は少し戸惑いながらも、輪に入ってきてくれました。
走ることは得意ではない様子でしたが、少しずつ前向きに参加するようになりました。
そうして一緒に過ごす中で、
授業の合間や帰り際の短い時間にも少しずつ言葉を交わせるようになります。
ある日、持ち物に描かれたキャラクターに気づいて
「これ、好きなの?」と尋ねました。
その一言をきっかけに、
大切にしているキャラクター「すみっコぐらし」について教えてくれました。
以降、その話題で話す時間がさらに増えていきます。
実習最終日、その子からメッセージカードを受け取りました。
手紙と一緒に添えられていたのは、すみっコぐらしの小さなシールでした。
「先生と一緒にやったので楽しかったです。」
「走るのは得意じゃないけど、先生がいてくれたから少し速く走れました。」
その言葉を読んだとき、胸がいっぱいになりました。
自分が声をかけて踏み出した一歩が、
その子にとっても一歩踏み出すきっかけになっていたのだと気づいたからです。
この1か月で学んだのは、相手を受け入れ、自分から一歩踏み出すことの大切さです。
不安や苦手な気持ちは誰にでもあります。しかし、自分から歩み寄ることで、
相手だけでなく自分自身も前に進むことができる。そのことを、実感しました。
あの教室で出会った子どもたちのように、まず相手を受け入れ、自分から歩み寄る。
その姿勢を忘れず、これからも一人ひとりと丁寧に向き合っていたいと思います。
日本財託管理サービス 賃貸営業部 O・H
◆ スタッフプロフィール ◆
長野県松本市出身。
賃貸借契約書の作成をはじめとした新規契約に関わる手続き業務を行っています。
最近は、ビールを飲めるようになりました。
お酒は得意ではないですが様々な種類を飲めるようになりたいです。






