あの日、父が認めてくれたもの
2026/07/09

友人とアーティストのライブ鑑賞を楽しむK・Sさん
私の人生の中で、今でも忘れられない出来事があります。
大学受験の失敗です。
サラリーマン家庭で三人兄弟の長男として育った私は、
誰に言われたわけでもなく「大学へ行くなら国公立」と、自分の中で決めていました。
できるだけ親に負担をかけたくなかったからです。
高校三年生になっても予備校には通わず、自分で計画を立てて勉強を続けました。
模試ではA判定が続き「このままいけば大丈夫」
そんな手応えを胸に迎えた受験本番。
共通テストの結果も順調で、私立大学にも合格し、残すは第一志望の国公立だけ。
友人と写真を撮り、笑顔で話していても、頭の中は発表のことばかり。
震える手で合格者一覧を開きましたが、
何度見返しても、そこに私の受験番号はありません。
真っ先に浮かんだのは「親に申し訳ない」という思いです。
私立大学には合格していましたが、学費の負担を考えると目の前が真っ暗になりました。
「ごめん、第一志望ダメだった」
そう家族にLINEを送り、なかなか家に帰ることができません。
夜遅く帰宅すると、父が待っていました。
叱られることを覚悟していた私に、父が投げかけたのは意外な言葉でした。
「勉強は、悔いなくやりきれたのか」
少し間を置いてから「やりきったと思う」と答えると、父は静かにこう続けました。
「ずっと頑張ってきた姿を見てきた。お前自身がやりきったと思えるなら、それでいい。
不合格だからといって謝る必要はない。自分が積み重ねてきた努力まで否定するな」
その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていたものが一気にほどけました。
私は不合格という結果だけを見て、
それまで積み重ねてきた自分の努力まで否定していたのです。
結局、私は私立大学へ進学しました。
決して裕福な家庭とはいえない我が家にとって、それは簡単な選択ではありません。
それでも父は、第一志望に届かなかった私を責めることなく、進学を支えてくれました。
父が認めてくれたのは、合格という結果ではありません。
誰にも見えない場所で積み重ねてきた、私の努力そのものでした。
社会人となった今、私は人事として学生と向き合っています。
だからこそ、面接では結果や肩書きだけではなく、
その人がどんな思いで努力を重ねてきたのかにも、耳を傾けたいと考えています。
あの日、父が私にしてくれたように、目の前の人が積み重ねてきたものを、
きちんと見つめられる存在でありたい。
そして、一人ひとりとの出会いを大切にしていきたいと思います。
日本財託 人事部 K・S
◆ スタッフプロフィール ◆
千葉県流山市出身。
人事部の新卒採用担当として学生面談やイベントの企画・運営などに携わっています。
最近ダイエット目的でジムに通い始めました。
合わせて食生活も見直そうと鶏むね肉の美味しい食べ方を模索しています。
美味くできると食べ過ぎてしまい、結局ダイエットから遠ざかっているような気がしています。






