東京を守る「地下の備え」 予算規模17兆円が生み出す防災インフラの真価とは?

2025/05/29

5月20日、東京都は今年の夏のみを対象とした措置として、
水道基本料金を無料にすることを発表しました。
検針の時期によって、6月から9月、または7月から10月の4か月間、
都内すべての一般家庭の水道の基本料金が無料になります。

全国的に水道事業は市町村が管理することが多いですが、
東京都では東京都水道局が23区と多摩地区26市町の水道事業を運営しているため、
「東京だからできる施策」という声もありますが、それだけが理由ではありません。

基本料金を無料にしても支障がないほど、潤沢な税収に恵まれているからです。

本施策の関連予算は368億円規模ですが、
これは東京都の一般会計の0.4%程度にすぎません。
東京都の一般会計と特別会計を合わせた年間予算は17.8兆円にもなり、
これはスイスやスウェーデンの国家予算と肩を並べる規模です。

2025年度予算案の特徴として、
「世界一安全・安心で強靭な都市」を掲げ、
インフラ整備や防災対策に最大の予算を割いている点があります。

防災対策、インフラ整備が進めば、都市の基盤がより強固なものとなり、
それは都市の発展を支える力となり、人を集める原動力にもなります。

そこで今回のコラムでは、東京都の財政力を背景に進められている
目に見えないインフラ整備や防災対策について解説していきます。

特に、早急に進められているのが下水道に関する工事です。

東京都を含む多くの自治体では、
高度経済成長期に整備された下水管が耐用年数を超え、老朽化が進行しているからです。

1月、埼玉県八潮市で下水道の老朽化により、
大規模な道路陥没事故が発生したことは記憶に新しいところです。

こうした事故が起きると、そのエリアはインフラに不安が残る場所というイメージが生まれ、
不動産価格にも影響を及ぼしかねません。

実際、東日本大震災において、液状化被害が目立った新浦安エリアでは、
不動産価格が下落し、元に戻るまでに時間を要しました。

八潮市に限らず、老朽化したインフラの維持管理は、
人材不足や自治体の財政難により十分に進んでいないのが現状で、
特に都市部では高度経済成長期に大量敷設されたことから、その影響は顕著です。

大阪府では下水道管の33.1%が耐用年数を超過しており、
市区町村別で見ると、大阪市や門真市は50%を超えています。

一方、東京では同様の時期に集中して整備されたにもかかわらず、
耐用年数を超えた割合は21.0%と他の都市と比較して、低い水準に留まっています。

東京の豊かな財政力と技術を活かして積極的なインフラ更新工事を推進しているからです。

例えば、板橋区で採用された「FRP(繊維強化プラスチック)内面補強工法」は、
既設管の内側に耐腐食性物質をコーティングして補強をすることで、
管の強度を高めることができました。

この工法は、水の流れを止めたり、地面をすべて掘り返したりする必要がなく、
住民や事業者への影響を最小限に抑えることができます。

こうした継続投資の成果として、23区内の下水道事故は
2000年度の1,500件超から2023年度には327件に大幅減少。

また、下水道の工事は防災にも深く関わっています。

近年、夏になると頻繁に発生するゲリラ豪雨。
全国各地で浸水被害が相次ぎ、
東京でも1時間雨量50ミリを超える集中豪雨を経験するようになりました。

地下街や低地、河川付近の住戸は毎年のように冠水リスクにさらされているのです。

こうした状況を踏まえ、東京都は2023年12月に
「東京都豪雨対策基本方針」を10年ぶりに改定しました。

改定では、気候変動で世界の気温が2℃上がると、
雨の量も10%増加すると想定されています。

そのため、東京都区部ではこれまで「1時間に75ミリの雨」を基準にしていましたが、
今回の改定で目標降雨を85ミリに引き上げました。

85ミリという降雨量は、2020年に発生した熊本豪雨で局地的に観測され、
大規模な浸水や土砂災害を引き起こしたレベルの豪雨に相当します。

引き上げた想定をもとに推進している対策が
複数の防御レイヤーを重ねる「多層防御」戦略です。

川と下水の排水力を高め、地下調節池で雨水を一時貯留、
さらに建物に浸透・貯留設備を義務付け、浸水予測で早期避難を促すという四段構えにより、
100ミリ級の豪雨でも都市機能を維持できる水防体制の構築を進めています。

その象徴となるのが、神田川流域を守る「環状七号線地下調節池」です。
内径12.5メートル、延長4.5キロのトンネルと54万トンの地下水槽は、
2019年の台風19号で容量の約9割を活用して神田川の氾濫を防いだ実績があります。

さらに、2027年度にはこの調整池と白子川調節池と結ぶ総延長約13キロ、
貯水容量143万トンの新トンネルが完成予定で、1時間100ミリ級の豪雨にも対応できる、
国内最大規模の地下調節池ネットワークとなるでしょう。

こうした防災インフラの整備は、災害リスクの軽減につながり、
不動産価値の安定化にも寄与するため、
オーナーにとって非常に重要なポイントでしょう。

ひとたび浸水被害を受けてしまうと、
室内の復旧工事に費用も時間もかかるだけでなく、入居者の退去にも繋がりかねません。

さらに、重大な影響を及ぼすのが人の記憶です。
前述したように、災害等で甚大な被害が生じると、
同じような状況になった時に、再び被害を受けるのではないかという不安が生まれます。

こうした不安が大きくなれば、
被害が集中したエリア内の不動産の価値を下げかねないのです。
被害が発生した際に迅速に対応することはもちろん大切ですが、
より重要なポイントは被害を未然に防ぐための取り組みです。

こうした取り組みは、東京都の豊富な財源と戦略的な投資によって支えられており、
「世界一安全・安心で強靭な都市」が実現できれば、
企業誘致と人口流入が促進され、さらに都市は活性化することでしょう。

東京都心部で大型商業施設やオフィスホテル、新駅・駅前開発など、
目に見える再開発が目立つ一方で、インフラ更新、防災対策にも多大な投資を行っています。

都市の根幹を支えるインフラ整備や万が一の災害対策と
都市の大規模再開発はまさに都市の発展を支える成長の両輪です。

再開発で街の表情が変わり続けるだけでなく、
その裏側でしっかりと都市の未来を支えている東京。

この強固で安心できる都市基盤のもと、
不動産投資の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

株式会社日本財託 マーケティング部セールスプロモーション課 M・D

◆ スタッフプロフィール ◆
京都府宇治市出身の30歳。
セミナーの運営やメールマガジンの執筆、広報活動を通じて、
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様にお伝えしています。

先日、趣味のクラリネットで演奏会に出演しました。
演奏したのは、オペラ王ヴェルディの傑作「リゴレット」をモチーフにした曲。
久々のソロにもかかわらず、非常に難易度の高い曲を選んでしまったので、
仕事終わりにカラオケやスタジオに通う日々が続いていました。

SEMINAR・CONSULTATION

セミナー・相談会 開催中

あなたに合った方法で学べるから「不動産投資」のことが良くわかる!
日本財託でしか聞けない 不動産投資セミナー
こんな方にはセミナーがおすすめ!
  • 不動産投資をはじめて学ぶ方
  • 不動産投資の未経験者
  • 基本から応用まで幅広く知りたい方
  • なにから勉強したらよいかわからない方

当社オーナーの7人に1人がFIREを実現!
実践に基づく【鉄板ノウハウ】が学べます

  • 毎週変わる、セミナーテーマと特別講師!
    1億を稼ぐ資産家や現役サラリーマンオーナーが限定登壇
  • 普通のサラリーマンでも
    10年で経済的自由が目指せるテクニックを大公開
  • 値上がり、節税のようなうまい話ではなく
    長期的、安定的に家賃収入を得る方法が学べる
  • メリットからリスク、家賃収入の増やし方まで
    不動産投資がイチからわかる
※セミナー終了後に個別相談会も行っています!
しつこい電話や強引な営業一切なし 無料個別相談会
こんな方には相談会がおすすめ!
  • まず何から検討するべきか分からない
  • 投資用ローンを組めるか知りたい
  • 投資物件の情報が知りたい
  • 区分と一棟どっちで始めるべき?

他社からすでにご提案を受けている案件の
アドバイスも大歓迎です!

  • お好きな日時、オンラインで気軽に相談OK
  • いつまでに、どれぐらいの収入を作れるのか
    お伝えします
  • セミナーで伝えきれない投資の注意点もわかる
  • 資産を効率的に増やすローンの使い方、
    提携ローン、自己資金
    の活用法をご紹介
  • 投資のご質問やご不安な点を全てお答えします
※参加者には不動産投資の書籍をプレゼント!

当社はしつこい電話・強引な勧誘は一切行っておりません。
安心してお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ

営業時間/平日9:00~18:00

  • ご質問だけでもOK
  • 資料請求も承ります