目立つトラブル!クラウドファンディングと小口化商品の手軽さに潜むリスクとは
2025/10/02
スマホで申し込み完了。数万円から始められる。運用はプロにお任せ。
聞こえの良いこのフレーズは
「不動産クラウドファンディング」の広告でよく見かけます。
忙しい会社員や投資初心者にとって、
手軽さが大きな魅力に映るのは自然なことです。
しかし、その一方で気になるニュースが続いています。
7月にクラウドファンディング事業者「ダイムラー・コーポレーション」は
市況変動や競争激化で業績が悪化し、破産手続きの開始が決定され、
投資資金の回収は極めて困難になるとみられています。
また、小口化商品「みんなで大家さん」では、
配当金の分配遅延や計画変更の説明不足を理由に、
出資者が運営会社を提訴したと報じられています。
投資の手軽さを売りにした聞こえのよい言葉が並んでいても、
運営会社の資金体力が尽きれば、打つ手が限られてしまうのが現実です。
ただ、誤解して欲しくないのは、
クラウドファンディングや小口化商品そのものが悪いわけではありません。
問題は仕組みをよく理解せずに、手軽さだけで始めてしまうことです。
少額の資金で手軽に始められるからといっても、
投資ですからリスクがないわけではないのです。
そこで今回は、クラウドファンディングと小口化商品の特徴やリスクを解説。
さらに、その比較対象として区分マンションなどの実物不動産が、
なぜ堅実な投資先として選ばれているのか、その理由についてもお伝えします。
まずは、クラウドファンディングのトラブル事例について、
詳しく見ていきましょう。
不動産クラウドファンディングを運営していたダイムラー・コーポレーションは、
7月に横浜地裁から破産手続き開始の決定を受けました。
負債約3.3億円、債権者約300名で、出資金の回収は厳しい状況とみられています。
「ダイムラーファンド」として、沖縄で民泊リゾートの計画も掲げていましたが、
出資者への元本返還や利払いが滞っているとみられています。
また、不動産小口化商品「みんなで大家さん シリーズ成田」は、
成田空港周辺の開発用地への出資商品で、
出資者5人が運営会社を提訴し、契約解除と計6,000万円の返金を求めています。
この商品は、商業施設のテナント料を分配する仕組みですが、
予定していた商業施設の計画変更が説明不足で、
昨年、行政から業務停止処分も受けています。
このように、運営会社の対応次第で投資家が不利益を被る可能性があるため、
商品設計や権利保全の仕組みがどうなっているのかを理解することは重要です。
この点、クラウドファンディングや小口化商品の一部では、
不動産の権利を保全するために特定目的会社(SPC)が利用されることがあります。
この仕組みによって、不動産自体は守られますが、
運営会社が破綻してしまうと、配当や償還の手続きが滞るだけでなく、
優先劣後の仕組みが十分に機能しなくなる可能性が高まります。
この「優先劣後」という仕組みは、資産価値が下落した場合に、
まず劣後出資部分が損失を吸収し、
その範囲を超えると優先出資部分にも損失が及ぶ仕組みです。
そのため、投資判断にあたっては、案件の内容だけでなく
運営会社の財務基盤や運営実績を確認することが重要です。
そのうえで、クラウドファンディングや小口化商品に投資する際は、
それぞれの特徴を正しく把握しておくことが欠かせません。
クラウドファンディングは少額で始められ、
インターネットで手続きを完結できる仕組みが一般的です。
投資家は、口座開設から本人確認、出資申し込み、
入金まで全てオンラインで手続きを行うことができ、少額から投資を始められます。
そして、多くのクラウドファンディングでは、不動産の権利を保有することはなく、
不動産事業に参加する形になります。
次に、小口化商品は、投資家が不動産の権利を一部保有することができる仕組みです。
実物不動産に紐づく権利を持つため、契約の説明義務や書類対応が重要になります。
そのため、手続きは対面や書面で行うことが多く、投資額も数百万円程度となるため、
クラウドファンディングに比べて手軽さは劣ります。
また、クラウドファンディングと小口化商品の共通の特徴として、
流動性の低さが挙げられます。
途中での売却・換金に制限がかけられていることが多いため、
この点はあらかじめ理解しておくことが大切です。
さらに、両商品は案件によっては未完成の不動産を投資対象とする場合があります。
未完成の案件は計画通りに進まず、
配当遅延などのリスクにもつながる懸念があるので注意が必要です。
こうしたクラウドファンディングや小口化商品の特徴を踏まえても、
堅実な資産形成の選択肢として、
私たちがおすすめしたいのが実物不動産です。
実物不動産の強みは、まず自分の意思を反映しやすいことにあります。
家賃をいくらに設定するのか、どのようなリフォームを行うのか。
任せっぱなしではなく、自分の判断が収益に直結する点が大きな違いです。
また、利回りの算出方法が比較的堅実な点も安心材料といえます。
クラウドファンディングや小口化商品では、案件によっては将来の売却価格を前提に
利回りを見込む場合もありますが、
実物不動産は基本的に現在の家賃収入をベースに試算します。
売却価格を前提にしなくても運用計画を立てられるため、見通しがぶれにくいのです。
また、実物不動産の流動性が低いのではと心配されるかもしれませんが、
東京の中古ワンルームであれば、高い投資需要があるため、
比較的すばやく現金化できます。
途中解約が難しいクラウドファンディングや小口化商品と比べると、
売却のタイミングを自分で選べることは、
いざ現金が必要になった時のことを考えた場合、重要なポイントです。
さらに、ローンを活用すれば少ない自己資金でも始めやすいのも魅力です。
家計に余裕が出たときには繰り上げ返済をして、
毎月の負担額を減らしたり、返済期間を短くしたりと、
途中で調整できる自由度があります。
始めた後に状況へ合わせて計画を見直せるのは、
運営会社に任せる投資にはない強みです。
クラウドファンディングや小口化商品は、1,000万円を超える不動産投資へのハードルを下げ、
選択肢を広げてくれる優れた仕組みでもあります。
問題は、仕組みやリスクを十分に理解しないまま、
手軽さだけで始めてしまう点にあります。
手軽さはもちろん重要ですが、投資で本当に必要なものは、
投資商品があなたの望む運用結果をもたらしてくれるかという点です。
手軽さだけを理由にして、実物資産を検討から外すのではなく、
それぞれの商品の特徴を理解したうえで、
検討することをおすすめします。
日本財託 マーケティング部 セールスプロモーション課 K・K
◆ スタッフプロフィール ◆
神奈川県横浜出身の47歳。マーケティング部で、セミナーやHPの運営、
メールマガジンの執筆や広報活動を通じて
東京・中古・ワンルームの魅力を多くのお客様に伝えている。
先日、人生初のLUUPを体験!
実はキックボードでなく、電動モビリティだと知ったのは、借りた後だった。