トラブルを未然に防ぐ鍵はここに!高齢入居者対応×行政連携の最前線
2026/04/09
高齢入居者対応は"単独対応から連携対応へ"が鍵になります。
従来の賃貸管理会社単独での対応だけでは困難なケースも増え、
行政や地域支援機関との連携が不可欠な領域となっているのです。
その背景には、高齢単身世帯の増加という社会構造の変化があります。
東京都では、高齢単独世帯が148.3万世帯に達する見込みで、
都内で賃貸管理を行う当社にとっても、
高齢の単身入居者への対応力は将来を見据えた重要なテーマです。
2026年3月末現在、当社の管理戸数33,551戸のうち、
70歳以上の入居者が居住する住戸は442戸で、全体の約1.3%にとどまっています。
そのほとんどが当社に管理会社を変更する前からの入居であるため、
比率だけを見るとまだ限定的です。
こうした状況を踏まえ、当社では2025年7月にシニアサポート課を設立しました。
同課では、電話連絡や訪問を通じて、入居者の生活状況の変化や連絡不通、
室内環境の悪化などの兆候を早期に把握できるよう体制の整備を進めています。
そのなかでも重点的に進めてきたのが、行政窓口や地域の支援機関との連携です。
高齢入居者の対応では、異変が起きた際に
「どこへ相談すべきか」「誰に繋げればよいか」が分からず、
初動対応が遅れてしまう場合もあります。
だからこそ、管理会社だけで対応を完結させるのではなく、
行政や支援機関と連携しながら対応する体制整備が欠かせません。
当社では設立から約半年で、異変発生時に相談や情報共有ができる連絡体制を、
東京23区のうち約8割の18区で構築しました。
そこで今回のコラムでは、シニアサポート課が進めてきた地域連携の取り組みと、
ネットワークを活用できた事例についてご紹介します。
まず、シニアサポート課が連携を進めている主な窓口についてお伝えします。
高齢入居者対応の窓口は多岐にわたりますが、
入居者の異変を把握した直後に、相談先となる窓口は二つあります。
ひとつは、自治体が運営する窓口です。高齢者本人や家族からの相談を受け、
必要な支援につなぐ高齢者支援窓口や地域包括支援センターです。
助成金や制度利用の案内・調整を担うのが主な役割となります。
もう一つが、社会福祉協議会です。
見守り活動や生活支援、地域関係機関とのネットワークに強みがあり、
地域における高齢者サポートを具体的に動かしている存在です。
ただし、窓口があっても、入居者に異変が起きた際に、
すぐに連携できなければ機能しているとは言えません。
そのため、あらかじめ連絡不通や生活状況の悪化など、
異変の内容ごとに、どこへ相談するかを整理しておく必要があります。
そこでシニアサポート課では、
地域連携を強化するために二つの取り組みを進めてきました。
一つ目は、自治体ごとの支援窓口、支援情報の整理です。
高齢者向けの支援情報は、見守りサービス、移動支援、医療・介護の相談など
多岐にわたり、さらにその内容は区ごとに異なります。
そこで当社では、区ごとの主な支援内容を把握し、
社内でいつでも確認できるよう情報を整理してきました。
自治体ごとの情報は特別区ごとにファイリングされており、
現在では社内の棚一つを占めるほどです。
日頃から支援内容を把握しておくことで、
入居者から質問された際に速やかに回答できるだけでなく、
その方の状況に応じて有益と思われる支援先をこちらから案内できるようになります。
実際、訪問時にも、見守り活動や生活支援、介護相談、医療機関への相談など、
必要に応じた支援先をその場で確認しながら対応しています。
二つ目は、支援機関との継続的な関係構築です。
一度訪問して終わりにするのではなく、
訪問や電話をあわせて月10か所程度の窓口とやり取りを重ねながら、
緊急時にもすぐ相談できる関係づくりを続けてきました。
高齢者支援の分野は関係者が多く、担当者の異動も少なくありません。
そのため当社では、継続的に訪問や連絡を重ねながら、
担当者が変わった際には連携先を確認し直して、
緊急時に誰に連絡すべきかを整理しています。
担当者情報は社内システムにも記録し、
次回以降も迅速に対応できるようにしています。
担当窓口との継続的な接点づくりと情報の更新を重ねているからこそ、
異変発生時にも相談先に迷うことなく、情報共有や対応依頼をスムーズに
進めやすくなるのです。
また、見守りの必要性が高いケースでは、
行政職員と一緒に高齢入居者の定期訪問を行うこともあります。
こうした行動の積み重ねにより、単なる名刺交換にとどまらず、
異変発生時の相談や同行訪問、情報共有へとつながる実務的な関係を構築できました。
ここで、実際の現場で行政や支援機関とのネットワークが生きた事例を紹介します。
葛飾区にお住まいの81歳の男性入居者についての事例です。
最初の異変に気付いたのは、日ごろから定期的に飲料を届けていた配達員でした。
葛飾区では、ひとり暮らしの高齢者を対象に、
乳酸菌飲料を1本10円で届けながら安否確認を行う見守り事業があります。
いつもであれば受け取っているはずの飲料が、ドアノブに残されたままだったため、
異変の可能性があるとして地域の社会福祉協議会へ連絡。
その後、当社にも情報が共有されました。
すぐに物件へ向かうことが難しかったため、
まずは該当物件に近い行政の担当者へ自宅訪問を要請します。
その結果、本人の無事は確認できたものの、
生活状況の悪化が懸念される状態であることが分かりました。
そこで後日、行政の担当者とともに現地を訪問。
ドア越しに見えた室内には、荷物やゴミが山積みになっていました。
衛生面でも良好とは言いがたく、日々の生活が荒れている様子がうかがえました。
すぐに、次回の同行訪問日程を調整し、その後も担当者と情報共有を続け、
継続的に訪問できる体制を整えることができたのです。
シニアサポート課だけで、すべての高齢入居者対応を担うことには限界があります。
だからこそ、行政や社会福祉協議会と情報共有や相談を行い、
異変発生時に速やかに対応できる体制を日ごろから整えておくことが重要です。
今後、高齢者の単独世帯が増えていく中で、
高齢入居者対応はさらに身近で現実的な課題になるでしょう。
当社では今後も、シニアサポート課を中心に、行政や地域支援機関との連携を強化し、
ご高齢の入居者の生活を支えるとともに、
オーナー様の大切な資産を守る管理体制を構築してまいります。
日本財託管理サービス 債権管理部 シニアサポート課 M・C
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都杉並区出身。
シニアサポート課にて、65歳以上の入居者様を対象に、定期連絡・訪問を行い、
行政と連携を取りながら入居者様のサポートを行っています。
20年以上続けてきた阿波踊りも、夏が近づくにつれて練習が増えてきました。
体調に気を付けながら今年も踊り切りたいと思います。






