ワンルームを複数人で継続利用?契約違反の可能性が見えた入居者トラブルと記録の重要性

2026/05/28

賃貸経営では、騒音やごみ出しのルール、共用部の使い方などをきっかけに、
入居者同士のトラブルが発生することがあります。

多くの場合は、管理会社が事実確認を行い、
対象となる入居者へ注意喚起や生活ルールの再説明をすることで解決に向かいます。

しかし、注意を重ねても改善が見られない場合、
ほかの入居者からの苦情が続き、住環境の悪化や対応の長期化に
つながりかねません。

トラブルが長期化すると、被害を訴える入居者が退去し、
空室となってしまう恐れもあります。

そこで今回は、入居者トラブルが発生した際の基本的な対応と、
改善が見られない場合に確認すべきポイントを整理し、
契約違反を根拠に自主解約・退去へ至った当社の実例をご紹介します。

まず、入居者トラブルが発生した場合の一般的な流れを確認しておきましょう。

入居者トラブルが起きると、まず管理会社は苦情内容を把握します。

発生日時、内容、頻度、被害の程度を整理したうえで、
対象となる入居者に注意喚起を行うのが一般的です。

たとえば、夜間の生活音を控えること、来訪者の出入りや滞在時間に配慮すること、
共用部の利用ルールを守ることなどを、口頭または書面で伝えます。

軽微な生活音や一時的な来訪者トラブルであれば、
生活ルールを再説明することで収束するケースがほとんどです。

一方で、複数回にわたり注意しても同様の苦情が続き、
数週間から数か月にわたって対応が必要になるケースもあります。

問題の入居者が「通常の生活音です」「友人・知人の来訪です」と主張し、
改善が見られない場合、口頭のやり取りだけでは
解決に至らないことがあるのです。

ただし、改善が見られないからといって、
直ちに契約解除や明渡しを求めることはできません。

契約解除や明渡しは、借主の生活基盤である住居に関わるため、
貸主側の判断だけで一方的に進めることは難しいためです。

契約違反の内容、継続性、注意後の改善状況などを記録し、
第三者が見ても契約関係を継続することが難しいと
判断できる事情を示す必要があります。

そこで重要になるのが、日々の記録と証拠の蓄積です。

苦情の受付日時、申告者、苦情内容、管理会社からの注意履歴、
入居者の反応、防犯カメラ映像、書面通知の控えなどを、
後から確認できる形で残しておくことが求められます。

では、記録の蓄積と契約違反の整理が、
実際にどのように解決へつながるのでしょうか。

ここからは、当社にご相談いただいた事例を見ていきます。

対象となったのは、数年前から当社に管理を委託していただいている
マンションの一室です。

Aさんの入居後、隣室に住むBさんから「夜間に話し声が続いている」という
苦情が寄せられるようになりました。

騒音トラブルの難しさは、「うるさい」と感じる側と、
「生活音の範囲だ」と主張する側の認識が食い違いやすい点にあります。

当初は、当社からAさんに苦情の内容を伝え、
夜間の通話音や来訪者の滞在について配慮を求めました。

しかし、Aさんは「通常の生活音である」「居住の範囲内である」と主張し、
改善には至りませんでした。
その間も、夜間の話し声に関する苦情は継続して寄せられます。

当社は継続的にAさん、Bさん双方とのやり取りを行いながら、
Bさんに対しては、騒音の発生状況を客観的に確認できる録音や
動画記録の提出を依頼しました。

転機となったのは、Bさんから録音記録が提出され、あわせて
「深夜にも複数人の話し声や出入りの音が続いており、単身入居とは思えない」
という具体的な申告が寄せられたことです。

この申告を受け、当社はAさん以外の人物の出入りの有無、
出入りの時間帯、滞在の継続性を把握するため、
共用部に設置された防犯カメラ映像を確認しました。

映像を確認したところ、契約上は単身入居であるにもかかわらず、
Aさん以外の人物が合鍵を使って出入りし、
夜間から翌朝にかけて滞在している様子が複数日にわたって記録されていました。

これにより、苦情の背景には単なる生活音だけでなく、
単身入居契約の前提に反する利用が行われている可能性が高いと判断しました。

録音記録と防犯カメラ映像により、夜間の話し声と契約者以外の継続的な出入りが
確認できたため、当社とオーナー様で対応方針を協議しました。

協議の結果、弁護士を通じて内容証明郵便を送付する方針が決定。

通知では、Aさん以外の人物による継続的な出入り、夜間から翌朝にかけての滞在、
単身入居契約に反する利用が疑われる点を具体的に指摘しました。

そのうえで、注意後も同様の状況が続いていたことから、
単身入居を前提とした契約関係を維持することが困難であり、
貸主と借主の信頼関係に影響を及ぼしていると整理しました。

苦情が継続していたことに加え、契約者以外の人物の出入りや
滞在状況を記録で示せたことで、通知後、Aさんは自主解約に応じ、
退去に至りました。

本件が解決につながった大きな要因は、日々の記録の積み重ねと、
それを契約違反の判断材料として整理できたことです。

当社では、苦情受付日、申告内容、注意喚起の履歴、入居者の反応などを担当者が
継続して記録し、社内で経緯を確認できる形にしています。

今回もその記録があったことで、問題が一時的なものではなく、
一定期間継続していたことを客観的に示せました。

その結果、苦情受付から事実確認、弁護士相談に向けた資料整理まで、
流れを途切れさせずに進められました。

長期的な賃貸経営では、トラブル発生後に慌てて対応するのではなく、
日頃から苦情や対応履歴を残せる体制を整えておくことが、
有事の対応力を左右します。

入居者トラブルは、当事者同士の感じ方の違いだけで片づけてしまうと、
契約上の問題を見落とすおそれがあります。

だからこそ、事実を記録し、契約内容と照らし合わせたうえで、
必要に応じて専門家と連携しながら進めることが大切です。

ご所有物件の運営や入居者トラブルに不安がございましたら、
ぜひお気軽にご相談ください。

日本財託管理サービス ソリューション事業部 Y・D

◆ スタッフプロフィール ◆
埼玉県生まれの32歳。ソリューション事業部オーナーコンサルティング課にて
一棟物件のトラブル対応やオーナー様へ計画工事、付加価値向上、
キャッシュフロー改善の提案を行っております。
25年来のプロ野球・ライオンズファンで、休日は球場で応援することが楽しみです。
選手たちのプレーに元気をもらいながら、仕事にもいきいきと取り組んでいきたいです。

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