原状回復費用を抑えて資産価値を守る 再生工法と設備更新の考え方
2026/08/06
原油価格や石油由来原料の上昇などを背景に、
クロスや床材、住宅設備といった建築資材の価格上昇が続いています。
さらに、資材価格に加えて施工費も上昇する中、
注目されているのが、室内の見た目や機能などの品質を維持しながら、
低コストで実施できる工事手法です。
工事費を抑えることができれば、その予算の一部を設備更新などに充てることで、
室内の印象アップにつなげることもできます。
そこで今回のコラムでは、原状回復費用を抑える工法の紹介と
物件の価値を維持するための設備更新の考え方をご紹介します。
原状回復工事の現場では、コストを抑える手法として、
「古くなったら交換する」のではなく、「今あるものを生かす」という考え方が
広がっています。
このうち今回は代表的な施工方法を2つご紹介します。
1つ目は、壁紙を張り替えず、専用の染色剤を使って表面を整える再生工法です。
この工法では、既存の壁紙をそのまま利用するため、
全面的に張り替える場合より費用を抑えることが可能です。
また、張り替え時とは異なり、廃材が発生しにくい点も特徴です。
実際に当社が施工した事例では、18㎡のワンルームで、
壁紙を全面張り替えする場合の見積額が約60,000円だったのに対し、
再生工法では約36,000円で実施することができ、
4割のコスト削減につながっています。
ただし、再生工法がすべての物件に適しているわけではありません。
高額賃料帯の物件やタワーマンションなど、入居者が内装に求める水準が高い物件では、
新しい壁紙へ張り替えた方が、室内の印象を維持しやすい場合があります。
また、壁紙が破れている場合や変色を表面施工で隠しきれない場合にも、
張り替えが適しています。
家賃帯や物件のグレード、壁紙の状態を確認したうえで、
「張り替えるべきか」「再生できるか」を判断することが欠かせません。
2つ目は、傷んだ部分だけを交換できるフロアタイルです。
既存のフローリングやクッションフロアなどの床材の上に直接貼ることができ、
原状回復時には傷んだ部分だけを貼り替えることもできます。
部分補修を前提としているため、一度全面を専用タイルに張り替えれば、
退去のたびに床全体を交換する必要がありません。
また、貼り替えた箇所が目立ちにくいようにデザインされており、
工事範囲を抑えながら室内の美観を整えやすい点も特徴です。
専用タイルの施工費が1㎡当たり約9,000円の場合、
20㎡の物件では全面施工で約180,000円となります。
一般的なフローリングの張り替えよりも初期費用がかかりますが、
退去のたびに床全体を張り替える必要がなくなるため、
長く保有する物件ほどメリットが大きくなります。
このように、再生工法や部分補修によって原状回復費用を抑えられれば、
削減できた費用の一部を物件の差別化戦略として、
室内設備の更新に充てる選択肢も出てきます。
例えば、シングルレバー混合水栓です。
築年数が経過した物件では、キッチンや洗面台に2ハンドルの水栓が
設置されていることがあります。
現在は1本のレバーで水量と温度を調整できるシングルレバー混合水栓が主流です。
2ハンドルの水栓は機能性だけでなく、見た目にも古い印象を与えやすいため、
浮いた費用でシングルレバーに変えることは、
内見時の印象アップにつながります。
当社ではおよそ35,000円で設置が可能です。
また、水回り以外の選択肢としては室内物干しがあります。
花粉やPM2.5、黄砂、虫などの付着を避けやすいほか、
防犯面を気にする入居者も多く、室内物干しのニーズは増加していくと予想されます。
当社で採用している窓枠設置タイプは29,000円で設置しています。
窓枠に設置するタイプなので、スペースが限られる室内で、
暮らしやすさを高める設備として有効です。
原状回復工事では、単に工事費を抑えるだけではなく、
削減できた費用をどのように活用するかという視点も重要です。
限られた予算を設備更新へ振り向けることで、
入居者から選ばれる部屋づくりにつなげることができます。
資材価格の上昇が続く今だからこそ、「すべて交換する」のではなく、
「再生できるものは生かし、必要な設備には投資する」という
メリハリのある原状回復が、これまで以上に求められています。
当社でも、物件の特性や家賃帯に応じた最適な工法をご提案するとともに、
設備更新も含めた原状回復をご提案しています。
今後も、限られた予算の中で物件の価値を最大限に高められるよう、
オーナー様の賃貸経営をサポートしてまいります。
日本財託管理サービス 管理部 K・T
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都練馬区出身
管理部に所属し、内装工事、未回収金など各種精算業務の管理を担当しています。
新しい内装商品やパッケージ化の企画など、少しでもオーナー様のお役に立てるよう
取り組んでいます。
キャンプが好きでアクアラインを渡って、よく千葉に遊びにいきます。
子供と昆虫採集や釣り、磯遊びなど休みの日は子供と一緒にわんぱくしています。







