ゼネコンで培った目利きの力
2025/05/29
ご家族で神社に参拝されたT・Dさん
私が建築の道を志したのは小学生のときです。
修学旅行で見た、奈良県の東大寺大仏殿に心を奪われた体験から、
人生の針路を定めました。
「いつか自分も人の心に残る建物を作りたい」
そう考え、大学で建築を学びゼネコンに入社したのです。
しかし、夢に一歩近づいたと思ったのも束の間、
現場の現実は想像以上に過酷でした。
私が担当していたのは現場管理という仕事。
図面のチェックや施工図の作成、工程や品質の管理などを行う、
いわゆる現場監督のような業務です。
当時、新卒だった私は朝6時半に現場に入ります。
掃除をするところから1日が始まり、上司のコーヒーまで用意する毎日。
そんな中、普段の業務の中では新卒ながら数百人規模の現場を取り仕切る立場です。
まだ経験も少なく、とにかくすべてが手探りの中、
上司からの厳しい叱責と現場では職人からの怒号で、自信を喪失する毎日でした。
昼食なんて取る時間もなく、帰宅時間も遅い。
そんな環境が続き体力的にも精神的にも限界を感じていました。
「このまま続けていけるのか...」と悩みながらも
私をこの業界に繋ぎとめたのは、少年時代からの建築に対する思いです。
自信をつけたい。そして、好きな建築の仕事の幅をもっと広げたい。
そう考え、一級建築士の資格取得を決意しました。
夜遅くまで資格の勉強を続け、テキストを繰り返し読み込み、
普段の仕事で疲れ切った体に鞭を打つ日々でしたが、
これが自分の武器になると信じ、ひたすらに取り組み続けました。
その努力が実り、同期の中で最も早く一級建築士の資格を取得。
資格を得たことによって、判断の正確さを増すことができたのはもちろん、
上司や職人からの信頼も徐々に増えていきました。
なにより、私自身が現場での判断に自信をもって
様々な建築に携わることができるようになったのです。
これまで携わったのは、老人ホーム、商業施設、病院、マンション、オフィスビル、
さらに手術室の施工なども経験。
そして現在、縁があって日本財託に入社し約1年が経ち、
1棟物件の建物調査や修繕計画を担当しています。
元施工側として現場のリアルを知っていることで、
図面や外壁の状態から不具合が起きやすい箇所を
直感的に見つけられるようになりました。
例えば、外壁が浮いていないか、剥がれ落ちていないか、
下地がどうなっているのか、漏水の際にはどこに水が回りやすいのか。
施工の現場で培われた目利きが、修繕の判断を支えています。
不動産投資をしているオーナー様にとって、
「この物件は大丈夫なのか」という不安はつきものでしょう。
だからこそ、ゼネコンで得た「建ててきた側の視点」をフル活用して、
オーナー様に分かりやすく建物の状態を説明できるように今後も努めていきます。
日本財託管理サービス ソリューション事業部オーナーサポート課 T・D
◆ スタッフプロフィール ◆
京都府京丹後市出身の35歳。
ソリューション事業部オーナーサポート課にて、
一棟オーナー様に大規模修繕工事等の提案を行っています。
昨年の8月に双子が産まれ、3児の父となりました。
仕事も子育ても勉強中、常に高みを目指し頑張っています。