タクシー運転手に教わった親切のかたち
2026/02/19

母親と旅行を楽しむH.Aさん
私は札幌生まれですが、小学生から中学生までは、
地域のつながりが強い小さな街で過ごしました。
近所の人と立ち話をしたり、顔なじみのおじさんに声をかけられたり。
どこか「田舎のあたたかさ」が残る街です。
けれど、中学生という多感な時期。
家では、母に反抗的な態度をとることが増えていました。
引っ込み思案の姉ばかり、母が気にかけているように見え
「どうして私のほうを見てくれないんだろう」
そんな気持ちが、言葉ではなく、態度となって表れていたのだと思います。
転機になったのは偶然乗ったタクシーの運転手、福士さんとの出会いでした。
他愛のない話をしていると、運転席からこう言われたのです。
「いつもこの道を歩いてるでしょう?」
思わず、どきっとしました。まさか、自分のことを知っている大人がいるなんて、
想像もしていなかったからです。
目的地に着く頃には、タクシーの運転手さんというより、
親戚のおじさんと感じるほどすっかり打ち解けていました。
それから、通学途中に福士さんのタクシーを見かけると手を振ったり、
声をかけてもらったり。
遅刻しそうで走っていると、学校の近くまで乗せてくれたこともあります。
身内でも、先生でもない大人から向けられる、見返りのない親切。
中学生の私にとって、心に深く残るあたたかな時間でした。
部活のバスケットボールで足を怪我し、松葉杖が必要な生活になったため、
学校への送迎をお願いしていた時期があります。
「母が、姉ばかり見ている気がすること」
「つい反抗してしまうこと」
誰かを責めるわけでもなく、答えを押しつけるわけでもなく、
ただ、聞いてくれました。
話しているうちに、自分の態度を、ほんの少しだけ。
客観的に見られるようになっていることに気づきました。
話しかけられた時にそっけない返事をしない。
「ありがとう」と感謝を口に出す。
そんな小さな変化でしたが、自分の気持ちも少しずつ落ち着いていきました。
そして中学卒業の日。
家に帰ると、両手で抱えきれないほどの大きな花束が届いていました。
送り主は福士さんです。
ここまで気にかけてもらっていたことに、
驚きと同時に、嬉しさで胸がいっぱいになりました。
卒業後、私は地元を離れることになります。
引っ越し当日、駅までの送迎も福士さんにお願いしました。
最後の車内で感謝を伝えると、こう言ってくれました。
「自分から親切にしなさい。人にしたことは、良いことも悪いことも返ってくる。
だから、周りの人を大切にしなさい」
当時は、その言葉の意味を深く受け止めていた訳ではありません。
けれど今、仕事するなかで、その大切さを実感しています。
仕事をしていると、誰に責任があるのか分からない場面も少なくありません。
そんな時、自分に無理のない範囲で、一歩前に出るようにしています。
そのほうが、仕事が円滑に進み、相手も気持ちよく働けるからです。
人との関係を大切にすること。
相手の心に、少しでも温かさが残るように接すること。
それは、福士さんとの関わりから、
自然と身についた姿勢です。
日本財託管理サービス 管理受託部 H・A
◆ スタッフプロフィール ◆
北海道札幌市出身
管理受託部 事務管理課に所属し、物件売却時等の管理の引き継ぎやオーナー様の
名義変更手続きを行っています。
ラッコの可愛さに気が付くも、日本では三重県の鳥羽水族館でしか見ることができない
ということで旅行を計画中です。
今はYouTubeで鳥羽水族館のラッコのライブ中継を見て癒されています。






