離れて気づいた、地元の距離感の心地よさ
2026/03/19

旅行を満喫するA・Tさん
私の地元、奈良県天理市は、決して都会とは言えない小さな街です。
駅前に大きなビルが立ち並ぶわけでもなく、
商店街を少し歩けば、すぐに顔見知りに見つかる。
そんな地域でした。
学生時代の私は、その「人との距離の近さ」が少し苦手でした。
私がお店の前を通るたびに、必ず声をかけてくる人がいます。
タバコ屋のオジちゃんです。
「おう、元気しとるんか。宿題ちゃんとやったんか」
軽く返事をしながらも、心のなかではこう思っていました。
「用もないのに話しかけないで、そっとしておいてほしい...」
そんなふうに感じたことは、一度や二度ではありません。
この地元の街を、私は就職を機に離れることになります。
就職先である東京の新生活は、驚きの連続でした。
誰も他人に関心がないのです。
街を歩いても話しかけられることはなく、誰もこちらを見向きもしない。
その距離感はとても新鮮で、当時の私には心地よく感じられました。
けれど、社会人一年目として働き始めた証券会社での毎日は、
決して楽なものではありませんでした。
朝から晩まで数字に追われ、思うように結果が出ない日々。
上司や先輩からの指導も厳しく、
自分の未熟さを突きつけられることの連続でした。
ストレスが溜まり、気がつけば気分が沈んでいる。
心の余裕は、すっかりとなくなっていたのです。
それは、思わぬところで判明します。
年末に帰省したとき、懐かしい商店街を歩いていると、聞き覚えのある声がしました。
「お、久しぶりやな。仕事どうしとるんや」
あのタバコ屋のオジちゃんでした。
「よく覚えとりましたね。まあ元気してますよ」
そう言いながら、思わず本音がこぼれました。
「社会人1年目ですから、正直しんどいっすよ」
ほんの数言のやり取りでした。
けれど、その瞬間、学生時代とは打って変わり、
スッと気持ちが軽くなるのを感じました。
そのとき気づいたのです。
あの何気ない会話は、私の気持ちを自然に言語化してくれていたのだと。
「しんどい」と言えば、自分でもその疲れを認識できる。
「楽しい」と言えば、その喜びが輪郭を持つ。
誰かとの小さな会話が、知らないうちに自分の心を整理してくれていたのです。
お互いに、気負わず言葉を交わせる関係性。
その距離感が、気づかないところで、私を支えてくれていたのだと分かりました。
オジちゃんの真意はわかりません。
けれど、その事実に気づいたとき、学生時代には窮屈に感じられた距離感が、
不思議と心地よく思えたのです。
今では転職を経て、日本財託でお客様一人ひとりの人生に寄り添う仕事に就いています。
あの頃のように「しんどい」と感じる毎日ではなく、
今は人と関わることそのものが、素直に楽しいと思えるようになりました。
あの時の感覚を軸に、あまり深く踏み込みすぎない。でも気軽に言葉を交わせる。
そんな温かいつながりを大切にしていきたい。
離れてみて、初めてわかった地元の心地よさでした。
日本財託 コンサルティング本部 資産コンサルティング部 A・T
◆ スタッフプロフィール ◆
奈良県天理市出身。
コンサルタントとして、東京中古ワンルーム投資を軸に
お客様の資産形成のお手伝いをしています。
最近、ペペロンチーノ作りにはまっています。シンプルな料理ゆえに奥が深く、
少しのミスや工夫で味が変わる変化を楽しんでいます。






