祖父の背中が教えてくれたこと
2026/04/09

大学の卒業式で記念撮影をするN・Aさん
幼い頃から毎年のように訪れていた場所があります。
それが、大阪にある祖父母の家です。
大阪と聞くと、にぎやかな街並みを思い浮かべがちですが、
祖父母が暮らす街は、市域の約7割が森林という自然に囲まれた静かな場所です。
家のすぐそばには小さな山があり、その山道は祖父の散歩コースでした。
お正月に帰省すると、私は祖父の後ろについて歩いていきます。
冬の澄んだ空気の中、30分ほど歩いた先。
見晴らしの良い場所から眺める景色は、いつ訪れても変わりません。
その「変わらなさ」が、私にとっては特別でした。
転勤の多い家庭で育ち、住む場所も学校も数年ごとに変わる生活。
そのなかで、祖父母の家だけは、いつも同じ場所にあり、同じ景色を見せてくれる。
ここに来ると、落ち着きを取り戻せる。そんな安心できる場所でした。
祖父は高校の体育教師として、長く働いてきた人です。
幼い頃の私は、祖父からたくさん「外で遊ぶ楽しさ」を教わりました。
鉄棒や凧揚げ、ブランコの立ちこぎは、今でも鮮明に思い出せる大切な記憶です。
その中でも、ひときわ強く心に残っているのが、
家族で訪れた新潟でのスキーです。
小学校高学年から中学生の頃まで続いた冬の恒例行事。
ゲレンデに立つと、祖父は滑り方やリフトの乗り方を丁寧に教えてくれました。
祖父が前をゆっくり滑り、そのスキー板の跡をなぞるように、私も後ろを滑っていく。
気づけばいつも、祖父の背中を追いかけていました。
学年が上がるにつれて、少しずつ難しいコースにも挑戦するようになります。
足がすくみ怖さを感じる場面もありました。
それでも前を見ると、祖父の背中がある。
迷いなく進んでいくその背中が「大丈夫だ」と言ってくれている気がしました。
だから私は、一歩を踏み出せたのだと思います。
社会人になってから、祖父の仕事について聞く機会が増えました。
引退した今でも、祖父のもとには毎年たくさんの年賀状が届きます。
そこには、かつての同僚や教え子たちの名前が並んでいました。
長い年月が経ってもなお、つながり続けている関係。
その一枚一枚が、祖父の生き方を物語っているように感じられます。
人とのご縁を大切にし、誠実に向き合うこと。
そして、自分にも周りにも前向きでいようとするその姿勢は、
教師だった頃から今も変わっていません。
新しいことに興味を持ち、楽しみながら挑戦する。
そんな明るさも、祖父らしさのひとつです。
現在、祖父は病気と向き合っています。
それでも、治療の合間に体を動かし、体力に合わせて登山に挑戦していると聞きました。
変わらず自分のペースで前を向き続けていることを知り、
ふと、スキー場で祖父の背中を追いかけていた時間を思い出しました。
白いゲレンデの中、迷いなく進んでいく祖父の背中。
その背中を追いかけながら、一歩ずつ前に進んでいたあの時間。
今の私も、きっと同じです。
祖父の背中は、あの頃と同じように、
これから進む方向を静かに示し続けてくれています。
私も、祖父のように常に前向きで、挑戦できる人でありたい。
そしていつか胸を張って、祖父に伝えたい。
「今も私は、あの日追いかけた背中を、道しるべにしています。」と
日本財託 仕入事業部 N・A
◆ スタッフプロフィール ◆
大阪府豊中市出身。
仕入事業部に所属し、厳選した優良物件の仕入を担当しています。
最近念願のNetflixに加入し、見たいものを考えるのが楽しみです。






