面白いだけでは届かない
2026/10/01

大学の卒業式に参加するM・Hさん
「本当にありがとうございます。」
この言葉を、私は今でも忘れることができません。
マーケティングを学ぶゼミに所属していた大学3年生の頃、
ゼミ内で抜擢された5人の仲間とともに、
約20チームが参加する産学連携のビジネスコンテストに挑みました。
私たちのチームが担当したのは、お弁当を販売する企業でした。
企業について調査し、データを集め、メンバーで何度も議論を重ねる。
気が付けば休日にも集まり、仲間と過ごす時間は家族と過ごす時間よりも
長くなっていました。
約1カ月かけて企業を分析し、
考え抜いた提案を初めて社長にお伝えしたときのことです。
「うちの会社のこと、全然わかってないですね。」
思いもよらない言葉に、場が静まり返りました。
それから、私たちは企業を一から調べ直しました。
しかし、話し合いは思うように進まず、必要な情報もなかなか集まりません。
締め切りが近づくほど、焦りは募る一方でした。
それでも、忙しい時間の合間を縫って違う角度からデータを集め、
一人では見つけられなかった視点を仲間で補い合いました。
そこで私たちが考え直したのは、「このお弁当をどう売るか」だけではありませんでした。
「なぜ、この会社はこのお弁当を作っているのか」
「誰に、どんな思いで届けたいのか」
商品そのものだけを見ていては、その会社の本当の魅力にはたどり着けない。
企業の背景や、そこで働く人たちの想いまで理解して初めて、
相手にとって意味のある提案ができるのだと気づきました。
当初、私が価値を感じていたのは、
「面白いアイデアを数多く生み出すこと」でした。
しかし、この経験を通じて、アイデアの面白さだけでは
人の心は動かせないことを学びました。
大切なのは、相手を知り、相手が大切にしているものを理解したうえで、
自分たちにしかできない価値を形にすること。
そう考えて、私たちの提案を何度も練り直していきました。
そして迎えたコンテスト当日。
プレゼンの結果は、第3位でした。
毎年のように上位入賞を果たし、過去には優勝経験もあるゼミだったため、
順位だけを見れば、悔しさの残る結果だったのかもしれません。
しかし、コンテストが終わった後、社長からこんな言葉をいただきました。
「皆さん、本当にありがとうございます。」
その言葉を聞いた瞬間、胸がいっぱいになりました。
最初は「うちの会社のこと、全然わかってないですね」と言われていた私たちの提案を、
最後には「前向きに検討したい」と言ってくださったのです。
順位以上に、その言葉がうれしかったことを覚えています。
この経験は今の仕事にもつながっています。
販売事務の仕事では、正確に書類を作成することが欠かせません。
でも、書類を正確に作ることだけが目的ではありません。
その先には、それを受け取るお客様がいます。
だからこそ、「自分が何をしたか」ではなく、
「相手にどんな価値を届けられたのか」を考えることを大切にしています。
相手が何を大切にしているのかを知ろうとする。
言葉に耳を傾ける。そして、諦めずに向き合う。
「面白いアイデアを生み出すこと」から始まった大学時代の経験は、
今では「相手にとっての価値を考えること」へと、
私の仕事に対する姿勢につながっています。
これからも、目の前の仕事の先にいるお客様を意識しながら、
一つひとつの仕事に向き合っていきたいと思います。
日本財託 事業部 事務管理1課 M・H
◆ スタッフプロフィール ◆
三重県伊賀市出身。
事業部事務管理1課に所属し、販売事務としてお客様にお渡しする
精算書類の作成を担当しています。
正確で丁寧でありながらも、迅速な対応が出来るよう日々業務に励んでいます。
海外旅行が好きで、ベトナムで食べたフォーのおいしさが忘れられず、
日本でも感動するフォーを探しまわっています。






