本音や悩みに気付けるように
2019/04/11
『離婚する』
震える声で母から電話がかかってきたのは、およそ12年前のことです。
進学のため1人暮らしを始めてから、約2年が経った頃でした。
妹を含めた家族4人、なに不自由なく暮らしてこられたのは間違いなく父のおかげでした。
父は高校卒業後、車の整備士としてトヨタ自動車に入社。
文字通りの仕事人間で、私たち兄妹が起きるよりも早く家を出て、寝付く頃に家に帰ってきました。
ときには1週間顔を合わせないこともあったくらいに、父は仕事にのめりこんでいました。
とはいえ、私は何の不満もありませんでした。
つなぎを着て、ビシッとリーゼントをキメて出社していく父の姿が何よりも格好良く見えていたからです。
ある日、父の忘れ物を母と職場に届けに行くと、『工場責任者』と書かれたシルバーのプレートには父の名前が刻まれていました。
父はトヨタの営業所の工場長を務めており、それを見上げた時にはとても誇らしかったことを覚えています。
(そんな父が母と離婚?)
まったく信じられません。
話を聞くと、私が高校に上がったころ、整備の仕事から販売担当に変わったことへのストレスで、金遣いが荒くなってしまったとのことでした。
私はもちろん、母や妹もその事実を知らず、さらに職場では立場もあり、弱音を吐けなかったのです。
『仕事人間』であった父は、その悩みを誰に相談することもできず、追い込まれていってしまいました。
もう少し実家に帰っていれば、もっとコミュニケーションを取っていれば、父から発信されていたかもしれない、何らかの信号に気付けたのかもしれない。
父のため、母のため、もっとできることがあったのではないか。心から後悔しました。
両親は離婚してしまいましたが、二人の選択を私は尊重していますし、父や母への想いはいまも変わりません。
そして2人から私たちへの愛情も変わることはありません。
父はその後、大好きな整備の仕事に転職をし、生き生きと働いています。
その姿を見ると、まさに人生を謳歌しているように感じます。
母も元気を取り戻し、胸をなでおろしています。
現在、私は賃貸営業部に所属し、多くのオーナー様や仲介会社様、入居者様とコミュニケーションを取る機会があります。
言葉の端々からお気持ちを汲み取り、その裏にある本音やお悩みにいち早く気付き、希望に沿った提案や問題解決ができるよう心がけています。
作業着姿にリーゼントの父の姿に憧れたかつての私のように、いつか自分の子供が誇りに感じてもらえるよう、仕事に邁進していきたいと思います。
日本財託管理サービス 賃貸営業部 祝 勇太(いわいゆうた)
◆ スタッフプロフィール ◆
鹿児島県鹿屋市出身の31歳。
賃貸営業部に所属し、主に仲介業者様とオーナー様との折衝業務や申込処理などを担当しています。
現在足掛け10年付き合っている彼女と同棲中。
今年中の入籍を目指し日々頑張っております。