手付放棄でも解約できない!? 投資用不動産を購入する際に押さえておきたい注意点
2025/07/10
『手付金の放棄だけでは解約できない、違約金が発生する』と半ば脅された―。
他社で物件購入の契約を進めていたお客様が、
「手付金の放棄による契約解除」を申し出た際に、
先方の不動産会社から言われた言葉です。
手付解除とは、不動産売買契約において交付された手付金を利用して、
契約当事者が相手方の履行前であれば、一方的に契約を解除できる民法上の制度です。
さらに宅建業法では、宅建業者が売主となる場合に
手付金額の上限や保全措置についての規定があります。
本件の契約書面にも手付金の放棄で解除できる文言が明記されていたため、
不当な違約金は発生せず、無事に解約は成立しました。
契約内容を確認してみると、お客様の年収に対して物件価格がかなり高額で、
その内容についてもあまりご理解がない状態でした。
このまま購入を進めてしまうと、大きなトラブルになることが予想されました。
投資用不動産を購入するにあたっての過程には、
大小さまざまな注意点があります。
多くの不動産会社では適切に物件を紹介していますが、
一部の会社では不適切な契約手法等によって、
一歩間違えればお客様が大きな不利益を被る可能性のある事例が起こっています。
しかし、こうした問題はいずれも事前に正しい知識を身につけていれば、
回避することができます。
そこで今回のコラムでは、不動産を購入するまでの流れの中で
トラブル防止の観点から"ここだけは押さえたい"注意点をお伝えしていきます。
不動産を購入する際には、購入先となる不動産会社に相談し、
購入の意思が固まり次第、物件に申し込みを行います。
申し込み後、金融機関での審査を経て、売買契約を締結。
そして金融機関との金銭消費貸借契約を経て、物件の引き渡しへと進んでいきます。
なお、検討段階における注意点については、以前のコラムでご紹介しておりますので、
あわせてご確認ください。
(都庁に投資用不動産の相談窓口が新設! 相談事例からみる初心者が気を付けるべきポイントとは)
はじめに、ローンを組んで不動産を購入する場合、
融資先となる金融機関の審査が必要になります。
申込段階では「仮審査(事前審査)」と「本審査」の違いを明確にすることが大切です。
仮審査とは、金融機関に申込者の返済能力を簡易的にチェックしてもらうものです。
一方、本審査は返済能力に加え、購入物件の収益性等を総合的に判断され、
正式に融資が可能か最終判断する審査になります。
最近、当社にご相談いただいたお客様のなかに、この2つの審査の線引きを曖昧にして購入を進めようとする不動産会社の事例がありました。
ご相談いただいたお客様は、弊社を含めて複数社で比較検討していた方でした。
最終的に当社で物件を購入されることを決断され、本審査を依頼したところ、
身に覚えのないローン申込がすでに登録されていることが判明。
確認をしてみると、他社から「ローンが通るかまず確認しましょう」と案内され、
同意しただけのつもりが、実際にはローンの本審査まで
進められてしまっていたという事例でした。
通常、仮審査は申込前に行われ、申し込み後に本審査が行われます。
不動産会社は、お客様から審査取り消しの申し出にもなかなか応じず、交渉は難航。
この本審査が取り下げられない限り、物件の購入手続きは進みません。
最終的には当社からも金融機関に事情をお伝えして、取り下げることができました。
「ローンが通るか確認する」と言われた際には、それが仮審査なのか本審査なのかを
必ず明確にし、もし不明な場合は安易に同意しないことが必要です。
そして申込が済むと、売買契約の段階に進みます。
冒頭にご紹介した契約解除でトラブルに陥らないためにも、
契約を解除するための制度をしっかり確認しておきましょう。
契約を解除したい場合、
手付金の放棄に加えて、クーリングオフ制度による契約解除も利用可能です。
クーリングオフは契約から8日以内、かつ不動産会社の事務所以外の場所で
契約した場合に利用可能な制度です。
この場合、手付金を放棄する必要もありません。
そして、クーリングオフが利用できない場合、
手付解除を検討することになります。
この手付解除は、買主は相手方が契約の履行に着手する前であれば、
手付金を放棄することで契約を解除できます。
「履行に着手」とは、客観的に見て契約内容の一部を実行した、
または実行するための行動をした状態です。
例えば、判例では売主が所有権移転に必要な書類を準備して、
司法書士に依頼した場合が該当します。
買主側が残代金を支払った場合も、契約の履行に着手したとみなされるため、
手付解除ができなくなります。
ここまで各ステップの注意点を確認してきましたが、トラブルを避けるためには、
不動産会社とのやり取りの際に、わずかでも違和感を抱いたら必ず立ち止まり、
担当者に質問してみることが大切です。
不明点や違和感はそのままにせず、判断に迷った場合でも、
どうか一人で抱え込まずに、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
当社は強引なセールスを一切行わず、物件選定からローン手続き、
購入後の賃貸管理や出口戦略に至るまでワンストップで伴走いたします。
お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
日本財託 トータルソリューション部 H・K
◆ スタッフプロフィール ◆
神奈川県鎌倉市出身の30歳。
投資用不動産の販売を担当し、日々お客様に最適な物件をご提案させて頂いております。
現在、自身でも1戸投資用不動産を所有し不動産投資を実践中。
2人の子供がおり、休日は公園で一緒に遊ぶのが日課です。
2戸目、3戸目と投資用不動産を増やすべく仕事に励んでいます!